全日本ラリー高山:王者ヘイキ・コバライネンが貫録の今季6勝目 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー高山:王者ヘイキ・コバライネンが貫録の今季6勝目

©Jun Uruno / JN-1クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

2022年全日本ラリー選手権第8戦「第49回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2022」は、10月16日(日)にすべての競技を終えて、シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が、トップでフィニッシュ。今シーズン、6勝目を飾った。2位に奴田原文雄/東駿吾、3位は勝田範彦/木村裕介と、トヨタGRヤリスで参戦するふたりが続いている。

最終戦の舞台となるハイランドマスターズは、2020年は新型コロナウイルスの影響により中止、2021年は無観客での開催。今回、2019年以来の有観客開催を実現した。今年で49回目の開催を迎える長い歴史を持ち、かつては「カーブレイクラリー」と呼ばれるほど厳しいグラベルラリーとして恐れられてきたが、2008年以降はターマックイベントとして実施されている。

岐阜県高山市のワインディングロードに設定されたルートは、3~6km前後のショートSSが中心。今年のSS総走行距離は65.50kmと、68.46kmで争われた昨年よりもさらに短い距離での戦いとなる。そのため、各クラスともに0.1秒を争う接戦が展開されることが予想された。

秋開催となることで、早朝に行われるSSと午後に行われるSSでは、気温差が20度以上になることも。天候によっては一気に路面温度が変わることも多く、こうした条件下でタイヤをどのように使うかも、勝負の鍵となる。さらに急な雨に見舞われることもあり、ドライバーに臨機応変な対応力が求められる一戦だ。

■レグ1

声援を受けてスタートする鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) / Naoki Kobayashi

10月15日(土)に行われたラリー初日は3つのSSを、道の駅 モンデウス飛騨位山の駐車場に設けられたサービスを挟んでループする6SS、30.44km。ヘイキ・コバライネンは前戦のラリー北海道を終えて、外国人初となる全日本ラリー選手権トップクラス(JN-1)を制覇。今シーズンは世界ラリー選手権(WRC)ラリージャパンへの参戦も表明しており、今回のラリーでも新たなペースノートシステムをトライするなど、貪欲に進化を求めている。

今シーズン絶対的な強さを見せつけてきたターマックを舞台に、高山でも思う存分にスピードを披露。この日行われたすべてのステージでベストタイムをたたき出し、2番手以下に17.3秒の大差をつけて初日をトップで折り返した。

コバライネンが独走した一方、僅差の2番手争いを繰り広げたのは、同じトヨタGRヤリスで参戦する奴田原と勝田のふたりだった。4つのSSでセカンドベストを刻んだ奴田原が、勝田に3.0秒差をつけて2番手をキープ。眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)は、新井敏弘/田中直哉と鎌田卓麻/松本優一のスバル勢を抑えて、首位から35.4秒差の4番手につける。

さらに今回は今井聡/厚地保幸が、2019年のセントラルラリーで新井大輝がドライブしたシトロエンC3 R5でJN-1に登場。初めてラリーでドライブするマシンの習熟に努め、クラス8番手で走り切っている。福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)は、SS1のスタートから2kmでコースオフを喫し、デイリタイアを余儀なくされている。また、三枝聖弥/石田裕一(スバルWRX STI)はSS3でドライブシャフトを破損し、大きく順位を落としている。

JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン / Naoki Kobayashi


首位を快走するコバライネンは「今日はフロントのグリップがあまりなくて、アンダーステアを強く感じた。それでもステージをエンジョイしたし、あまり無理せずにプッシュできたかな。すべてのステージがコントロール下にあったし、気持ち良く走れたよ。明日はセットアップを変更しつつ、このままの順位をしっかり守りたいね」と、余裕のコメント。

2番手の奴田原は「細かいミスはありましたが、頑張った成果が出せました。勝田選手の上のポジションにいられるのはいいですね(笑)。まだ1日終わっただけなので、明日もミスしないようにいきたいです」と、笑顔を見せた。3位の勝田は「かなり頑張りましたが、周りも速かったですね……。奴田原選手との差もなかなか詰められませんでした。明日は今日と逆走で下りメインになるので、どうなるかですね。クルマはすごく調子がいいので、頑張ります」と、最終日に逆転を狙う。

JN-2クラス首位の国沢光宏/木原雅彦(ルノー・クリオ・ラリー5) / RALLY PLUS


JN-2クラスは、チャンピオンを決めた中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)が、今回もスキップ。モータージャーナリストとして活躍する国沢光宏/木原雅彦が、WRCラリージャパンに投入する予定のルノー・クリオ・ラリー5を持ち込んだ。マシン習熟を目的に参戦したという国沢はすべてのステージを大きなトラブルなく走破。「まだ慣らしも終わっていない状況です。SS1では、どうやって走らせていいかも分からない状況でした。ジャパンまでに乗りやすいクルマに仕上げていきたいです」と、振り返った。

JN-3クラス首位の竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) / Jun Uruno


全6クラスで唯一チャンピオンが決まっていないのが、86/BRZによるJN-3クラス。タイトルはランキングトップの竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ)と、2番手の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)に絞られた。逆転タイトルを狙う山本にとっては優勝が絶対条件となる。

