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全日本ラリーカムイ:シーズン初グラベルラリー、初日はコバライネンがトップ

©Jun Uruno / JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

7月8日(金)〜10日(日)にかけて、全日本ラリー選手権第6戦2022 ARKラリー・カムイが北海道虻田郡ニセコ町を拠点として開催された。9日(土)の競技初日を終えて、首位はシュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣、2番手にスバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉、3番手にトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介がつける展開となった。

今大会は2022年シーズンの全日本ラリー選手権において初のグラベルラリーであり、終盤戦に向けて重要な位置づけとなる一戦だ。ラリーはSS1/3に新コースとなる寿都郡黒松内町の林道を組み込み、初日に4SS・38.80km、最終日に6SS・37.80kmという計76.60kmの設定。新設されたSS1/3は、舗装とグラベルが組み合わされた路面で、ジャンクションごとに道の性格が変わるコース。レッキを終えた段階では、最も警戒するステージとして挙げる選手も多かった。ところが、スタート前の段階で発行された公式通知により、SS1/3の距離は7.28kmから3.64kmに、全体のSS距離も76.60kmから69.32㎞に短縮されることとなった。

なお、今季から性能調整が導入されているJN-1クラスの、今大会における最低重量は下記のようになっている。
前戦1位:ヘイキ・コバライネン(シュコダ・ファビアR5)1280kg(最低重量+50kg)
前戦2位:眞貝知志(トヨタGRヤリス)1188kg(最低重量+20kg)
前戦4位:福永修(シュコダ・ファビアR5)1260kg(最低重量+30kg)
前戦リタイア:勝田範彦(トヨタGRヤリス)1188kg(最低重量+20kg)

好天に恵まれた9日(土)9時、ラリーはニセコアンヌプリ国際スキー場の駐車場に設けられたゲートからスタート。各車とも約50km離れた黒松内町のステージへと向かっていった。

JN-1クラス首位のヘイキ・コバライネン / Naoki Kobayashi


コバライネンのR5初グラベルに注目が集まったJN-1クラス。SS1はそのコバライネンがベストタイムをマークし、0.8秒差で新井、3番手には福永修/齊田美早子が続いた。続くSS2では、新井がベストタイム。「序盤は慎重になりすぎた」と語る先頭走者のコバライネンをかわして、新井がJN-1トップの座についた。ところが、サービスを挟んだSS3ではコバライネンが大きくペースアップし、一番時計。首位の座を取り戻し、続くSS4でもベストタイムをたたき出す快走。トータルで2番手の新井に9.1秒、3番手の勝田に11.1秒の差をつけて、初日を終えた。

首位を走るコバライネンは「午前中は先頭スタートには厳しかったね。アライさんやノリさんが僅差でつけているし、かなりの接戦だ。それでも、R5で初のグラベルラリーでリードできていることに驚いているよ。とにかくフィニッシュしてポイントを持ち帰ることを考えるよ」とコメント。2番手の新井は「2ループ目は轍がひどくて、ちょっと抑えてしまった局面もあった。2回目の走行ではヘイキもしっかりアジャストしてくるし。路面が掘れてしまうとサスペンションの長さなど、R5が有利な局面もあるね」と語る。3番手の勝田は「トラブルもパンクもなく、いたって順調です。セカンドループは少しセットを変えて、頑張ったんですけどね……。明日は滑りやすい箇所もあるので、注意しないといけないと思っています」と、初日を振り返った。

JN-2クラス首位の小倉雅俊/平山真理(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) / Jun Uruno


JN-2クラスはチャンピオンに王手をかけた中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)と、小倉雅俊/平山真理(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)の一騎打ちに。序盤から小倉が3連続ベストタイムをマークし、ラリーをリード。中平は昨年以来となるグラベル用車両のドライビングに苦労しながらも、完走重視のペースを維持するなか、SS4でベストタイムを刻み、初日を終えた。

今回がシビック・タイプRでの全日本初参戦となる小倉は「地区戦には1回出たんですが、クルマに全然慣れていないので、完走してデーターを集めることに集中しています。まだ思ったように動いてくれないので、とにかくマイレージを稼がないと。最後のSSは轍が深くてびっくりしました」と、初日のコンディションを振り返った。2番手の中平は「とにかくちゃんと帰ってくることを最優先しました。抑えるところと、行くべきところのバランスが難しいですね。リスクを負うメリットはないですし、自分との戦いですね」と、着実なフィニッシュに向けてコメントを残した。

JN-3クラス首位の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) / Jun Uruno


トヨタ86とスバルBRZのライバル対決が行われるJN-3クラスは、4SS中3SSでベストタイムをマークしたトヨタGR86の山本悠太/立久井和子がトップ。前走者に追いつき砂埃に悩まされる場面もありながら、ラリーをリードしている。今シーズン初参戦となる長﨑雅志/大矢啓太(トヨタ86)が2番手、前戦で3位表彰台を獲得した加納武彦/横手聡志(スバルBRZ)が3番手につけている。旧型のBRZで出場した竹内源樹/木村悟士が4番手、グラベル初参戦の山田啓介/藤井俊樹(トヨタ86)が5番手で初日を終えた。

