全日本ラリー選手権久万高原:トヨタGRヤリスの勝田範彦が今季初優勝 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー選手権久万高原:トヨタGRヤリスの勝田範彦が今季初優勝

©Jun Uruno / JN-1クラス優勝の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)

全日本ラリー選手権第3戦久万高原ラリーは5月1日の競技最終日を終え、トヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介がJN-1クラスで今季初優勝を果たした。2位にはシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子、3位にはスバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉が入っている。

競技最終日は21.66kmのロングSSを、サービスを挟んで2度走行する43.32km。初日に走行した2SSを連結し、逆走で走ることとなる。わずか2SS、しかも長距離ステージではリカバリーの難しくなるため、セットアップやタイヤ選択のミスは許されない。天候は曇りだが、雨の降り出す気配はない。初日にレグ離脱したヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)、平川真子/藤田めぐみ(トヨタ86)はマシンを修理し、この日再走を果たした。

コバライネンのマシンを修復するラリーチーム・アイセロ / Naoki Kobayashi


JN-1クラスは、いずれのステージも再出走を果たしたコバライネンがベストタイムをマーク。他を寄せ付けない圧倒的なスピードで、この日のレグポイント3点を獲得した。また、オープニングステージのSS7では、福永がSS2番手タイムを刻み、前日を終えた段階で24.6秒あった勝田との差を15秒まで縮めることに成功した。このSS7では、鎌田卓麻/松本優一が駆動系トラブルに見舞われてマシンをストップ、惜しくもリタイアを喫してしまうこととなった。代わって新井が3番手に浮上している。最後のステージとなったSS8では福永がパンクを喫してしまい、大きくタイムロス。ポジションは守ったものの、3位の新井とはわずかに1.8秒差という薄氷の2位となった。

JN-1クラス暫定表彰 / Naoki Kobayashi


首位の勝田は、リズムに乗り切れない部分も見せながらも、2SSをそれぞれ3番手タイム、2番手タイムで走り切り、今シーズン初優勝を獲得した。「1本目よりは2本目の方がリズム良く走れました。ヘイキ選手がリタイアしたラリーでしたが、やっと勝てましたね。唐津が終わってからタイヤや駆動系のテストができました。良い準備でラリーに挑めていることに、チームに感謝しています。ただ、自分が思ったほどタイムが出ていないところもあったので、エンジニアと相談して丹後に挑みたいと思います」と、今回の手応えを語った。2位の福永は「SS7はアンダーステアがキツい感じがしていましたが、SS8は限界まで攻めることができました。ただ、カットしてタイヤをバーストさせてしまいました……。今後はもったいないミスを減らしたいですね。丹後は昨年も勝っているので、いい形でフィニッシュしたいと思います」と、次戦への展望を語る。3位の新井は今季初表彰台。「今までとまったく違うセッティングにして、走りやすくなりました。次の丹後も頑張ります。SS7で競り合っていた鎌田選手が止まっているのが見えて、ちょっと集中力を欠いてしまいましたね」と、振り返っている。

JN-2クラス優勝の中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) / RALLY PLUS

JN-2クラスでは、中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)が3連勝を決めた。トヨタGRスープラのAKIRA/美野友紀も2位で完走を果たしている。中平はSS7でスローパンクチャーに見舞われてペースを落とすものの、SS8ではきっちりと走り切って勝利をものにした。AKIRAもSS8では30秒ほどのタイムアップを果たして、完走している。

優勝した中平は、「3勝目、うれしいです。マシンのテストという意味でも、スキルの幅を広げるという意味でも色々と収穫の多いラリーでした。SS7ではスローパンクチャーもありましたし、このステージはブレーキに厳しく、途中までしか左足ブレーキを使えませんでした。あとはできれば、もっと台数が増えてくれればいいんですけどね。ちょっと寂しいので」とコメント。2位に入ったAKIRAは「ブレーキはダンパーの調整で沈み込みを強くしたら、乗りやすくはなりましたが、今度は切り返しとかのバランスが難しくなってしまったので、引き続き調整したいですね。ステージは砂や泥が出ていたけれど、昨日よりいいかなと思います。気持ち良く走れました」と笑顔を覗かせた。

