全日本ラリー高山:王者ヘイキ・コバライネンが貫録の今季6勝目 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー高山:王者ヘイキ・コバライネンが貫録の今季6勝目

©Jun Uruno / JN-1クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

■レグ2

JN-1クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) / Jun Uruno

最終日は前日のステージを逆走。3本のSSをモンデウスのサービスを挟んでループする6SS、35.06km。早朝の段階では深い霧が立ち込めていたものの、コンディションはドライ。前日のコースオフでデイリタイアとなっていた福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)が再出走を果たしている。

初日だけで、2番手の奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)に17.3秒のアドバンテージを得ていたヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)は、この日も順調なペースで走行を披露。5つのSSでベストタイムをマークし、危なげなくシーズン6勝目を手にした。この後、コバライネンは11月10日にスタートする世界ラリー選手権(WRC)第13戦ラリージャパンに、全日本と同じラリーチーム・アイセロから、ファビアR5での参戦が決まっている。

3.0秒差でスタートした奴田原と勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)の2番手争いは、コバライネンがスピンを喫したSS8で、奴田原が今回初のベストを記録。これ以外のステージでも3本のセカンドベストを並べ、最終的に勝田との差を13.3秒差に広げて、第2戦唐津以来となる2位表彰台を手にした。

勝田のチームメイトの眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)は、最終日も4位をしっかり守ってフィニッシュ。鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が、SS8でのジャンプスタートでペナルティを受けた新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)を抜いて5位を得た。今回、シトロエンC3 R5を初めて投入した今井は、SS9のスタート直後にコースオフ、リタイアに終わっている。

JN-1クラスの表彰式 / Naoki Kobayashi

最終戦も勝利し、JN-1初挑戦のシーズンを最高の結果で締めくくったコバライネンは「最終日はギャラリーステージでスピンをしてしまったが、良いラリーになった。ペースノートのスタイルを少し変えたんだけど、それも収穫になったよ。6勝できたのは、本当にうれしい。アイセロ・チームのみんなには本当に感謝している」と、チームへの感謝を語った。

勝田に競り勝った奴田原は「危ない場面もありましたが、ペースを落とさずに走り抜くことができました。全体的に良い流れになりましたね。今シーズンはクルマを速くしようと努力を続けてきたことが、最後、結果に繋がって良かったです」と、喜びのコメント。3位となった勝田は「最後、シリーズ2位で終えられたのは良かったです。チームのメカニックやエンジニアが頑張ってくれて、集大成として挑めました。今回はクルマに不安もなかったですし、いい形で走ることができました」と、納得の表情で語っている。

JN-2クラス優勝の国沢光宏/木原雅彦(ルノー・クリオ・ラリー5) / RALLY PLUS


1台のみの走行となっていたJN-2、国沢光宏/木原雅彦は大きなトラブルもなくフィニッシュ。ルノー・クリオ・ラリー5でのデビュー戦をクラス優勝で飾った。「クルマにはだいぶ慣れてきましたが、タイヤも含めた現状のパッケージではこれくらいのスピードが限界だと知ることができました。ただ、お金はあまりかからないし、楽しむにはいいクルマです。ラリージャパンに向けて、良い準備ができました。それに1台でも優勝ですから!」と、笑顔でコメントした。

JN-3クラス優勝の竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) / Jun Uruno


JN-3クラスは、前日首位の竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ)が、後続との差をコントロールしながら、トップフィニッシュ。2014年のJN-4クラス以来となる、自身2度目の全日本選手権タイトルを決めた。竹内は昨シーズンから新型BRZでの参戦を続けており、新旧BRZでタイトルを獲得したことになる。今シーズン、全日本デビューながらもターマックで抜群のスピードを見せてきた山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)はこの日も4本のベストタイムを奪取。竹内との差を11.1秒に縮めての2位。3位に長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)、逆転チャンピオンを狙った山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)は、最後までペースを掴めず、4位に終わっている。

最終戦で待望の王座を手にした竹内は「山田選手がかなり追い上げてきましたが、マージンはあったので、自分のペースを守って走りました。予定どおりのラリー運びになりましたね。旧型BRZでもタイトル獲得しましたし、今回、新型でも獲れて本当によかったです」と、喜びのコメント。1年目のシーズンを終えた山田は「今シーズン最後ですし、ダラダラ走らずに、今までやってきたことを全部出し切ろうと走りました。できれば来年も全日本ラリーに出たいのですが、まだ目処は立っていないので、これから色々なところと交渉したり、出られる道を探していきたいです」と、全日本再挑戦を誓う。3位表彰台の長﨑は「悪くないフィーリングでしたが、細かい煮詰めが必要だと感じました。ターマック初戦としては上出来です。方向性も見つけられたので、来年に繋がるラリーになりました」と、次のシーズンに向けて語っている。

