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世界に通用する若手ドライバーや女性ドライバーの発掘と育成、ラリー競技の活性化を目的に、全日本ラリー選手権JN-2クラスのサブカテゴリーとしてTOYOTA GAZOO Racingが昨年創設し、今年で2年目のシーズンを迎えた「MORIZO Challenge Cup(MCC)」は、6月26日(金)〜28日(日)に北海道足寄郡陸別町の陸別サーキットでエントラント向けのグラベルトレーニングを行った。
コース管制を行うマーシャル、車両整備を行うトヨタの凄腕技能養成部、トラッキングシステムを構築するRALLY STREAM、シリーズの指定タイヤを供給するダンロップがサポートとして参加するなど、万全の体制が整えられたこのトレーニングには、22名のエントラント(ドライバー13名、コ・ドライバー9名)が参加。フィンランドのTGR-WRTからミッコ・ヒルボネン、ヨウニ・アンプヤ、エサペッカ・ラッピのコ・ドライバーとしてWRCで活躍したヤンネ・フェルムが講師として参加し、座学や実技を通じて、各選手のスキルに合わせた実践的なアドバイスを与えた。
初日は、ペースノート作成のトレーニングから開始。占有した近隣のターマック林道とグラベル林道でペースノートを作成し、各クルーやドライバーがレッキで作成したものと、講師陣が作成したペースノートを題材に、記載された複合的なコーナーの形状と、実際に目視したコーナーの形状に差異がある場合の対処法や、レッキの時よりも速い速度で走る本番を想定した補助語の表現方法など、講師陣はより実践的なスキルが身に付く知識をアドバイスした。
2日目の午前中は、ドライバーを対象に陸別サーキット内に設定したスラロームコースと連続するテクニカルターンコースでの実技トレーニングを実施。ヒルボネンとアンプヤがそれぞれのラリーカーに同乗し、個別にアドバイスを行った。コ・ドライバーに対しては、フェルムがトレーニングを担当。特別規則書が発行されてからラリーが終了するまでの間、ドライバーがより安全に速く走るためにコ・ドライバーが行うべきこと、考えなければならないことなど、実戦を通じたより具体的なアドバイスが行われた。
午後は、クルーや各ドライバーが、新たに設定されたオフロードコースのスラロームを3周ずつ走行。レッキ(ペースノート作成)から実際のSSを想定したロングランまで、初日と2日目午前中までの内容の総まとめ的なトレーニングが行われた。
最終日は、占有林道で実走トレーニングを実施した。3日間のトレーニングを通じてヒルボネンは「MCC2年目のドライバー、今年から参戦したドライバー、ほかのカテゴリーで高いドライビングスキルを積んだもののラリーは今年が初めてというドライバーなど、MCCに参戦するドライバーのレベルは異なりますが、ベーシックなことからテクニカルなことまで、ここで学ぶことは多岐にわたっています。今後、どのような方向でスキルを磨いていけば、より速く安全に走ることができるか、今回のトレーニングはその方向性やヒントを示すことができたと思います。今後の成長が楽しみです」と総評をコメントした。
創設初年のMCCはリタイア率が高いラウンドもあったが、今シーズンは、第3戦と第4戦で出走した12台すべてが完走。これに対しフェルムは「ラリーは難しい競技なので、出走したすべてが完走というのは幸運だった点はあるでしょう。ドライバーもコ・ドライバーも、経験を積むことでクルマへの理解度が高くなり、テクニカルな問題を起こしづらくなったということもあるかもしれません。そのなかで、ラリーをフィニッシュする経験を重ね、次はどこを改善していけばいいか、どこでスピードを高めていくべきかというポイントを見定めていくプロセスが必要になってくると思います。こういったトレーニングを通じて、ドライビングやペースノート、クルマへの理解度など、すべてが正しい方向に進んでいくことを願っています」と、MCCに参戦するドライバーやコ・ドライバーにエールを送った。