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全日本ラリーカムイ:MORIZO Challenge Cupが初のグラベルラリー

©今大会には7クルーが参戦し、スピードを競い合った。シーズン後半戦も目が離せない/TOYOTA

全日本ラリー選手権JN-2クラスに、若手育成を目的として設定されているトヨタGRヤリス、トヨタGRヤリスDATのワンメイクで争われるサブカテゴリー「MORIZO Challenge Cup(MCC)」。7月4日〜6日に北海道虻田郡ニセコ町を拠点に開催されたシーズン第5戦「2025 ARKラリー・カムイ」に7台が参戦した。

ラリーは、大竹直生が得意のグラベルで絶妙なペース配分を見せて、開幕から負けなしの5連勝を飾った。地元北海道出身で今大会からMT車両を投入した長尾綱也が、MCCでの初ステージウインをマークするなど活躍を見せ2位フィニッシュ。全日本ジムカーナチャンピオンで初めてグラベルラリーに挑んだ奥井優介が、荒れたコンディションを慎重に走り切りながらも好ペースを披露、3位に食い込んだ。

(以下、発表リリース)


MORIZO Challenge Cup第5戦 2025 ARK ラリー・カムイ
MCC初開催のグラベルラリーで大竹が優勝
2位の長尾、3位の奥井も健闘

7月5日(土)〜6日(日)にかけて、2025年シーズンの全日本ラリー選手権(JRC)第5戦「2025 ARK ラリー・カムイ」が、北海道虻田郡ニセコ町を拠点に開催され、JN-2クラス内の若手育成カテゴリー「MORIZO Challenge Cup(MCC)」において、TOYOTA GAZOO Racing-WRJ(TGR-WRJ)から参戦する大竹直生選手/橋本美咲選手が優勝を飾りました。

MORIZO Challenge Cup(MCC)は、若手ドライバー育成を目的に2024年から導入された、全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリーです。今シーズンもJN-2クラス車両規定をベースとした「トヨタGRヤリス」で争われます。全日本ラリー選手権全8戦で開催され、25歳以下(一部条件付きで28歳以下)のドライバーが対象。MCC独自のポイントが付与され、1位~3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。また、シリーズ年間成績優秀者には、副賞としてTGR WRCチャレンジプログラム最終選考の参加資格が与えられます。

第5戦カムイは、2024年に始まったMCCとしては初のグラベル(未舗装)ラリーとなります。今大会には、大竹直生選手、ジール・ジョーンズ選手、長尾綱也選手、松原周勢選手、奥井優介選手、平川真子選手、木内秀柾選手という7台がエントリーしました。

今回、MCCは北海道で開催されるグラベルラリー2戦に向けて、6月26日〜28日に北海道の陸別サーキットにおいて、TGR-WRTによるグラベルトレーニングを実施しました。22名のエントラントが参加し、WRCなど世界レベルの豊富な経験を持つミッコ・ヒルボネン氏、ヨウニ・アンプヤ氏、ヤンネ・フェルム氏から、実戦に沿った様々な指導を受けました。

北海道虻田郡ニセコ町周辺の林道に設定された、ラリー・カムイのスペシャルステージ(SS・タイムアタック区間であり、タイムが計測されるコース)は、比較的スムーズな路面が特徴となります。ただし場所によっては路面が柔らかく、2回目の走行では前走車による深い轍が刻まれるため、非常に難易度の高いラリーです。さらにこの時期は気温が高く、フィジカル面でもタフな一戦です。

ラリー初日、スタートから好ペースを見せたのは、ここまで4連勝中の大竹選手。SS1で長尾選手に9.8秒差をつけるSSトップタイムをマークすると、5連続でSSを制し、ラリーをリードします。SS2で長尾選手をかわしてMCC2番手に浮上したジョーンズ選手は、SS6とSS7で連続トップタイムを刻み、存在感を見せます。2度目の走行となり路面が荒れたSSでは、リスクを避けて慎重に走った大竹選手でしたが、初日だけで2番手以下に33.8秒ものリードを築くことに成功しました。

長尾選手はSS2でトラブルに見舞われながらも、コンスタントにSSトップ3に入る走りを見せ、MCC3番手をキープ。SS7ではトップタイムのジョーンズ選手に3.7秒差のセカンドベストを記録した奥井選手が、平川選手をかわしてMCC4番手で初日を終えています。

初のSSトップタイムをマークするなど
光る走りを見せた長尾選手/TOYOTA

初日に続きドライコンディションとなったラリー最終日。この日最初のSS8で、MCC2番手につけていたジョーンズ選手が痛恨のコースオフ。側溝から脱出できず、リタイアとなりました。この結果、長尾選手が2番手、奥井選手が3番手と、ひとつずつポジションを上げることに。首位の大竹選手は最終日も3SSでトップタイムを刻み、危なげなくフィニッシュ。開幕から5連勝を飾りました。

