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WRC第7戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)は6月28日、SS8〜SS13の走行が行われ、トヨタGRヤリス・ラリー1で参戦するトヨタ勢は、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが2番手に浮上して最終日を迎える。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンは4番手をキープしたが、勝田貴元/アーロン・ジョンストンとカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンはいずれもSS11でリタイアとなった。前日、メカニカルトラブルによりデイリタイアとなったTGR-WRT2のサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは、日曜日に万全の体制で走行することに集中するため、この日は出走しないことを選んだ。
トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門にエントリーしているTGR WRCチャレンジプログラム2期生は、前日のデイリタイアから再スタートした山本雄紀が部門25番手を走行中。小暮ひかるはSS8でコースアウトによりラリーリタイアを喫した。この部門では現在、GRヤリス・ラリー2のオリバー・ソルベルグ、カエタン・カエタノビッチが首位、2番手につけている。
(以下、発表リリース)
WRC 第7戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ3
脱落者続出のサバイバル戦となった灼熱のアクロポリスで
オジエが総合2位に順位を上げ、エバンスは総合4位を守る
6月28日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」の競技3日目、デイ3が中央ギリシャのラミアを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が総合2位に順位を上げ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合4位を堅守しました。なお、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、いずれもデイリタイアとなりました。
アクロポリス・ラリーのデイ3は、ラミアのサービスパークを中心に、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は123.44kmと、4日間で最長の競技区間を走行する一日でした。天気は前日に続き良く、午後は雲が多くなり雷雨の予報もありましたが、結果的に降雨はなく路面コンディションは全体的にドライ。ただし、一部には湿った路面もありました。デイ3はラミア南側の山岳地帯が戦いの舞台となり、日中は摂氏38度程度まで気温が上昇するなど、前日同様非常に厳しいコンディションでの戦いになりました。
デイ2終了時点で首位オィット・タナック(ヒョンデ)と16.9秒差、総合2位のアドリアン・フォルモー(ヒョンデ)と13.9秒差の総合3位につけたオジエは、デイ3オープニングのSS8で2番手、SS9で3番手タイムを記録し、SS10ではベストタイムをマーク。午前中のループが終了した段階で首位タナックとの差は33.2秒に拡がりましたが、ダメージを負って遅れをとったフォルモーを抜き総合2位に順位を上げました。ミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ループをオジエは2、3番手のタイムで走り切りましたが、首位タナックが3ステージ連続でベストタイムを記録したことにより、差は43.6秒まで拡がりました。それでも、総合3位のフォルモーに対しては1分24.4秒という大きな差を築き、総合2位で土曜日を終えました。
デイ2で総合4位まで順位を上げたエバンスは、一日を通して4、5番手の安定したタイムでミスなく走り続け、総合4位を堅守。総合5位に順位を上げてきたティエリー・ヌービル(ヒョンデ)に対しては、1分13.3秒のリードを保っています。
前日、ステージ途中でのタイヤ交換作業により2分以上の遅れをとりながらも、総合6位まで順位を挽回していた勝田は、4、5番手のタイムで午前中のループを走行。総合5位に順位を上げました。しかし、午後1本目のSS11のフィニッシュ近くでオーバーシュートを喫し、未舗装路の土手でスタック。走行を続けることができなくなりデイリタイアとなりました。また、SS10終了時点で総合8位につけていたロバンペラも、やはりSS11の中間点を過ぎたあたりでスタック。何とか脱出には成功し短い距離を走りましたが、ステージを走り切ることはできずデイリタイアとなりました。
金曜日にクルマに技術的な問題が発生しデイリタイアとなったパヤリは、土曜日の早朝パルクフェルメから出ましたが、チームは最終日に向けてクルマを万全な状態に仕上げることに集中するため、ステージに向かわない決断を下しました。
サポート選手権のWRC2では、オリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)が首位を守り、2位のライバルに1分37.8秒のギャップを築きました。また、カイエタン・カイエタノビッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)は3位と、2台のGR Yaris Rally2がWRC2の表彰台圏内につけています。
ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
今日は良い一日でもあり、良くない一日でもありました。セブとエルフィンは再び素晴らしい戦いをしてくれましたが、残念ながら貴元とカッレは午後、総合順位争いから脱落してしまいました。セブは全力で戦いましたがタナックは非常に速く、彼に追いつくのは難しい状況です。明日もまだ長い距離が残っています。貴元、カッレ、サミはラリーに復帰し、ボーナスポイントの獲得を目指してスーパーサンデーに臨むことでしょう。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
スタート順が後方だったことに助けられた部分もありましたが、今日はクルマのフィーリングが良くなりました。トラブルを避けながら安定したスピードとリズムを保つことを心掛け、それを実現することができました。明日はもちろん攻めの走りをしなくてはなりませんが、まずはフィーリングを見た上で判断したいと思います。明日は、通常の短い日曜日とは異なり、過酷で長い一日になると思いますが、サンデーポイントは重要なので頑張ります。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
簡単な一日ではありませんでした。午前中からかなり苦戦していましたし、午後最初のステージでは激しいブレーキングで道を少し外れ、スタックしてしまいました。その後コースに復帰した時、クルマのダメージに気づきました。もしかしたら、それが原因で減速できなかったのかもしれませんが、いずれにせよステージを完走することはできませんでした。明日は良い一日を過ごし、できるだけ多くのポイントを獲得するように努めます。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
堅実に戦い、今日もギリシャの過酷な一日を乗り切れたことを喜ぶべきでしょう。少なくとも昨日よりは暑くなかったので、少しは楽に感じました。一部の路面は依然荒れていて、午後の2回目の走行ではタイヤの摩耗管理が重要なポイントでした。オィットは今日絶好調だったので、私たちにできることは限られていました。また、今朝は出走順が依然大きな影響を及ぼしていることを認識しました。明日もまだ長い距離が残っていますし、2回目の走行では非常に荒れたコンディションとなることが予想されるので、あらゆることが起こり得ます。日曜日のポイントが懸かっているので、誰もリラックスすることはできません。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
昨日よりもかなり良いスタートを切ることができました。昨晩クルマにいくつか変更を加えた結果、より快適かつ自信を持って走れるようになりました。さらに、ミッドデイサービスでも調整を加えたところ、午後はさらに良くなりSS11のスプリットタイムは良好でした。無理なプッシュはしていなかったですし、すべてがコントロール下にあると感じていましたが、ヘアピンコーナーでブレーキング時に路面が非常にバンピーで荒れていて、速度を落とすことができませんでした。残念ながら外側にグラベルの土手があり、その上に乗り上げ脱出することができなくなってしまいました。非常にアンラッキーではありましたが、自分のミスですのでチームに謝罪します。
アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ3の結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) 2h56m31.7s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +43.6s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m08.0s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m04.4s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +4m17.7s
6 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +5m55.0s
7 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +6m56.7s
8 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m34.5s
9 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (トヨタ GR Yaris Rally2) +8m44.5s
10 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +8m59.6s
TBC 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1)
TBC カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
TBC サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間6月28日19時50分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
ラリー最終日となる29日(日)のデイ4は、ラミアの北西エリアで2本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうちSS14/16「スモコヴォ」は新ステージとなり、SS15の再走ステージとなる最終のSS17「タルザン2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。4本のステージの合計距離は99.06km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は362.09kmが予定されています。