WRCポルトガル事前情報:グラベル7連戦の初戦を飾る名物ラリー – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCポルトガル事前情報:グラベル7連戦の初戦を飾る名物ラリー

©Toyota Gazoo Racing WRT

今季のWRCは今週開催されるラリーポルトガルから、グラベル7連戦に突入する。ここまで4戦を終えた時点で、ドライバーズ選手権ではトヨタのセバスチャン・オジエとエルフィン・エバンスがいずれも69ポイントで並んでいるほか、上位5人が11ポイント差にひしめく接戦となっている。

今季もシェア参戦のプログラムを組んでいるオジエは、今回のポルトガルラウンドには参戦しないことから、金曜日はエバンスが先頭スタートでグラベルステージのラインを切り開いていくことになる。

ポルトガルの過酷なステージは、ソフトでサンディな性質であるため、ドライコンディションでは走行順の早いドライバーは路面の砂利を掃除しなくてはならない不利を強いられる。しかし、走行が重なると路上に石が露出し始め、タイヤがダメージを負うリスクが高まり、2ループ目の走行では走行順が遅くなるほど不利になる場合もある。

一方で雨が降ると、グラベルが締まるため走行順が早い方が有利となる。後から走行するドライバーは泥や路面にたまる雨水で、さらにチャレンジングな状況に直面することになる。また、暖かく晴れたり、涼しくなったり、雨が降ったりと、天候が変わることも少なくない。道は起伏に富んでおり、高速の上り坂が続いたり、厳しいコーナーも出てくる。

しかし、ラリーポルトガルで待っているのは試練だけではない。ハイブリッドのラリー1マシンの走行を見ようと集まる何千人ものファンの熱気でステージが大いに盛り上がる雰囲気は、ポルトガルならではの光景だ。1973年にWRCが創設された時からカレンダーに含まれていたラリーポルトガルは、アルガルベ周辺での開催を6年続けた後、2015年にポルトに近いマトジニョスに拠点を戻して以来、展示場エクスポノールを拠点としている。

■ラリー1マシンのエントリー状況
トヨタ・ガズーレーシングWRT:ポルトガルでは、勝田貴元をマニュファクチャラーズ選手権のポイント対象としてノミネート。勝田のワークスエントリーは、第2戦スウェーデンに続いて2度目となる。前戦クロアチアラリーで勝利したエルフィン・エバンスは、ドライバーズ選手権リーダーとして登場。世界チャンピオンのカッレ・ロバンペラは、昨年のWRCポルトガルを制している。

ヒョンデ・シェル・モビスWRT:2018年にヒョンデにポルトガル勝利を献上しているティエリー・ヌービル、エサペッカ・ラッピ、ダニ・ソルドをエントリー。ソルドは昨年のWRCポルトガルで勝田との接戦を制して3位フィニッシュを飾っているほか、これまで6回ポディウムに上がっている。ラッピは、前戦のクロアチアでヒョンデからの参戦では初めてとなるポディウムに上がった。

Mスポーツ・フォードWRT:オィット・タナックは、ドライバーズ選手権首位に1ポイント差で2009年に自身がWRCデビューを飾ったポルトガルラウンドを迎える。ピエール-ルイ・ルーベにとっては、2019年にWRC2部門優勝を飾ったイベントだ。

■サポートカテゴリーのエントリー状況
ラリー2マシン対象のWRC2は今回も激戦区となり、44台のエントリーが集まった。強豪勢では、現在選手権首位に立つヨアン・ロッセル(PHスポール、シトロエンC3ラリー2)、2021年チャンピオンのアンドレアス・ミケルセン(トクスポーツWRT、シュコダ・ファビアRSラリー2)、チームメイトのガス・グリーンスミス、オリバー・ソルベルグ、Mスポーツ・フォードのアドリアン・フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2)、ヒョンデ・モータースポーツNのテーム・スニネン(ヒョンデi20Nラリー2)らが名を連ねる。何度もポルトガル選手権を制している地元教護のアルミンド・アラウジョは、怪我から復帰して経験豊富な母国のWRCにエントリー。WRCクロアチアの前週に急逝したクレイグ・ブリーンの後を継いでチーム・ヒョンデ・ポルトガルからエントリーするクリス・ミークは、ブリーンのコ・ドライバー、ジェームス・フルトンと組んでの参戦に臨む。昨年のジュニアWRCチャンピオン、ロベルト・ビルベスはタイトル特典を活用して、フォード・フィエスタ・ラリー2で参戦する。WRC3には、フィンランドの若手、ルーペ・コルホネンとトニ・ヘラネンが、いずれもフォード・フィエスタ・ラリー3で対決する。

■ラリールート

TOYOTA

木曜日の午前にバルタルでシェイクダウンを行った後、56回目のラリーポルトガルはこの日の夕方、コインブラでのセレモニアルスタートで開幕する。競技が始まるのは翌金曜日から。この日は、Lousa、Gois、Arganil、3SSの2ループに加え、フィゲイラ・ダ・フォスを走る新しい市街地ステージ、Mortaguaを加えた121.25kmが設定される。Mortaguaはモンデゴ川と大西洋が見渡せる風光明媚なステージだ。この日は日中サービスが設定されないため、マシンにダメージを与えないことがより重要視される。

土曜日はラリー最長となる148.68kmのステージが設定される。Vieira do Minho、Amarante、Felgueirasの3SSを、マトシニョスでのサービスを浜島さんで2ループする。Amaranteは37.24kmのロングステージ。ルーサダのラリークロスサーキットを走るステージは、金曜日から土曜日のループ最後のステージに移った。

日曜日は、新ステージのParedesからスタート。その後、有名なペドラ・サンタダのジャンプが待つFafe(11.18km)のステージを迎える。ファフェの街に設定されるリグループの前に走行するCabeceiras de Bastoは、2022年とは逆方向の設定。Fafeの2回目の走行は、パワーステージに指定されている。

■ラリーデータ
開催日:2023年5月11日〜14日
サービスパーク設置場所:マトジニョス
総走行距離:1644.92km
総ステージ走行距離:325.35km(SS比率19.78%)
総SS数:19

■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3

■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ(#69)
エルフィン・エバンス(#33)
勝田貴元(#18)

[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
エサペッカ・ラッピ(#4)
ダニ・ソルド(#6)

[Mスポーツ・フォードWRT]
オィット・タナック(#8)
ピエール-ルイ・ルーベ(#7)

■2022年ラリーポルトガル最終結果
1 K.ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) 3:44:19.2
2 E.エバンス/S.マーティン(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +15.2
3 D.ソルド/C.カレラ(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド) +2:17.3

■近年のウイナー
2022年 K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2021年 E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
2019年 O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC)
2018年 T.ヌービル(ヒョンデi20クーペWRC)
2017年 S.オジエ(フォード・フィエスタWRC)

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