JN-3クラス優勝の竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) / Jun Uruno

新旧のスバルBRZ、トヨタGR86、トヨタ86が鎬を削るJN-3クラスは竹内源樹/木村悟士が新型スバルBRZでの今季2勝目を獲得。2位にはトヨタ86の山田啓介/藤井俊樹、山田から4.4秒遅れの3位にトヨタGR86の山本悠太/立久井和子が入っている。SS7では、新品タイヤを投入した山田がベストタイムをマーク。竹内もSS2番手タイムを刻み、クラス首位に立つ久保凜太郎/山本磨美(スバルBRZ)にプレッシャーをかける。最終SSを前にして、久保と2番手竹内の差は2秒、SS7でスピンを喫してしまった3番手の山本と4番手山田の差は5.4秒となっていた。竹内は最終SSに向けて新品タイヤ4本を投入し、再びSS2番手タイムをマーク。一方の久保は痛恨のコースアウトを喫してしまいリタイアに。これで竹内がシーズン2勝目を挙げることとなった。最終SSを制した山田が2位、山本が3位となった。

竹内は「今シーズン2勝目ですが、今回1本もベストを獲得できていないんです。厳しい戦いでしたが、ペースをキープして、勝負権を失わず最後まで走れました。クルマも仕上がってきているので、ターマック2戦ではしっかり勝ちたいですね。次は丹後ですが、去年、一昨年と連勝しているので、3連勝を目指します」と、クルマの着実な進化を思わせるコメント。最後の最後に新品タイヤを残す戦略もピタリとはまったかたちだ。2位の山田は「2連続ベストを獲得できました。昨日悔しい思いをした分、コ・ドラとふたりで昨晩考えて、監督からもアドバイスを頂いて、吹っ切れたといいますか。今まで以上のレベルの走りがずっとできた気がします。これを次につなげたいです」と、笑顔で振り返った。3位の山本は、「時折エンジンが吹けないトラブルがあるので、その改善とセッティングも含めて、今後に向けてやれることは見つかりました。問題点を洗い出して次に臨みます」と、新型マシンでの初陣をまとめた。

JN-4クラス優勝の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) / RALLY PLUS

JN-4クラスはスズキ・スイフトスポーツ3台による争い。SS7でベストタイムをマークした西川真太郎/本橋貴司が、ポジションを守り切り、9秒差で今シーズン初勝利を獲得した。2位にはSS8を制した岡田孝一/河本拓哉、3位に鮫島大湖/船木佐知子が入っている。

勝利を挙げた西川は「自分が好きな道なので気持ち良く走れましたが、後半はブレーキが厳しかったです。それでもなんとかポジションを守って戻って来ることができました。丹後では17インチ化によるドライビングの変化に、私自身がもっと合わせていきたいです」と語る。「ラストは思い切り走りましたので、満足しました」という2位の岡田は、「SS7が不甲斐なかったな。もう少し行けた気がします。最後はダンパーのセッティングを変えて、走りやすくなりました。やっとスイフトでのセッティングが出てきました」と、クルマへの手応えを感じている様子だ。3位の鮫島は「昨日のサービスで減衰力を変えて、クルマの頭を動きやすくしました。なんとか最後の1本で感覚をつかめましたが、完敗ですね。クルマのセッティングをもっと理解して、丹後に挑みます」と次戦に向けて気持ちを切り替えた。

