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WRCフィンランド:WRCチャレンジプログラムの育成ドライバーが挑戦。2期生の山本雄紀がWRC2で初SSウイン

©山本雄紀/トピ・ルフティネン/TOYOTA

WRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)では、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀がトヨタGRヤリス・ラリー2で、3期生の後藤正太郎と松下拓未がルノー・クリオ・ラリー3で、育成コ・ドライバーの前川富哉がドライバーのヤルッコ・ニカラと組んでルノー・クリオ・ラリー4で参戦。山本はこの部門で初めてのステージウインをマークし、自己ベストの5位でフィニッシュした。後藤は高速グラベルで全ステージを走り切り貴重な経験を積んだが、松下、前川はリタイアとなった。

(以下、発表リリース)


TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
2期生と3期生が第2のホームイベント、ラリー・フィンランドに出場
WRC2で初ベストタイムを刻んだ山本が自己最高のクラス5位でフィニッシュ

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀、3期生の後藤正太郎と松下拓未、コ・ドライバーの前川富哉が、7月31日(木)から8月3日(日)にかけてフィンランドで開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」に出場。WRC最速のハイスピードグラベル(未舗装路)ラリーで、山本は自己最高位となるWRC2クラス5位でフィニッシュ。後藤はWRC3クラス11位で完走しましたが、同クラスの松下はメカニカルトラブルによりリタイアとなりました。また、前川は最終日に横転を喫しリタイアとなりました。

ラリー・フィンランドはWRCでもっともハイスピードなイベントとして知られる、中央フィンランドの都市ユバスキュラ周辺の森林地帯を走行する、グラベル(未舗装路)ラリーです。ユバスキュラにファクトリーをかまえるTOYOTA GAZOO RACINGワールドラリーチーム(TGR-WRT)にとってはまさにホームイベントであり、フィンランドに住みながら技術を磨いてきたTGR WRCチャレンジプログラムのドライバーたちにとっても、第2のホームイベントといえる一戦です。

2期生の山本にとっては今回が3回目のラリー・フィンランド出場でしたが、Rally2車両での参戦は昨年に続き2回目。フィンランドでグラベルラリーに出るのは約12ヶ月ぶりでした。前戦ラリー・エストニアに続き、フィンランド人コ・ドライバーのトピ・ルフティネンと組んで臨んだ山本は、序盤から競争力の高いペースで走行。ラリー・エストニアで掴んだ、クラスの上位ドライバーとも渡り合えるドライビングでSS3「サーリカス」ではクラス5番手のタイムを記録しました。

その後も山本は好調を保ち、難関のSS8「ミヒンパー2」では4番手タイムをマーク。続くSS9「ルーヒマキ2」では、WRC2クラスで初となるベストタイムを、これまで何度もWRCで総合優勝してきたヤリ-マティ・ラトバラ(GR Yaris Rally2)TGR-WRTチーム代表とシェア。ラリー・フィンランドを代表する名物ステージのひとつで、そのスピードを証明しました。また、一日の最後のSS10「ハルユ2」では、市街地でのショートステージながらクラス3番手のタイムを記録しました。

土曜日は降雨により、非常に難しく複雑な路面コンディションになりましたが、山本は安定した走りを続け、SS15 では4番手タイムを記録。一日の最後にはクラス4位へと順位を上げました。そして迎えた最終日の日曜日は「世界最高のグラベルステージ」と誉れ高い「オウニンポウヤ」のみを2回走行する構成。山本は経験豊富な北欧の強豪ライバルと互角に戦いましたが、最後のステージで元WRC2王者のエミル・リンドホルムに抜かれ、彼と僅か1.5秒差のWRC2クラス5位でラリーを終えました。

3期生の後藤と松下にとっては、今回が初めてのラリー・フィンランド出場となり、昨年からフィンランドの道で培ってきたラリーの経験を活かす良い機会になりました。しかし、残念ながら松下とコ・ドライバーのペッカ・ケランダーは、クルマのエンジンにトラブルが発生し、SS4でラリーを終えることになってしまいました。一方、後藤とコドライバーのユッシ・リンドベリは、土曜日の午後に低速での軽い転倒を経験しながらも、全てのステージを完走。初出場のラリー・フィンランドで貴重な経験を積むことができました。

後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ/TOYOTA

松下拓未/ペッカ・ケランダー/TOYOTA

育成コ・ドライバーの前川は、ベテランのフィンランド人ドライバー、ヤルッコ・ニカラと共に初のWRC開催ラリーにRally4車両で出場しました。このRally4クラスのエントリーは他に1台しかいなかったため、前川は経験を積むことに重点を置きステージを重ねていきました。彼らは土曜日、残り3ステージを残してオルタネータのトラブルによりデイリタイアとなりましたが、日曜日に再出走。しかし、伝説のオウニンポウヤのステージを走行中に横転し、残念ながら完走することができませんでした。

