全日本ラリーカムイ:コバライネンがポジションを守り今季5勝目を獲得 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリーカムイ:コバライネンがポジションを守り今季5勝目を獲得

©Jun uruno / JN-1クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

2022年全日本ラリー選手権第6戦2022 ARKラリー・カムイは7月10日(日)にすべての競技を終えて、シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣がトップでフィニッシュ。今シーズン5勝目を飾り、チャンピオンに王手をかけることとなった。2位にはスバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉、3位にトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が入っている。

この日は6SS、37.80kmで争われる。3SSを2度ずつ走行する構成で、過去の大会でも使われてきたコースが主体となる。SS6/9のSTREAMはこの日最長の10.17km。スタートを前に、サービスパークや近隣のエリアには雨が降り、ウエットコンディションというほどではないものの、ホコリが立たなくなる程度に路面は湿り気を帯びることとなった。

JN-1クラスの表彰式 / Tadayoshi Nakajima


JN-1クラスは、コバライネンがオープニングのSS5を制する好スタート。しかし続くSS6では、ファビアR5のバンパーに草が詰まってしまい冷却機能が低下し、オーバーヒート症状を呈してスローダウンを余儀なくされた。このSS6では新井がベストタイムをマークし、一時13.2秒あったコバライネンとの差を1.3秒に縮めることに成功した。SS7は鎌田卓麻/松本優一のスバル勢が今季初のベストタイムをマークする力走を見せる。コバライネンは、SS8とSS9で一番時計を刻みリードを拡大。最後のSS10では福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)がグラベル林道での初ベストタイムをたたき出している。結果、コバライネンは2番手の新井に13.5秒差をつけて、シーズン5勝目を飾った。

R5車両で初のグラベルラリーを制したコバライネンは、「いいラリーウイークだった。ただ先日、安倍晋三元総理が亡くなられたし、この勝利を盛大にお祝いする気持ちにはあまりならない。僕自身、政治的な意見はしないけれど、暴力に訴えるのは間違っている。今回、素晴らしいマシンを用意してくれたアイセロ・チームには感謝している。グラベルでのドライビングは改善点がもっとあると感じた。次のラリー北海道は大きなチャレンジになるが、今回の経験が助けてくれるだろう」と、次戦への展望を語る。2位の新井は「手応えはありました。次につながるラリーにはなったかなと思います。クレバーに走るのと、全開で走るのをしっかりメリハリをつけていきたいですね」と振り返った。勝田は一時新井との差を0.4秒にまで縮めたものの、「頑張ったけど、思うような走りができていませんでした。路面の変化に対する影響が顕著に出てしまった感じです。ラリー北海道に向けて、しっかりテストする必要性を感じました」と、3位でフィニッシュした。

JN-2クラス優勝の中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) / Jun Uruno


2台での争いとなったJN-2クラスは、中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)が前日の2番手から逆転を果たし、今シーズン負けなしの6連勝。2度目の全日本チャンピオンを手中に収めた。2位はホンダ・シビック・タイプRユーロの小倉雅俊/平山真理が入っている。今回のラリーでタイトルを確定させた中平は、WRCラリージャパンへの参戦準備に集中するため、次戦ラリー北海道と最終戦のハイランドマスターズは欠場を予定しているという。

中平は「勝って終えられて良かったです。2回目のチャンピオンは嬉しいですね。応援いただいた皆さん、そしてチームに感謝したいです。道の状況が変則的だったので、掘れ具合などにアジャストするのが難しかったですが、クルマの動きを徐々につかめたことで、タイムを出せるようになりました。今季は自分との戦いという感じでしたが、決して楽じゃないと思いました」と、シーズンを振り返った。WRCラリージャパンへはGT86 CS-R3で出場予定だ。2位の小倉は「今日の2本目はドライビングを思い出せたかな……と思ったけど、3本目になったら、裏切られている感じでした。後半はサスペンションも完調ではないので抑えてのフィニッシュでした」とのこと。次戦はラリー北海道を予定しているという。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) / Tadayoshi Nakajima


