全日本ラリー北海道:新井大輝が大会連覇で今季3勝目。奴田原文雄が選手権首位に浮上 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー北海道:新井大輝が大会連覇で今季3勝目。奴田原文雄が選手権首位に浮上

©Jun Uruno

■レグ2

ラリー2日目は、池田町の旧野球場に設定された観戦ステージ「SSS イケダ(0.50km)」と「オトフケ・リバース(6.12km)」の2本を北愛国のサービスを挟んでリピートする4SS、13.24km。前日、SS1後にギヤボックストラブルでレグリタイアしたヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)、SS3でコースオフを喫した鎌田卓麻/松本優一(シュコダ・ファビアR5)はマシンを修復し、リスタートしている。

朝は予報どおりの雨となり、コンディションはウエット。総走行距離こそ短いものの、滑りやすい路面には注意が必要だ。わずか500mの距離ながら路面がマディとなったことで難易度が一気に高まったSS9は、鎌田が新井大輝/立久井大輝(シュコダ・ファビアR5)に1.5秒、福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアRSラリー2)に1.7秒差のベストタイム。ドライ方向のセットアップで走行した奴田原文雄/東駿吾(ヤリス・ラリー2)は10.8秒差の5番手タイムに沈み、新井大輝との差は26.2秒差に拡大した。

水はけのいい道のため比較的コンディションが安定していたSS10は、ドライタイヤ4本で走った新井大輝が、コバライネンに1.1秒、鎌田に2.5秒、奴田原に3.7秒差のベスト。最終セクションを前に奴田原に対するアドバンテージを29.9秒としている。

JN-1クラス優勝の新井大輝/立久井大輝(YAHAGI シュコダ ファビア R5)/Jun Uruno

北愛国での中間サービスを挟んだ午後のセクション、新井大輝はSS11はベストのコバライネンから2.1秒差で奴田原と同タイムの3番手、最終のSS12は一番時計で締めくくり、最終的に奴田原との差を35.8秒に広げて、第4戦モントレー以来となるシーズン3勝目を決めた。2分37秒4差の総合3位はラリーをとおしてドライビングの試行錯誤を続けた福永、6分21秒4差の総合4位に今井聡/高橋芙悠(シトロエン C3R5)が入った。

サバイバル戦を制した新井大輝は「今日はタイム差があったので、クルマを労って、フィニッシュまで戻ってくることを考えて走りました。色々とトラブルやアクシデントが発生するなかで、大きな問題がなかったことが何よりでした。あとはチームがもっと高いレベルに成長していかなければならないと、強く感じています」と、課題を口にした。

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総合2位に入り、今回ノーポイントに終わった勝田を抜いて、ポイントリーダーに浮上した奴田原は「シリーズトップになりましたね。ただ、今回は新井大輝選手に負けてしまったので、まだまだだな……とも思っています。ラリー2のポテンシャルも完全に引き出せていませんし、伸びしろはあると考えています。まだ速くなれるはずです」と、次戦での挽回を誓った。

JN-2クラスは、初日に大きなアドバンテージを手にした首位の大竹直生/橋本美咲(トヨタGRヤリス)が、2番手以下との差をコントロールするクレバーな走りを披露。SS10ではベストタイムもマークし、2位の内藤学武/大高徹也(GRヤリス)に51.5秒、3位の石川昌平/大倉瞳(GRヤリス)に59.1秒差をつけて、前戦カムイに続くJN-2クラス2連勝を飾った。また、大竹はMORIZO Challenge Cup(MCC)において開幕から6連勝を飾り、2戦を残して暫定チャンピオンの座を決めた。

JN-2クラス優勝の大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 RALLY)/Jun Uruno

念願のMCC制覇を達成した大竹は「ラリー北海道は過去に優勝したこともありましたが、昨年のような苦い思い出もある一戦です。今回、多くのクラスでリタイアが多発していましたし、そのような難しいラリーで完走し、MCCの暫定チャンピオンを獲得できたことを、まずは嬉しく思います。ラリー中は熱中症気味になる場面もありましたが、チームの皆さんがラリー・カムイで見えた課題を踏まえてクルマをアップデートしてくれたことで、リスクを避けつつ好ペースを維持することができました」と、チームへの感謝を語った。

優勝争いに絡めなかったものの、2位を持ち帰った内藤は「ベストを並べられず、5~6番手のタイムが多かったところに課題は感じますが、しっかり完走して2位を獲得できたことが嬉しいです。JN-4クラスよりも、高速域でのアベレージスピードが高いので、クルマがどう動くのかイメージがついていなかったのですが、今回のラリーで100kmほど走って、ずいぶんイメージがつきました」と、手応えを語っている。

JN-3クラスは、首位の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)が、この日もSS11以外の3本を制し、2位の加納武彦/島津雅彦(スバルBRZ)との差を3分07秒6に広げて、シーズン5勝目。2戦を残して3年連続のクラスチャンピオンを確定させた。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(SammyK-oneルブロスYHGR86)/RALLYPLUS

雨となった最終日も危なげなく走り切った山本は「今日は、危ない箇所はしっかり抑えて走りました。モントレーでのリタイア以外は、ここまですべて優勝することができましたね。昨年の段階でセットアップが決まっていたことで、ターマックでしっかり成績を残せたことが大きかったです。あらためて、開幕戦からアタックできる体制を用意してくれたチームに感謝したいです」と、振り返った。

