全日本ラリー久万高原:2日目に逆転を果たした勝田範彦が優勝、チャンピオンに輝く – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー久万高原:2日目に逆転を果たした勝田範彦が優勝、チャンピオンに輝く

©Naoki Kobayashi

全日本ラリー選手権第4戦久万高原ラリーは10月31日(日)にすべてのスケジュールを終え、トヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕一が今シーズン4勝目を飾り、JN1クラスのチャンピオンを確定させた。勝田にとっては9度目、木村にとっては初の戴冠だ。JN3クラスはトヨタ86の大竹直生/藤田めぐみがチャンピオンに輝いている。

競技2日目は23.38kmを2回走行する2SS、46.56km。初日の2SSをつなげて逆走するという構成だ。夜半から降り始めた雨はコースを濡らし、ウエット路面でのスタートとなった。天候は回復基調ではあるものの、ステージでは霧が出るなど難しいコンディション。朝7時30分には『安全上必要と判断したので本競技会で使用できるタイヤ本数を2本追加し、10本とする』公式通知が発行された。

1.8秒差の接戦となったJN1クラスは、この日最初のSS7で勝田が大きく差をつけるベストタイムをマーク。対する福永はタイヤと路面がマッチせず、30.3秒差のSS3番手に。これで勝田が福永を逆転、28.5秒のリードをもって最終SSに臨むこととなった。SS2番手タイムをマークしたのは、前日を6番手で終えていた鎌田。これで一気に4番手に浮上し、さらなる順位アップを狙う。サービスを挟んで迎えた最終SSは、勝田が再度のベストタイムをマーク。福永もSS7での勝田のタイムを上まわったものの、3.1秒およばずSS2番手タイムに。これで両者の差は31.6秒となり、勝田が今季4勝を挙げてタイトルを獲得することとなった。2位フィニッシュの福永は選手権ランキングでも2位に。鎌田は最終SSで3番手タイムを刻み、新井大輝をかわして3位入賞。5戦連続3位とコンスタントにポイントを重ね、選手権3位を確定させた。

勝田は「前戦のハイランドもですが、天候に助けられた感じがしますね。一時は厳しいかと思っていましたが、なんとか這い上がれました。久々のタイトルですし、木村選手にとっても初のタイトルです。グラベルラリーのカムイで勝てたことが、自分にとってもチームとしても、大きなステップアップになったと思います。応援、ありがとうございました」と笑顔でコメント。2位の福永は「自分のウデにがっくりしました。SS7もSS8と同じ仕様でいけば良かったと」と言葉少なに振り返った。作戦どおりに順位を上げ、3位に入った鎌田は「思ったより最終SSがドライ寄りでグリップが良く、他のクルマもタイムが上がると思ったので、最後まで全開で走りました。これでシリーズ3位に入れました」とコメントしている。

JN2クラスは初日にリードを築いているヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が優勝、今季参戦した6戦すべてを勝利でまとめた。2位には中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)、3位には石井宏尚/竹下紀子(レクサスRC F)が入った。コバライネンはこの日の2SSでもベストタイムを譲らず、今大会の全SSを一番時計で終えている。
コバライネンは「1本目はとても難しく、あまり良くなかったね。マシンとタイヤはOKだったけど、僕自身のドライビングが注意深くいきすぎて、自信を持って走れなかった。特にハイスピードセクションでのブレーキングがイマイチだった。2本目のフィーリングは良くなって、いつもどおりの走りができた。いいシーズンを送れて、すごくうれしいよ」と手応えを語っている。2位の中平は「SS7ではセッティングが合わず、クラッシュをしかけてしまいました。コンディションが悪い時の対応力を上げるためには経験を積んでしていくしかないですね」とコメントしている。3位の石井は「路面を読む力が圧倒的に足りてないことを実感して、それがひとつ反省としてありますね。コバライネン選手の昨日のインカーを見て、タイヤにどれくらいの負荷を掛けるべきかのか、考えさせられました。コバライネン選手はブレーキを手前で終わらせて、姿勢を作ってコーナーに入っている。それが分かったので、最後のSSはタイヤのライフが終わっていても、今までのベストを出せました」と、ヒントを得たと語っている。

上位3台による争いとなっていたJN3クラスは、SS7を終えた段階でトップに立った長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)が、なんと最終SSでコースアウトを喫する波乱の展開に。最終SSで大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86)の追撃をしのいだ鈴木尚/山岸典将(スバルBRZ)が、前戦ハイランドに続いて優勝を飾ることとなった。これで2位に入った大竹/藤田のチャンピオンが確定した。3位には、最終SSでベストタイムをマークした山口清司/丸山晃助(トヨタ86)が入っている。また、4位の竹内源樹/木村悟士はSS8でSS2番手タイムを刻み、新型BRZのポテンシャルを垣間見せた。
JN3クラスチャンピオンを決めた大竹は「1本目は、今年の雨のステージで、一番攻めることができた手応えがあります。最後のSSではエンジンが壊れてしまい、全然パワーが出なかったので、半ば諦めながら戻ってきましたが、しっかり走り切るといいことがあるものですね。今季グラベルは良かったんですが、ターマックがダメで、足踏みしてしまいました。最後に苦手だったウエットターマックもタイムが出たので、良かったと思います」と笑顔。一方、わずか3ポイント差でチャンピオンの座を逃した鈴木は、「踏んだり蹴ったりの2日目でした。1本目でスピンして、2本目で前後をぶつけて。本当にラリーって終わるまで、何が起こるか分からないと実感しています。こんなに悔しい勝ちは初めてです」と、今季3勝目を振り返っている。3位の山口は「最後はエンジンも調子が良く、最後まで頑張れました。ベストでシーズンを終われたので良かったです」と語った。4位の竹内は、「最後は山口選手にまくられてしまいましたが、暫定仕様で走りながら、色々なテストができたのは良かったです。今後速くなる要素しかないですし、今回投入できたことは、来年以降に活きると思います」と、新型に期待を寄せた。