前日首位の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)がペースを緩めることなく快走したJN-3クラス。山本はこの日の6SSすべてでベストタイムをマークするスピードを見せて今シーズン初勝利を獲得した。一方、長﨑雅志/大矢啓太(トヨタ86)と加納武彦/横手聡志(スバルBRZ)による2番手争いは終始接戦となったが、前日3番手の加納が長﨑を逆転して2位フィニッシュ。加納は前戦モントレーに続く表彰台を獲得した。長﨑はこれがシーズン初戦ながらステディな走りで表彰台を獲得。旧型のスバルBRZで出場した竹内源樹/木村悟士は4位、初グラベルラリーの山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)は5位で完走を果たした。

GR86での初優勝を果たした山本は「今日の前半は序盤はスライドし始めると止まらない難しい路面だったので、気をつけて走りました。全体的にトラブルもなく、スムーズに行けました。クルマはまだ発展途上ですが、まず1勝できて良かったです。この後はインターバルが開きますが、やるべきことも見えてきました」と、手応えを覗かせた。2位の加納は「無事に2位に入れました。最後のSSではレーシングシューズが壊れてしまって集中力が途切れたんですが、なんとか逃げ切ることができました(笑)。ダートでの走りが戻ってきた感覚があるのでセッティングも詰められましたし、ラリー北海道ではもっと良い成績がほしいですね」と、力強くコメント。3位の長﨑は「コ・ドライバーが大矢選手になって、さらに今季初参戦ということを考えると、3位は上出来だと思います」と振り返った。長﨑は今後に向けてGR86も準備を進めているという。

JN-4クラス優勝の須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno


JN-4クラスは、前日首位の岡田孝一/河本拓哉(スズキ・スイフトスポーツ)がペースを上げられずにポジションダウン。前日2番手の須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)と香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)が接戦を繰り広げた。オープニングのSS5、SS6でベストタイムをマークした香川がトップに立つが、SS7では須藤が香川のタイムを上まわり逆転、SS8では再び香川がトップを取り戻すなど、ダイハツ・ブーンX4の山口貴利/山田真記子も加わり、トップ3の順位は目まぐるしく変動した。最終的にはSS10でベストタイムをマークした須藤が、香川を下して今シーズン初優勝を手中に収めている。0.7秒差の2位には香川、9.2秒差の3位に山口が入っている。岡田は4位、西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)は今回5位に入賞し、チャンピオン獲得に王手をかけている。

須藤は「シビれました。2ループ目の最初で制御の問題が出てしまい、10秒も負けてしまって。そこからは必死に攻めました。ブレーキを踏むとまた制御が入ってしまうので、アクセルだけ踏んで(笑)。最後も落ちかけましたが、無我夢中で走り切ることができました」と笑顔を見せた。2位の香川は「いや〜やられちゃいましたね。悔しいです。いい勝負だったので面白かったですが。次戦はまだちょっと分かりません。チャンスがあればまた出たいですね」と、好バトルを振り返った。SS8でベストタイムをマークした3位の山口は、「序盤にペースノートのロストがありましたが、気持ちを切り替えて後半に臨みました。選手権には絡んでいないので順位は気にせず、マイペースで楽しく走れました」と語っている。

JN-5クラス優勝の渡部哲成/小藤桂一(トヨタ・ヤリス) / Jun Uruno


前日首位の松倉拓郎/尼子祥一(マツダ・デミオ)がオープニングのSS5でリタイアするという波乱の展開となったJN-5クラスは、トヨタ・ヤリスの渡部哲成/小藤桂一が今シーズン初優勝。2位にはチームメイトの小濱勇希/橋本美咲(トヨタ・ヤリス)が入った。3位にはトヨタGRヤリスRSの大倉聡/豊田耕司、ポイントリーダーの天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS)は4位でラリーを終えている。5位は小川剛/梶山剛、6位に鎌野賢志/明治慎太郎と、トヨタ・ヤリス勢が続いた。松倉はこの日のオープニングステージでドライブシャフトを破損しリタイア。代わってトップに立った渡部が、追いすがる小濱を寄せ付けずにゴール。渡部・小濱と順位は逆だが、チームとしては前戦モントレーに続く1-2フィニッシュとなった。