JN-4クラスは、初日首位の小舘優貴/伴英憲(三菱FTO)が、鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ)を従えてトップフィニッシュ。嬉しい全日本ラリー選手権初勝利を飾った。一方、SS11まで3番手につけていた藤原優貴/宮本大輝(スイフトスポーツ)が、2番手の鮫島と4.8秒差で迎えた最終のSS12、フィニッシュまであと200mの地点でまさかのコースアウト。藤原がノーポイントに終わったことで、ラリー序盤からエンジントラブルに苦しめられていた高橋悟志/箕作裕子(スイフトスポーツ)が3位入賞。「諦めない、腐らない、逃げない」と最後まで執念のラリーを戦った高橋が、10年ぶりとなるシリーズチャンピオンを獲得した。

JN-4クラス優勝の小舘優貴/伴英憲(BMKsport FTO)/Jun Uruno

念願の全日本初勝利を手にした小舘は「最終ステージのSS12の途中でデフが壊れてしまって、駆動が抜け気味になってしまいました。正直、『もう終わった』と思いましたが、なんとか戻ってこられましたね(笑)。本当にここまで来られないと覚悟しましたが、最高の気分です」と、喜びを爆発させた。そして、厳しいラリーを耐え忍びながらタイトルを決めた高橋は「最後まで戦い切りたかったんですが、それは仕方ないです。それでも、2015年のトヨタ・ヴィッツで獲って以来のタイトルです。ようやくですね。本当に辛かったですが、諦めないで良かったです。シーズンの有終の美を飾りたいので、クルマをしっかり直して、ターマックに挑みます」と、噛み締めるように語っている。

JN-5クラスは、初日トップの松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)が、4SS中3本のSSでベストを奪う快走を披露し、第4戦モントレーから続く連勝記録を3に伸ばした。今回は参戦をスキップした選手権首位の河本拓哉とのポイント差を縮めており、逆転チャンピオンに望みを繋いでいる。最終日に三苫和義/遠藤彰(ホンダ・フィット)を突き放した、小川剛/山本祐也(ヤリス)が2位を得た。

JN-5クラス優勝の 松倉拓郎/山田真記子(DL☆Gセキネン鹿ソニックセラメタヤリス)/Jun Uruno

盤石のラリーを戦った松倉は「雨も降っていましたし、安全に速く攻めた感じです。ダメージなく順調に走れました。選手権ランキングを考えると、ターマックの久万高原とハイランドで勝つしかないので、とにかく頑張ります」と、逆転タイトルに向けて意気込みを語った。2位で走り切った小川は「新しいショックアブソーバーを投入したので、セッティングを変更しながら走りました。乗り心地はいいんですが、タイムを出すまでには時間がかかりましたね」と、分析した。

JN-Xクラスは、初日トップの天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、前走車のアクシデントによりノーショナルタイムが与えられたSS12以外、すべてのSSでベストタイムをマーク。今シーズン負け知らずの6連勝を達成し、天野が12年連続17回目、井上が16年連続18回目の全日本タイトルを獲得した。2位に中西昌人/山村浩三(ホンダCR-Z)、3位に清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)と、前日どおりのオーダーでラリーを終えている。

JN-Xクラス優勝の天野智之/井上裕紀子(TRT・DLアクアGR SPORT)/RALLYPLUS

開幕6連勝を飾り、早々にタイトルを決め、今年から始まったJN-Xの初代チャンピオンとなった天野は「本当は、今年から投入したトヨタRAV4でタイトルを決められたらよかったですね。ただ、RAV4はセッティングも含めて煮詰めている最中ですし、規定が追いついているとは言い難いクルマ。新しいクルマに対して、僕らだけでなく、みんなも戸惑っている状態です。そう言った意味で、でき上がっているアクアは本当に楽でした。距離の短いSSであれば、JN-5クラスとも争えますし、地区戦やTGRラリーチャレンジなどでは十分戦えるクルマです」と、2台の愛機について語った。清水を9.0秒差で凌ぎ2位表彰台を獲得した中西は「久しぶりの2位表彰台です。ハイブリッドのマニュアル仕様にしたことが、今回の結果につながりました」と、笑顔を見せている。

全日本ラリー選手権第6戦ラリー北海道 最終結果
1 JN-1 新井大輝/立久井大輝(YAHAGI シュコダ ファビア R5) 1:05:58.2
2 JN-1 奴田原文雄/東駿吾(ADVANKTMSGRヤリスRally2)+35.8
3 JN-1 福永修/齊田美早子(スミロン☆焼肉ふじ☆CTE555ファビア)+2:37.4
4 JN-1 今井聡/高橋芙悠(AKM・MOTORSPORTS・C3R5)+6:21.4
5 JN-2 大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 RALLY)+6:33.2
6 JN-2 内藤学武/大高徹也(YH TEIN Moty’s GRヤリス)+7:23.5
7 JN-2 石川昌平/大倉瞳(ARTAオートバックスGRヤリス)+7:32.0
8 JN-2 長尾綱也/安藤裕一(DL WPMS GRヤリス)+7:44.7
9 JN-2 米林慶晃/木村悟士(KTMS GRヤリス)+7:45.4
10 JN-1 石黒一暢/穴井謙志郎(カヤバGRヤリス)+8:20.8
13 JN-3 山本悠太/立久井和子(SammyK-oneルブロスYHGR86) +9:21.4
22 JN-4 小舘優貴/伴英憲(BMKsport FTO) +12:08.0
24 JN-5 松倉拓郎/山田真記子(DL☆Gセキネン鹿ソニックセラメタヤリス) +12:48.8
37 JN-X 天野智之/井上裕紀子(TRT・DLアクアGR SPORT) +19:05.5

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