ヤルッコ・ニカラ/前川富哉/TOYOTA

ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):
山本にとって素晴らしいラリーでした。最近彼は、我々の期待に応えて着実に成長し、トップとの差を縮めています。既にエストニアでも良いステップを踏み出していましたが、フィンランドでもその勢いを維持しました。良いステージタイムを刻みながら好結果を残したので、今回の彼の戦いにはとても満足しています。松下は残念ながら技術的な問題に見舞われ、このラリーで期待されていたような走行距離を伸ばすことができませんでした。一方、後藤は少なくとも走行距離は確保することができました。しかし彼はリズムを掴むのに少し苦労していたので、次のラリーの前にその原因を分析する必要があります。前川は残念ながら、日曜日にヤルッコがミスをしたことで、初出場のWRCイベントを完走することができませんでした。しかし、このラリーを、このレベルで戦うための準備作業から、多くの経験を積むことができたと思います。

山本雄紀

山本雄紀/TOYOTA

間違いなく、今回は自分にとって最高のラリーでした。ここユバスキュラでの第2のホームラリーで、このような良い結果を残すことができて嬉しいです。フィーリングはとても良く、安定して良いペースで走ることができていましたが、とくに、金曜日に初めてベストタイムを刻んだ時は、よりそのような走りができていたように思います。また、日曜日のオウニンポウヤのステージ2回目の走行も満足できるペースでした。前戦のエストニアから短期間で改善できた点も含め、今回の自分のパフォーマンスにはとても満足しています。物事が常に、着実に良くなっていくのを感じていますし、無理にプッシュせず、自然にドライブするだけで良いタイムが出るようにもなっているので、将来に対して大きな自信を持っています。

後藤正太郎
初めてラリー・フィンランドを経験し、楽しむことはできたのですが、自分にとっては厳しい週末でした。テストの時、そしてラリー中もいくつか問題がありました。しかし、ドライビング面についてはエストニアよりもずっと良かったと感じています。高速グラベルロードでは苦戦しましたが、自信がついてきたと感じていますし、ジャンプも上手くこなせるようになりました。結果はあまり良くありませんが、自分のドライビングには満足しています。

松下拓未
初出場のラリー・フィンランドを本当に楽しみにしていましたし、少しプッシュする予定でした。序盤は順調で、ラウカーとサーリカスのステージではやや苦労しましたが、ミヒンパーはとても良いフィーリングで走ることができました。以前に逆の方向で走ったことがあり、とくに好きなコースだったのですが、残念ながら数キロメートル走ったところでエンジンが壊れてしまい、ラリーからリタイアすることになりました。それでも、幸いにも間もなくフィンランドで次のラリーに出場するので、集中して臨みます。

前川富哉
残念ながら、オウニンポウヤのステージでコースを外れて横転し、完走することができませんでした。このような形でラリーが終わってしまったのは残念ですが、クラッシュは今年ヤルッコと仕事を始めてから初でした。それまではとてもフィーリングが良かったですし、ペースノートも上手く機能しており、スピードもあり、より速いRally3カーとほぼ同じレベルの速さでした。このラリーでの経験は私にとって間違いなく有益ですし、ペースノートの改善点を見つけることもできました。

ラリー・フィンランドの結果(WRC2クラス)
1 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2) 2h29m47.8s
2 Jari-Matti Latvala/Janni Hussi (Toyota GR Yaris Rally2) +1.1s
3 Robert Virves/Jakko Viilo (Škoda Fabia RS Rally2) +43.1s
4 Emil Lindholm/Reeta Hämäläinen (Škoda Fabia RS Rally2) +1m35.3s
5 山本 雄紀/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2) +1m36.8s
6 Romet Jürgenson/Siim Oja (Ford Fiesta Rally2) +1m43.4s

ラリー・フィンランドの結果(WRC3クラス)
1 Taylor Gill/Daniel Brkic (Ford Fiesta Rally3) 2h41m29.9s
2 Ali Türkkan/Oytun Albayrak (Ford Fiesta Rally3) +13.4s
3 Ville Vatanen/Jarno Otman (Renault Clio Rally3) +29.0s
4 Aatu Hakalehto/Joonas Ojala (Ford Fiesta Rally3) +42.1s
5 Leevi Lassila/Antti Linnaketo (Renault Clio Rally3) +50.4s
6 Arthur Pelamourgues/Bastien Pouget (Renault Clio Rally3) +1m23.7s
11 後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ (Renault Clio Rally3) +6m55.8s
R 松下拓未/ペッカ・ケランダー (Renault Clio Rally3)



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