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WRCアクロポリス:トヨタのセバスチャン・オジエが2位フィニッシュ。エルフィン・エバンスは選手権首位を死守

©TOYOTA

WRC第7戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)は競技最終日となる6月29日、SS14〜SS17の走行が行われ、トヨタGRヤリス・ラリー1で参戦するトヨタ勢は、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデがポジションをキープして2位フィニッシュを果たした。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンも4位を維持したまま走り切り、ドライバーズ選手権では首位を死守した。前日デイリタイアを喫したはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは27位、勝田貴元/アーロン・ジョンストンは30位、TGR-WRT2のサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは46位でそれぞれフィニッシュした。

トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門にエントリーしたTGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀は、順位を上げて部門20位でフィニッシュした。また、GRヤリス・ラリー2のオリバー・ソルベルグが部門優勝、総合でも6位に食い込んだ。

(以下、発表リリース)


WRC 第7戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ4
過酷なサバイバルラリーを戦い抜きオジエが総合2位を獲得
総合4位エバンスはドライバー選手権首位でシーズンを折り返す

6月29日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」の最終日、デイ4が中央ギリシャのラミアを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が総合2位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合4位でフィニッシュしました。また、前日のデイリタイアから再出走を果たしたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、それぞれ総合27、30、46位で完走しました。

ラリー最終日となるデイ4は朝から空に雲が多く、競技中の気温は摂氏30度程度と、前日までよりは幾分か暑さが和らぎました。それでもステージのコンディションは依然厳しく、非常に荒れた路面が選手たちを最後まで苦しめました。最終日はラミアの北西エリアで、2本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その合計距離は99.06kmと、日曜日としてはかなり長い距離を走行する一日でした。

前日、総合2位に順位を上げたオジエは、首位オィット・タナック(ヒョンデ)との差が43.6秒と大きく開いていたことから、日曜日に得られる最大のボーナスポイントを獲得することに集中。午前中の2本のステージをいずれも2番手タイムで走行し、午後の再走ステージは2ステージ連続でベストタイムを記録。その結果、総合2位でラリーをフィニッシュすると共に、日曜日のタイムのみで競われる「スーパーサンデー」と、最終ステージの「パワーステージ」を制覇。トータルで27ポイントを獲得し、ドライバー選手権2位の座を守りました。

総合4位から最終日をスタートしたエバンスは、前日に続きミスのない安定した走りでコンスタントに3、4番手のタイムを記録。最後までしっかりと順位を守り抜き、スーパーサンデーでは3位を獲得し、パワーステージは4番手タイムで走破しました。その結果トータル17ポイントを獲得し、ドライバー選手権首位を堅守。選手権2位のオジエとの差は9ポイントと、第6戦終了時点よりもやや縮まりました。

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前日、コーナーをオーバーシュートしてデイリタイアを喫したロバンペラと勝田は、最終日に再出走を果たしラリーを完走。ロバンペラはパワーステージで2番手タイムを記録し、ボーナスの4ポイントを獲得しました。ただし、総合順位によるポイント獲得はならず、ドライバー選手権ではタナックに次ぐ4位に後退。過去に3年連続で優勝している次戦、ラリー・エストニアで巻き返しをはかります。また、所々で速さを見せながらもタイヤのダメージやコースオフにより厳しい週末を送った勝田は、最終日もパワーステージの途中でダメージを負ったタイヤを交換することに。総合30位でラリーを終えました。

TOYOTA

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TGR-WRTは今シーズン初めて表彰台の最上段を逃すことになりましたが、オジエ、エバンス、ロバンペラが合計46ポイントを獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権首位の座を堅守しました

ラリー序盤の金曜日に高い競争力を発揮し、一時総合3位につけたパヤリは、その後クルマの燃料システムに関するトラブルが発生しデイリタイア。土曜日の朝も一度パルクフェルメ(車両保管)からは出ましたが、チームの判断によりステージには向かいませんでした。しかし、最終日は修理されたクルマで再出走。不利な出走順トップでの走行となりましたが、それでも十分な速さを示し完走。Rally1車両での経験をさらに積み重ねました。

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サポート選手権のWRC2では、前日2位のライバルに1分37.8秒という大差を築いていたGR Yaris Rally2のオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)が優勝し、今シーズン3勝目を獲得。総合でも6位という素晴らしいリザルトを残しました。なお、ソルベルグは今回の勝利によりWRC2首位に浮上しました。また、カイエタン・カイエタノビッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)はWRC2 4位、アレハンドロ・カチョン(スペイン/テオ・マルティン・モータースポーツ)は5位と、WRC2のトップ5と総合トップ10に、3台のGR Yaris Rally2が入りました。

ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
今日のラリーの結果は喜ぶべきものです。もちろん、すべてのラリーで優勝したいと思っていましたが、それは不可能なことですし、今回もセブとオィットがハイレベルな戦いを繰り広げました。両者とも素晴らしいドライビングだったと思いますが、今回は週末を通じてオィットが僅かに速く、誰も彼に敵いませんでした。それでもセブはパワーステージとスーパーサンデーで1位を獲得しましたし、非常にタフな直近3戦で素晴らしいパフォーマンスを発揮するなど絶好調です。エルフィンもラフグラベルラリー3戦を出走順トップで走るという仕事を完璧にこなし、十分なポイントを獲得しました。カッレのスピードはパワーステージで示した通り健在ですし、貴元とサミにも速さはありました。ただ、彼らはこの週末は少し運に恵まれなかっただけです。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
非常に厳しいコンディションのタフな週末でしたが、トラブルを避け、再び4位でフィニッシュすることができました。また、日曜日のポイントも獲得し、ライバルたちの獲得ポイントとの差を少し抑えることができました。直近3 戦のラフグラベルラリーを出走順トップで走ることによって、選手権首位の座を失う可能性も十分あったことは、よく分かっていました。ですので、その点については満足しています。次はまったく異なるタイプのラリーですので、さらなるペースとパフォーマンスを発揮できることを期待しています。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
再出走した今日は、トリッキーな一日でした。出走順の関係でそれほど多くを望める状況ではありませんでしたが、それでもパワーステージでのペースは悪くなく、4ポイントを獲得することができました。これは自分が置かれた条件下で最良の結果だと思います。今回は本来あるべきところにペースもレベルも達していなかったので、自分にとっては最高の週末ではありませんでした。改善の余地があることは分かっているので、より強くなってエストニアに戻るために努力します。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)

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私たちにとっては、今回もまた非常に力強く戦えた週末でした。オィットのペースに対しては、出走順の違いも考慮すると、私たちにできることは限られていました。彼はよくやったと思いますし、勝利に値する戦いでした。27ポイントを獲得したのは、この週末に得られる最大の結果だと思いますのでとても満足しています。シーズンの前半戦を終え、私たちはマニュファクチャラー選手権を依然リードしています。チームが常に全力で頑張ってくれたことに感謝していますし、シーズン後半もこの調子で頑張りましょう!

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
パワーステージで結果を出すことができなかったのは残念でした。集中し全力でプッシュしてはいましたが、決して無理な走り方はしていませんでした。スプリットタイムを見ても、タイヤ交換のために止まるまでは全体で最速でした。フラストレーションの溜まる週末でしたが、このラリーは非常に過酷ですし、そういったことも起こり得ると分かっています。重要なのは落ち込むことなく前を見て、次のエストニアとフィンランドに備えることです。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今日は再び走ることができて良い気分でした。戦いに復帰させてくれたチームに感謝します。出走順トップでステージに臨み、ルースグラベルを掃き飛ばしながら走るのは、自分にとって奇妙で慣れないことでしたが、良い経験になりました。この週末の結果は期待していたものではなかったと言えますが、金曜日の序盤はかなり速さを発揮することができました。ペースが向上していることが分かったのは良かったですし、次のイベントが楽しみです。

アクロポリス・ラリー・ギリシャの結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) 4h12m20.1s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +32.8s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m09.8s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m31.1s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +8m59.5s
6 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +10m34.7s
7 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン(シュコダ Fabia RS Rally2) +11m28.5s
8 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +11m43.7s
9 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (トヨタ GR Yaris Rally2) +12m56.7s
10 アレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ (トヨタ GR Yaris Rally2) +14m19.9s
27 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +39m08.9s
30 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +44m09.1s
46 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1h22m21.0s
(現地時間6月29日17時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

第7戦終了時点でのドライバー選手権順位
1 エルフィン・エバンス 150ポイント
2 セバスチャン・オジエ 141ポイント
3 オィット・タナック 138ポイント
4 カッレ・ロバンペラ 117ポイント
5 ティエリー・ヌービル 96ポイント
6 勝田 貴元 63ポイント
7 アドリアン・フォルモー 61ポイント
8 サミ・パヤリ 32ポイント
9 オリバー・ソルベルグ 19ポイント
10 グレゴワール・ミュンスター 18ポイント

第7戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 358ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 293ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 97ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 57ポイント

次回のイベント情報
WRC次戦は、7月17日(木)から20日(日)にかけて、エストニアのタルトゥを中心に行われる第8戦「ラリー・エストニア」です。2020年に初めてWRCとして開催されたこのイベントは、比較的フラットでスムースなグラベル路面のハイスピードなステージが特徴です。ただし、道幅が狭くツイスティなセクションも少なくなく、同じくハイスピードなラリーであるフィンランドと比べると路面は軟らかく、同じステージを2回目に走行する際には深い轍が刻まれることもあります。なお、ラリー・エストニアは昨年WRCのカレンダーに含まれていなかったため、2年ぶりのWRC開催となります。



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