長尾選手は、SS10で自身初のSSトップタイムをたたき出し、大竹選手から1分41秒2差の2位で見事フィニッシュ。3分16秒3差の3位にはグラベルラリー初参戦の奥井選手が入りました。長尾選手と奥井選手にとってはMCC初の表彰台獲得です。4位にはSSごとにペースを上げてきた松原選手が入り、初日好調の平川選手は最終的に5位完走、開幕戦三河湾以来の参戦となった木内選手は6位でしっかりと走り切っています。

■大竹直生(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
今年の課題でもあるペースコントロールがうまくいき、初日の朝から無理せずライバルとの差をしっかりと保つことができました。午後の走行では轍ができていたり、最終日のコースでは舗装の部分に泥が掻き出されていたりと難しいコンディションでしたが、そういう場所でも、無理する必要のない展開に持っていけた点では、非常にいいラリーができたと思います。それでも、新たな課題も見つかったので、車両のセットアップも含めてラリー北海道に向け改善していきたいと思います。

■長尾綱也(MCC2位)
浮き沈みが激しいラリーでした。初日午前中の段階では、2位でフィニッシュできるなんて考えてもいませんでした。轍が深く刻まれた午後のセクションは、あらためて自分の不得意とするコンディションでの走行を学ぶことができました。最終日は、初日の最終サービスで変更したセットアップがしっかりとハマってくれました。16.01kmという長いSS(SS10)でSSトップタイムを獲得できたことも、危険で難しいコースだっただけに、本当にうれしいです。

■奥井優介(MCC3位)
まずは無事に完走できて良かったです。色々と危ない場面もありましたが、コ・ドライバーの藤田めぐみ選手が『抑えて!』と言ってくれたので、なんとか走り切ることができました。その結果、このような素晴らしいリザルトが実を結んだので、本当にうれしいです。グラベルでの走り方は、2日間をとおして少しずつ進化できたと考えています。特に2日目に走っている時、自分としてもレベルアップを感じました。次のラリー北海道も、しっかり練習して挑みたいです。

■松原周勢(MCC4位)
シンプルに『やりきった!』というのが感想です。『ラリーを走った!』という感覚が、すごく気持ちいいです。グラベル路面はやはり怖さがありましたが、最終日の舗装部分では、グラベルで走り続けたからこそ得られる“学び”もありました。本当に2日間、面白いラリーでした。クルマとも仲良くなれた実感があります。ただ実力不足で、本来のポテンシャルを引き出せていないのも確かです。実力を積み上げるため、これからもコツコツと努力を続けていくしかないと考えています。

■平川真子(MCC5位)
これまで経験してこなかった路面やコーナーを走ることができて、本当に勉強になりました。色々と得ることも多かったので、帰って振り返るのが楽しみです。チームの皆さんが考えてくれたことが、しっかりと身になっていると実感しました。ラリー北海道までは少し期間が空きますが、次につながる一戦になったと思います。自分としては1回目の走行でノートに入れたチェックを活かして、2回目にタイムアップできたことに、成長を感じています。

■木内秀柾(MCC6位)
今回4WDターボ車両で走る、初めてのグラベルラリーになりました。2日間を通じて、本当に反省点しかありません。それでもグラベルを走るうえで、今の自分に必要なものが分かってきましたし、足りない部分は、逆にターマックでの強みになっている点にも気づくことができました。次戦はターマックの久万高原ラリーに参戦する予定としています。それでも、今後のためにグラベルの練習もしっかり積んでいきたいと考えています。

■ジール・ジョーンズ(リタイア)
SS8のフィニッシュまであとふたつというコーナーで、左後輪を側溝に落としてしまいました。そのまま抜け出そうとトライしたのですが、左後輪をコンクリートに打ち付けてしまい、抜け出すことができませんでした。小さなミスによって、大きな代償を負うことになってしまいました。2位を狙えたのに、本当に残念です。チームには申し訳なく思っています。それでも、初めて参戦した日本のグラベルラリーでは、たくさんの学びを得ることができました。

全日本ラリー選手権第5戦 ARK ラリー・カムイ
MORIZO Challenge Cup最終結果

1 大竹直生/橋本美咲(GR YARIS GR4 Rally) 1:17:48.2
2 長尾綱也/安藤裕一(DL WPMS GRヤリス) +1:42.2
3 奥井優介/藤田めぐみ(CUSCO WM DL GR Yaris) +3:20.5
4 松原周勢/槻島もも(CUSCO WM DL GR Yaris) +3:58.2
5 平川真子/竹原静香(GR YARIS GR4 Rally DAT) +4:06.9
6 木内秀柾/加勢直毅(CUSCO WM DL GR Yaris) +4:36.3
R ジール・ジョーンズ/バイデン・トムソン(CUSCO WM DL GR Yaris)
参戦7台、出走7台、完走6台

奥井選手はグラベルラリー初参戦ながら
MCCでの初表彰台を獲得した/TOYOTA



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