WRCベルギー事前情報:路面変化の激しい難関ターマックラリー – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCベルギー事前情報:路面変化の激しい難関ターマックラリー

©FIA

WRCは8月18〜21日、シーズン第9戦イープル・ラリーベルギーで、再びターマックステージに舞台を移す。

長年、ERCとして開催されてきたヨーロッパの名イベントは、2021年にベルギー初のWRCとして開催された。この年は、イープルラリーとスパ・フランコルシャンサーキットという、ベルギーのモータースポーツ界にとってアイコン的な存在のふたつがタッグを組んだビッグイベントとなった。しかし今年は、F1ベルギーグランプリの開催が近いことからスパ・フランコルシャンはアイテナリーには含まれない。それでも、同国北西部のフランダース地方のステージは、クルーたちに厳しい試練を与える。

WRCがターマックラリーで行われるのは、4月の第3戦クロアチア以来。しかも、ベルギーの舗装ステージはクロアチアとは性質がまったく異なり、排水溝で挟まれたナローでテクニカルな農道が中心となる。タイトなジャンクションも曲者で、コーナーでは、ドライバーたちが最速ラインで通過するためにカットすることも日常茶飯事だ。このため路面には砂利が掻き出されることになり、雨が降ればその量は倍増する。

どのステージも、ラリーの拠点となる歴史的なマーケットタウン、イープルから近く、中心地の広場がサービスパークとなるため、リエゾン距離も短いコンパクトなルートとなっている。このため、ラリーに詰めかける多くのファンたちは、WRC選手や併催のベルギーラリー選手権のクルーたちによるエンターテイメントをノンストップで楽しむことができる。

ヒョンデのティエリー・ヌービルはベルギー南東部の出身ではあるが、同国で最も成功したラリードライバーとして多くのファンに支えられている。一方で、イープルラリー最多勝利をマークしているのは、今回はWRC2マスターズカップにエントリーしているフレディ・ロイクスの11回だ。

■エントリー状況
今回のベルギーにエントリーしているラリー1マシンは10台。その筆頭は、ドライバーズ選手権で首位に立つトヨタのカッレ・ロバンペラ。チームメイトのエルフィン・エバンスは、昨年のベルギーでは4位でフィニッシュ。エサペッカ・ラッピは、2014年以来のイープルラリー参戦となるが、この時はアクシデントでラリーを終えている。勝田貴元は4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1でエントリーする。

ファンの注目を集めるのは、地元ベルギーのヒーロー、ヒョンデのヌービル。チームメイトのオィット・タナックは、前戦フィンランドで今季2勝目をマークしている。オリバー・ソルベルグは、昨年のベルギーにはWRC2に参戦している。

昨年、ヒョンデから参戦したベルギーで2位に入ったクレイグ・ブリーンは、今年はMスポーツ・フォードからフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1で参戦。チームはこのほか、アドリアン・フルモー、ガス・グリーンスミスをエントリーさせている。フランス出身のフルモーは、実家がイープルから40kmと近いが、このイベントの参戦は昨年が初めてだった。

■サポートカテゴリー
WRC2には、オープン、ジュニア、マスターを合わせて22台がエントリー。選手権争いでは、トクスポーツWRTのアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)が3ポイント差で首位に立っているが、ベルギー選手権リーダーでフランス出身のステファン・ルフェーブル、昨年のWRC3チャンピオン、ヨアン・ロッセル(いずれもシトロエンC3ラリー2)、前戦フィンランドでラリー1マシンデビューを飾ったMスポーツ・フォードのヤリ・フッツネン(フォード・フィエスタ・ラリー2 MkII)のほか、ミケルセンのチームメイトのマルコ・ブラシア、ニコライ・グリアジン、クリス・イングラムと強豪が揃う。ベルギーのグレゴワール・ミュンスター(ヒョンデi20 Nラリー2)、ロイクス(ファビア・ラリー2 Evo)はそれぞれ、WRC2ジュニア、WRC2マスターズカップのポイントを狙う。ラリー3マシンで争われるWRC3には、イタリアのエンリコ・ブラゾッリ、チェコのヤン・チェルニー、ハンガリーのゾルタン・ラズロがエントリーしている。

■ラリールート

TOYOTA

ラリーは、イープル近郊に設定されるコンパクトだが非常に過酷なルートで争われる。通常のWRCのフォーマットとは異なり、シェイクダウンはセレモニアルスタートの後に木曜日の午後、イープルから25km離れたニエウケルケで行われる。夕方にかけて行われる走行は、印象的な雰囲気に包まれることも多い。

金曜日は4SSを2ループする8SS、97.02kmが設定。新ステージ、Vleterenから始まり、フランスの国境を越えるWestouter-Boeschepeと続く。Mesen-Middelhoekは、ベルギーで最も小さな町の石畳広場からスタート。2021年にはシェイクダウンのコースとして使用されたLangemarkは、今年はSSとしてアイテナリーに加えられた。

土曜日も4SSを2ループする構成。最初のステージ、Reningeに変更はないが、Dikkebusは逆方向での走行。Wijtschateの序盤のセクションは、大改修が行われた。ラリー最長、22.32kmのHollebekeは、大部分が2021年とは逆方向での設定。この日の総走行距離269.05kmのうちステージ距離は合計133.22kmと、このラリーが非常にコンパクトな設定であることがうかがえる。

最終日のKemmelbergは、自転車レースで有名な石畳の登り坂があり、2回目の走行はパワーステージに指定されている。同じく2回走行するWatouは、バンピーな路面で知られている。

■ラリーデータ
開催日:2022年8月18〜21日
サービスパーク設置場所:イープル
総走行距離:687.24km
総ステージ走行距離:281.58km(SS比率40.97%)
総SS数:20

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ(#69)
エルフィン・エバンス(#33)
エサペッカ・ラッピ(#4)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
オィット・タナック(#8)
オリバー・ソルベルグ(#2)

[Mスポーツ・フォードWRT]
クレイグ・ブリーン(#42)
ガス・グリーンスミス(#44)
アドリアン・フルモー(#16)

■2021年イープル・ラリーベルギー最終結果
1 T.ヌービル/M.ウィダグ(ヒョンデi20クーペWRC) 2:30:24.2
2 C.ブリーン/P.ネイグル(ヒョンデi20クーペWRC) +30.7
3 K.ロバンペラ/J.ハルットゥネン(トヨタ・ヤリスWRC) +43.1

■近年のウイナー
2021年 T.ヌービル/M.ウィダグ(ヒョンデi20クーペWRC)
2019年* C.ブリーン/P.ネイグル(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)
2018年* T.ヌービル/N.ジルスール(ヒョンデi20R5)
2017年* K.アッブリング/P.チョエン(プジョー208 T16)
2016年* F.ロイクス/J.ジセルス(シュコダ・ファビアR5)
*はWRC選手権外イベントとして開催

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