JN4クラスは鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ)が岡田孝一/河本拓哉(スズキ・スイフトスポーツ)を逆転して全日本ラリー初優勝を達成。3位には香川秀樹/松浦俊郎(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)が入っている。前戦ハイランドではウエット路面が課題と語っていた鮫島がSS7で一番時計をマークし首位に立ち、さらにSS8でもベストを重ねることに成功。うれしい初優勝を達成した。
鮫島は「なんとか前回の反省を活かして、頑張って攻めました。とにかく今の走りをきちんとやることですね。まだ余しているところがあるので、ひとつずつ詰めていきたいです。最後には2位の岡田選手をグッと離すことができました。気持ちよく走れました」とラリーを振り返った。岡田は「やられてしまいましたね。コ・ドラを育成中なので、まだ2~3戦で優勝したらよくない。もう少し試練が必要です(笑)。クルマ的にはしっかり仕上げてくれましたが」とコメント。3位の香川は「走り切ることができて良かったです。フロントの接地感がなくて踏めず、ウエットは得意なのに、まったくダメでしたね。ナビのシリーズ2位がかかっていたので、絶対落ちないように走りました」とラリーを振り返った。今回のラリーで香川/松浦ともにシリーズ2位を決めている。

SS7を終えて首位をキープしていた天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)がサービス後のマシントラブルでリタイアという予期せぬ展開となったJN5クラス。前日から大きく順位が変動し、ホンダ・フィットの小川剛/梶山剛が前戦に続く連勝を挙げた。2位には4.1秒差で内藤学武/小藤桂一(トヨタ・ヤリスCVT)、3位には大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)という順位になった。特に小川はSS7を終えた段階で大倉と51.8秒の差があり、最終SSでの大逆転劇となった。
小川は「SS7は霧で前が見えなくて、怖くてストレートエンドで抑えるほどでした。最後はダンロップのディレッツァ93Jを使ったんですが、びっくりするほどコントロールしやすくて。こんな路面で楽に走れて、タイヤは大事だと実感しました(笑)」と連勝に笑顔を見せた。2位の内藤は「最後に小川選手に抜かれてしまって、悔しいです。最後のSSはちょっと攻めきれませんでした。ヤリスはパッケージとしてはすごくいいです。剛性もあって、重心も低いですし、下のトルクもあります」とコメント、デイ別得点3点を持ち帰った。3位の大倉は「がっつりやられてしまいましたね。タイムアップできる路面だったんですが、力不足です」と肩を落とした。

JN6クラスは前日に続いて山本雄紀/井上草汰(トヨタ・ヤリスCVT)がベストタイムを並べて今季2勝目という強さを見せた。2位には海老原孝敬/原田晃一(トヨタ・ヴィッツCVT)、3位に水原亜利沙/美野友紀(トヨタ・ヤリスCVT)という順位でラリーを終えた。山本は前戦ハイランドマスターズに続き、参戦2戦で2勝という好成績。
山本は「SS7は、危ない路面がいくつもありました。初日、2日目と路面状況が目まぐるしく変わって、走りがいのあるラリーでした。十分リードがあったので、無事に、全SSベストでラリーを終えることができたので良かったです」と、振り返っている。2位の海老原は「ちょっとタイヤ選択をミスしてしまったので、山本選手に置いていかれてしまいました」とコメント。来シーズンは現在乗っているヴィッツとアクアをリフレッシュして、グラベルとターマックで使い分けることを検討しているという。3位の水原は「1本目は探り探りで、だいぶ離されてしまいましたが、2本目では1本目よりも車速が上がっていたので、スピンして落ちてしまいましたが、なんとか戻ってくることができました」と、タイムロスしながらも完走を果たした。

これで2021年シーズンの全日本ラリー選手権は全日程を終了した。11月3日時点で2022年の選手権カレンダーはまだ出ていないが、2022年2月4日〜6日に開催される予定のRally of Tsumagoi 2022は全日本ラリー選手権からは外れる可能性がありそうだ。10月27日発行のラリーガイド1では、APRCと東日本ラリー選手権シリーズ、日本スーパーラリーシリーズの3つにタイトルがかかるとされている。

久万高原ラリー 最終結果
1 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) 1:26:05.8
2 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +31.6
3 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +1:33.3
4 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +1:48.5
5 新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) +1:54.3
6 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +2:20.0

8 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) +4:09.1
9 鈴木尚/山岸典将(スバルBRZ) +5:50.4
19 小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット) +9:37.7
22 鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ) +10:15.8
27 山本雄紀/井上草汰(トヨタ・ヤリスCVT) +14:31.7

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