首位の山本は「色々テストを兼ねてサスペンションなどを調整していますが、砂埃もありましたし、まだまだ満足できていません。もっとタイムを上げていきたいのが正直なところです。あまり無理せず走り切りたいです」と展望を語る。SS1は抑えすぎたという長﨑は、「少しでもポイントを獲得するために、完走が絶対目標ですが、もう少し何かが必要な気がしています。自制心をもってしっかり走り切りたいです」と振り返った。3番手につける加納は「僅差の2番手争いができているので、楽しんで走れています。明日の長いステージがけっこうハイスピードなので、1秒でも詰めていって、1本1秒ずつ返していけば、楽しい展開になるはずです」と、2日目のグラベルステージに自信を覗かせた。

JN-4クラス首位の岡田孝一/河本拓哉(スズキ・スイフトスポーツ) / Tadayoshi Nakajima


JN-4クラスはスズキ・スイフトスポーツ勢に加え、今季初参戦となる香川秀樹/松浦俊朗のホンダ・シビック・タイプRユーロ、山口貴利/山田真記子のダイハツ・ブーンX4が加わり、乱戦模様になるかと予想されたが、スイフトスポーツの岡田孝一/河本拓哉が3SS連続ベストタイムをマークして頭ひとつリード。同じくスイフトスポーツの須藤浩志/新井正和が2番手、この日最後のSS4でベストタイムをマークした香川が3番手、山口が4番手という上位の顔ぶれだ。ここまでランキングトップの西川真太郎/本橋貴司(スイフトスポーツ)は5番手につけている。

首位の岡田は「道中、セットアップをいじったら、意外といい感じで走れています。SS4は、壊せないと思ってペースを落としたら負けてしまいましたね。明日もネジを締め直して頑張りたいです」と笑顔。2番手の須藤は「2ループ目はなんとか頑張って、岡田選手に置いていかれないようにはできましたね。明日は3台が接戦で面白くなるはずです」と、手応えを語る。3番手の香川は昨年のカムイのウイナー。「2回目のロングSSは路面がかなり掘れていて、厳しかったですね。明日はやりますよ!」と意気込みを見せた。

JN-5クラス首位の松倉拓郎/尼子祥一(マツダ・デミオ) / Tadayoshi Nakajima


4SS中3SSでベストタイムをマークした松倉拓郎/尼子祥一のマツダ・デミオがリードするJN-5クラス。2番手にはトヨタ・ヤリスの渡部哲成/小藤桂一、3番手に同じくトヨタ・ヤリスの小濱勇希/橋本美咲がつけた。4番手には大倉聡/豊田耕司、5番手に天野智之/井上裕紀子と、トヨタGRヤリスRS勢が続いている。SS2では0.2秒という僅差ながら渡部が一番時計を刻むも、地元北海道の松倉が1日を通じて強さを見せる展開となった。

松倉は「SS1ではインカムの接触不良が起きたり、SS3ではホイールが割れたりしましたが、パンクせずに済みました。明日もダメージをしっかりコントロールしながら走りたいですね」と、トラブルを乗り越えて初日をトップでまとめている。2番手につけた渡部は「CVTでのグラベルラリーは今回が初めてですが、午前中はいい流れで走れました。午後はもう少しうまく走れたはずで、反省点が多いです。明日は最初のループが勝負だと思っています」とコメント。3番手の小濱は「セットアップをコントロールしやすい方向にすることで、ちゃんと姿勢を作って高い速度でアプローチできるようになりました。明日は巻き返したいですね」と、初日を振り返った。

JN-6クラス首位の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) / Jun Uruno


3台でのバトルとなったJN-6クラスは、チャンピオンに王手をかけている海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ)が首位、鷲尾俊一/鈴木隆司(マツダ・デミオ)が2番手、中西昌人/有川美知代(マツダ・デミオ)が3番手となっている。海老原は4連続ベストタイムで2番手の鷲尾に1分18秒8の差をつけて、王座に向け視界良好という状態だ。

その海老原は、「あまりグラベルラリーは得意ではないので抑えて走りましたが、序盤で差をつけられて良かったです。去年の倍くらい道が掘れていて、溝に落としすぎないように慎重に走ったことで少し遅れてしまいましたが、完走を目指します」とコメント。2番手の鷲尾は「完走すれば、シリーズ3位が獲れるので、まずはそれを目指します。SS2/4は道がかなり荒れているので、バーストさせないよう注意します」と語った。3番手の中西は「道の悪さから、完走ペースに切り替えました。何か乗りにくくて……。明日はリタイアしないように頑張ります。なんとか鷲尾選手はとらえるつもりです」と決意を語る。

7月10日(日)の競技最終日は6SS、37.80kmで争われる。3SSを2度ずつ走行する構成で、過去の大会でも使われてきたコースが主体となる。SS6/9のSTREAMのみが10km以上あり、勝負の分岐点となることが予想される。

2022 ARKラリー・カムイ SS4後結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 22:35.0
2 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +9.1
3 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +11.1
4 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +20.6
5 鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +22.8
6 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +24.9

14 松倉拓郎/尼子祥一(マツダ・デミオ) +2:50.0
19 山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) +2:55.2
20 岡田孝一/河本拓哉(スズキ・スイフトスポーツ) +3:32.2
28 小倉雅俊/平山真理(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) +4:02.6
41 海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) +6:14.0



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