WRC.com、クレイグ・ブリーンの追悼ストーリーを公開「ステージの中でも外でもチャンピオン」

4月13日にWRCクロアチアのプレイベントテスト中の事故により33歳という若さで急逝したヒョンデのクレイグ・ブリーン。WRC.comは、哀悼のメッセージを投稿するとともに、ブリーンを讚える追悼ストーリーを公開した。

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ステージフィニッシュでのインタビューでは、多くのドライバーのコメントは予想できるものだ。でも、クレイグ・ブリーンはそうではなかった。

何よりもラリーファンであり、その次にラリードライバーであったクレイグのラリーに対する情熱に匹敵できるのは、おそらくヤリ-マティ・ラトバラくらいだろう。ステージのフィニッシュでブリーンにマイクを向けた記者は、喜びの涙から悔し涙まで、あらゆる感情を受け止めることになる。

ブリーンのヒョンデ・モータースポーツからの最後のWRC参戦となった2月の第2戦ラリースウェーデンでは、機転を利かせながらも感情的にインタビューに答える姿が話題になった。一度はイベントのSSが設定されているブラットビー市長になることを宣言したが、数ステージ後、目から涙を流しながら「誰も自分のことをおとしめることなどできない。自分の本当のポテンシャルを知っているのは自分だけなのだから」と語ったのだ。

ブリーンの幼少時の動画を見ると、アイルランド・ウォーターフォードにある自宅の庭で、母ジャッキーがストップウオッチを握る中、ペダル式のゴーカートで疾走している姿が残されている。その様子を見ても、この幼きアイルランド人が、その後ラリーの最高峰に登り詰めるのも不思議ではない。

アイルランドラリー界の重鎮、レイ・ブリーンの息子として生まれたクレイグ・ブリーンは、当初ゴーカートでキャリアを積み、2007年にラリーへ転向した。2009年までに国際格式ラリー、英国ラリー選手権、アイルランド・フィエスタ・スポーティング・トロフィーのタイトルを獲得し、アイルランドでヤングドライバー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた。

次のステップはジュニアWRC（その後のWRCアカデミー）で、2011年にチャンピオンとなった。そこから一気にキャリアアップを遂げ、2013年、2014年のERCではプジョーでシリーズ3位に食い込むと、2015年にはシリーズ2位に入った。

そして2016年、ブリーンはついに最高の褒美を得る。シトロエンのワークスドライバーとして、WRCに参戦する機会を与えられたのだ。そしてアブダビ・トタル・ワールドラリーチームからの参戦わずか3戦目のラリーフィンランドで、3位入賞を果たす。

紅茶をこよなく愛するこのアイルランド人は、WRCの参戦は通算82回を数え、シトロエン、フォード、ヒョンデと3メーカーから参戦し、2位を6回、3位を3回獲得している。

ブリーンはその才能とともに、マシンの外でも親切で寛大な性格は別格だった。WRCで活躍する身となってからも、ブリーンは自分のルーツを忘れることなく、母国アイルランドと深い絆を保ち続けた。地元のラリーにもよく出場し、定期的にアイルランドのラリー界に貢献し、母国の多くの若手ドライバーを支援してきた。

クレイグはWRCファミリーから深く惜しまれることだろう。彼の愛する人たちに心からの哀悼の意を表したい。