SS1では今シーズンの舗装イベントで2勝を挙げている山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)がベストを奪って首位に立つ。しかし、SS2から4連続ベストを並べた竹内が、山田に17.1秒差をつけて初日首位に立った。山田から5.3秒差の3番手に長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)が入り、優勝が欲しい山本は首位から25秒以上も遅れた4番手に沈んでいる。

目標どおり首位で初日を折り返した竹内は「いい流れですね。思ったよりもタイム差がつきました。勝負をかけた1ループ目、しっかりタイムを出せました。まずはリスクコントロールしながら、このペースをしっかり守りたいです」と、納得のコメント。2番手の山田は前半のセクションでインカムの不調に見舞われながらも、2度のベストを獲得してみせた。「インカムの調子が悪く、集中量があまり続かな回状況でした。それでも後半はようやく感覚が戻ってきました」と、コメント。4番手から最終日に逆転を狙う山本は「いまいちタイムが上がらないですね。走り自体はそんなに悪くないのに、タイムが出せない。勝つしかないので、とにかく最善を尽くして頑張ります」と、自分を奮い立たせている。

JN-4クラス首位の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno


スズキ・スイフトスポーツで争われるJN-4クラスは、今季のチャンピオン、西川真太郎/本橋貴司が4つのSSでベストを並べ、黒原康仁/松葉謙介に9.0秒差をつけて、初日首位。SS3とSS5でベストをマークした岡田孝一/河本拓哉は3番手、SS2ではエンジンが吹けなくなるトラブルもあり、優勝争いから一歩出遅れてしまった。

グラベル2戦を終えて、得意のターマックに帰ってきた西川は「これまで雑なドライブになっていた箇所で丁寧な走行を心がけました。来シーズンに向けてなんとかスキルアップできるよう、これまでと異なったアプローチを試そうと思っています」と、前向きなコメント。まだトップを狙える2番手につけた黒原は「ブレーキが厳しい局面もありましたが、どちらかというとドライバーとして、トップの西川選手を意識しすぎてしまいました」と反省の弁を残している。

JN-5クラス首位の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) / RALLY PLUS


JN-5クラスは、前戦ラリー北海道でシーズン初勝利を記録した大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)がSS1を制すると、4つのベストタイムを刻み、2番手の藤原直樹/中嶋健太郎(マツダRX-8)に17.3秒の大差をつけて首位に立った。藤原から1.2秒差の3番手は序盤エンジントラブルにも見舞われながら、SS6でベストをマークした天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)。天野から5.2秒差の4番手には小濱勇希/竹下紀子(トヨタ・ヤリスCVT)がつける。

首位を独走する大倉は「クルマがかなり走ってくれるうえに、タイムがついてきましたね。それほど厳しく攻めていないのに、タイムが出ています。SS6では天野選手にやられてしまいましたが、全体的には悪くない流れなので、このままの調子でいきたいです」と笑顔をみせた。今回、RX-8に10kgの軽量化を施して挑んだ藤原は2番手に「マシンが軽くなったことで、メカニカルグリップも変わって、すごく乗りやすくなりました。クルマが仕上がったことが、タイムにも繋がりましたね」と、納得のコメント。一方、同じマシンを使う大倉から引き離されてしまった天野は「大倉選手のマシンの完成度を感じました。モントレー以降SSベストを獲るのがすごくむずかしくなっています。相当周りが速くなっているんでしょう」と、渋い表情を見せた。

JN-6クラス首位の兼松由奈/保井隆宏(トヨタ・ヴィッツCVT) / RALLY PLUS


今シーズンの王者、海老原孝敬がスキップしたJN-6は、今回初めてコ・ドライバーに経験豊富な保井隆宏を迎えた兼松由奈(トヨタ・ヴィッツCVT)が、3度のベストで首位。2番手には前戦ラリー北海道で久々の勝利を手にした鷲尾俊一/鈴木隆司(マツダ・デミオ)、3番手には全日本ラリー初挑戦の福島賢大郞/井上草汰(トヨタ・アクア)が入った。

兼松は「トップを守れたのは良かった一方、負けてしまったSSがあったことは反省です。鷲尾選手がとても速かったんですが、総合ではタイム差をつけられて良かったです。明日は下りメインで油断大敵です。ひっくり返らない程度に頑張ります(笑)」と、初優勝を前にしても気負いはない。トヨタ東京自動車大学校の自動車部に在籍する福島はTGRラリーチャレンジから全日本にステップアップ。「最初は全日本ラリーがどのような感じか、様子を見ながら走りました。SS1が2番手タイムだったので、これくらいの感じで走っていれば、結果がついてくると分かりました。無理はせず、まずはしっかり完走しようと考えています」と、慎重なコメントを残した。

ラリーハイランドマスターズ レグ1結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 23:20.9
2 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +17.3
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +20.3
4 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +35.4
5 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +47.3
6 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +50.4

9 竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) +1:57.2
14 西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +2:39.1
17 大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) +2:55.4
30 国沢光宏/木原雅彦(ルノー・クリオ・ラリー5) +4:05.9
39 兼松由奈/保井隆宏(トヨタ・ヴィッツCVT) +5:38.7

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