JN-4クラス優勝の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno


スイフトスポーツ主体のJN-4クラスは、初日トップの西川真太郎/本橋貴司がこの日行われたすべてのステージでベストタイムをマーク。9.0秒差の2番手につけていた黒原康仁/松葉謙介との差を20秒以上にまで引き離して、シーズン4勝目を飾った。コ・ドライバーの体調不良にも見舞われた岡田孝一/河本拓哉が3位、開幕戦優勝の筒井克彦/古川智崇が4位を得ている。

得意のターマックでスピードを見せた西川は「新たなドライビングを試し、自分の成長を感じたラリーになりました。チームのサポートもあっての2連覇です。個人的にも感無量です」と、喜びの笑顔を見せた。最終日に逆転を狙ってスタートしたものの、逆に突き放されてしまった黒原は「ドライコンディションのラリーを楽しむことができましたが、自分の足りない部分も見えてきました」と、悔しさをあらわにした。3位の岡田は「今年はラリー北海道で優勝できて良かったです。ただ、ターマックはステアリング操作が多くて年寄りにはつらいですね(笑)」と、苦笑いを見せた。

JN-5クラス優勝の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) / RALLY PLUS


JN-5クラスは、初日トップの大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、危なげなく首位を守り、前戦のラリー北海道に続きシーズン2勝目。前日3番手の天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)はこの日のオープニングのSS7でベストを刻み、2番手に浮上。天野に抜かれて順位を落とした藤原直樹/中嶋健太郎(マツダRX-8)は、SS10でベストタイムをマーク。しかしこの日の終盤には小濱勇希/竹下紀子(トヨタ・ヤリスCVT)と小川剛/梶山剛(トヨタ・ヤリス)がポジションを上げ、それぞれ3位と4位に浮上した。

今シーズンは一時欠場もあり、厳しい時期を過ごした大倉は「今季はチームに色々と迷惑もかけましたが、体制の見直しもあって、最後にすごくいいラリーを戦えました。全体的にしっかりとしたマシンを作り上げてくれて、その恩に結果で応えられたような気がしています」と、チームへの感謝を語った。2位に順位を上げた天野だったが、「とりあえず、2位に入れてよかったです。同じGRヤリスRSですが、絶対に勝てないフィールドが存在していました。それだけ熟成が進んでいるということでしょう。これは来年以降の課題ですね」と、自身の課題を語っている。

JN-6クラス優勝の兼松由奈/保井隆宏(トヨタ・ヴィッツCVT) / RALLY PLUS


JN-6クラスは、初日首位の兼松由奈/保井隆宏(トヨタ・ヴィッツCVT)が安定したペースで首位をキープ。SS7で2番手に順位を上げた福島賢大郞/井上草汰(トヨタ・アクア)は、SS11で痛恨のコースオフ。マシンにダメージを負って、初の全日本選手権をリタイアで終えることになった。兼松はうれしい全日本初勝利。前日の4番手からふたつ順位を上げた南久松奈々/坂井智幸(トヨタ・ヤリス)が、全日本での初ベストと2位表彰台を手にした。3位には鷲尾俊一/鈴木隆司(マツダ・デミオ)が入っている。

初優勝の兼松は「危ない箇所は抑えて、しっかり集中して走りました。保井選手からは全体を考えて、たくさんアドバイスして頂きました。あらためて、コ・ドライバーの力の大きさを感じました」と、保井への感謝を語った。南久松は「去年は3位で、今回は初めての2位。本当に一歩ずつ、成長しているんだな……と実感しています」と、2位表彰台に喜びのコメントを残している。サスペンションにトラブルを抱えながらも3位に入った鷲尾は「今シーズンは本当にいい成績を収めさせてもらいました」と笑顔でコメントしている。

ラリーハイランドマスターズ 結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 48:50.7
2 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +31.0
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +44.3
4 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +1:20.9
5 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +1:38.1
6 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +1:44.0

8 竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) +4:12.0
13 西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +5:36.3
14 大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) +5:45.7
28 国沢光宏/木原雅彦(ルノー・クリオ・ラリー5) +8:13.9
37 兼松由奈/保井隆宏(トヨタ・ヴィッツCVT) +11:10.4

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