トップでサービスに戻ってきた渡部は「自分の走りに集中できました。これまで、チームの皆さんに頑張ってクルマを用意してもらっていたのに、なかなか結果で返すことができず辛かったのですが、ようやくチームに恩返しできてうれしいです。チームの皆さんのおかげです。今日の午前中に草刈りをやってしまって、それも修理していただいて……」と、チームに対しての感謝を述べた。2位に入った小濱は「最初の路面がソフトだった段階で詰め切れなかったのが、最後に響きました。次はハイスピードのラリー北海道なので、駆動系の差は埋まってくるはずです。あとはドライバーですね。『これをやりたい』というアイデアに監督やチームが応えてくれるので、それを次までに考えています」と語っている。3位の大倉は「最後、スタートで轍にスタックするところでしたが、クルマにようやく慣れて、課題も見えてきました。ひとまず完走できて、ラリー北海道に向けてもいいデータが取れたと思います」と語っている。

JN-6クラス優勝の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) / Tadayoshi Nakajima


JN-6クラスは、前日首位の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ)がリードを拡大してフィニッシュ。海老原は今季ここまで土つかずの6連勝を達成し、チャンピオンを確定した。このクラスでは、SS5で停車した競技車両がいたため、鷲尾俊一/鈴木隆司(マツダ・デミオ)と中西昌人/有川美知代(マツダ・デミオ)にはノーショナルタイムが与えられることとなり、実質5SSでの戦いに。2番手鷲尾と3番手中西の差は、前日を終えた段階で5.3秒あり、逃げる鷲尾を中西が追う展開となった。鷲尾は一時リードを12.4秒差まで拡大、最終的に中西が1.3秒差まで詰め寄ったが、逆転には至らず、2位に鷲尾、3位に中西が入った。

海老原は、「狙ったとおりに走ることができ、良くまとめられたと思います。実感はまだ湧いていないんですが、素直にうれしいです。今日はクルマの調子もあまり良くなくて我慢のラリーだったので、そこを見直して次のラリー北海道では思い切り走りたいですね」と、チャンピオン確定に笑顔を見せた。2位の鷲尾は「午後はかなり荒れていたので、走り切れてホッとしました。次の日曜日にラリー北海道に向けた足まわりのテストをします」と、早くも次戦への準備を進めていく様子。3位の中西は「今日の前半では地に足がついていなくて、鷲尾選手には追いつけませんでした。でもレグポイントでは上まわれたので、痛み分けですね」とラリーを振り返っている。

次戦は9月9日(金)〜11日(日)にかけて、北海道帯広市を拠点として行われる「RALLY HOKKAIDO」。2日間10SS、SS距離107.26km、総走行距離683.51kmで争われる。今年はラリーショーとセレモニアルスタートを9月9日(金)に帯広駅前の駅北多目的広場および平原通りで行う予定。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の状況により、行わない場合があるとアナウンスされている。このラリーでチャンピオンが確定するクラスもあり、目の離せない展開となりそうだ。

また、今回の結果を受けた加減重量は、1位のコバライネンが+30kg、2位の新井が+20kg、3位の勝田が+10kg、4位の福永が-10kg、7位の眞貝が-10kgとなる(加算される重量の上限は+50kgまで、軽減される下限は当該車両の最低重量まで)。

2022 ARKラリー・カムイ SS10後結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 49:40.1
2 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +13.5
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +23.6
4 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +36.5
5 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +39.2
6 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +39.7

14 渡部哲成/小藤桂一(トヨタ・ヤリス) +6:20.2
15 山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) +6:29.1
19 中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) +7:36.0
20 須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ) +7:43.6
40 海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) +13:31.8



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