JN-5クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) / Jun Uruno

JN-5クラスは、トヨタGRヤリスRSの天野智之/井上裕紀子がシーズン3勝目を獲得。2位にはトヨタ・ヤリスCVTの渡部哲成/橋本美咲、3位には同じくトヨタ・ヤリスCVTの小川剛/梶山剛が入る結果となった。4位はマツダ・デミオの本名修也/湊比呂美。前日3番手につけていた藤原直樹/中嶋健太郎(マツダRX-8)はクラス3番手相当のタイムでフィニッシュするも、ペナルティによりクラス5位でラリーを終えている。SS7では渡部が一番時計。SS2番手タイムの天野を15.9秒引き離して、総合タイムで天野の1.5秒背後に迫る力走を見せた。しかし無理がたたったか、渡部のヤリスはSS7後のサービス前にエンジンオイル漏れの症状が発生。渡部と橋本はクルマを押して無事にTCインを果たしている。最終SSは天野が圧倒的とも言えるベストタイムでフィニッシュ、最終的に25.4秒差で勝利をものにした。

天野は「SS7の後にセッティングを変えて制御の介入を抑えるようにしたら、タイムが一気に上がりました。クルマの状態が違うだけで、こんなにタイムが違う(44.2秒短縮)のかって感じです。コーナリングよりも制御を重視するのは最近のクルマの鉄則ですね。勉強になりました」と、ラスト2本の走りを振り返った。2位の渡部は「まだまだということですね。SS7は良い感触だったんですが、まさかまさかの2本目でした。エンジンは無事に直っていて、チームに感謝です。丹後に向けてもっと精進しないといけないと実感しています」と、悔しさをにじませた。3位となった小川は「SS7では新しい走り方に挑戦したんですけど、スピンしかけてしまいました。タイヤも含めて次につながるラリーになったと思います。丹後は天気と路面とセッティングと、頭で理解して実践できるようにしたいですね」と、今シーズンから乗り換えたヤリスCVTの理解を深めたいと語った。

JN-6クラス優勝の海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) / Jun Uruno

トヨタ・ヴィッツの海老原孝敬/蔭山恵が勝利を挙げたJN-6クラス。2位はトヨタ・ヤリスCVTの佐藤セルゲイビッチ/保井隆宏、3位にマツダ・デミオの中西昌人/有川美知代が入った。海老原はこの日も危なげなく2SSをベストタイムでまとめ、開幕戦から負けなしの3勝目と好調ぶりを発揮している。

海老原は「SS7ではとても気持ち良く走れましたが、SS8でフレッシュタイヤを投入してもう一段階タイムアップができました」と笑顔。「今回のラリーに向けてセッティングを出してきたつもりだったのですが、実際に走ってみて、まだまだ読めない部分も多かったので、色々と考えて丹後に挑みたいと思います」と、次戦に向けて語った。2位の佐藤は「今日はリヤのタイヤサイズを205から195に変えてタイムが良かったので、リヤのグリップを下げた方が合っているのかもしれません。色々なパターンでテストができ、体感的にも得られることが多かったです」とコメント。佐藤はこのラリーの翌々日に富士スピードウェイで行われたFIA-F4に参戦。第1戦でインディペンデントカップ3位を獲得している。3位の中西は、「なんとか表彰台を確保できてホッとしています。SS7では中間地点でペースノートをロストしてしまいました。半分くらいまでは良かったんですけどね。悪かった箇所を修正して、セッティングを煮詰めていきたいですね」と語っている。

次戦は5月20日〜22日にかけて、京都府京丹後市を拠点として行われる「ラリー丹後」。丹後半島を舞台とするターマックラリーで、丹後縦貫林道を使った12SS、SS距離108.08km、総走行距離291.07kmで争われる。京丹後森林公園スイス村にはギャラリーステージが設けられる予定だ。昨年は福永修/齊田美早子のシュコダ・ファビアR5が優勝しており、次戦の走りに期待がかかる。今回の結果を受けて上位3台の最低重量に加算されるウエイトは、勝田が+30kg、福永が+20kg、新井が+10kgとなる。

久万高原ラリー SS8後結果
1 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) 1:21:34.3
2 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +54.9
3 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +56.7
4 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +2:31.6
5 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +3:47.8
6 三枝聖弥/石田裕一(スバルWRX STI) +4:09.2

8 竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) +5:27.4
10 中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3) +6:23.9
13 西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +7:47.1
16 天野智之/井上裕紀子(トヨタGRヤリスRS) +8:00.1
23 海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ) +15:35.2



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