全日本ラリー丹後:福永修が初日の差をさらに拡大し、2連勝を達成 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー丹後:福永修が初日の差をさらに拡大し、2連勝を達成

©Jun Uruno

全日本ラリー選手権第5戦ラリー丹後は、5月23日(日)にすべての競技日程を終えて、シュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子が初日からのリードを拡大し、前戦唐津に続くシーズン2勝目を挙げた。2位はトヨタGRヤリスでの初表彰台となる勝田範彦/木村裕介、3位にはシュコダ・ファビアR5の柳澤宏至/保井隆宏という結果になった。

競技最終日はSS7〜SS12の計6SS、55.92km。初日のSS1/4とSS2/3を逆走する2SSに新たなSSを1カ所加え、それを2度ずつ走行する構成だ。丹後半島の天気予報は晴れとなっていたが、スタート前のサービスパークは曇り空で、雨こそ降らなかったものの、この日2本目のSS8では頂上付近で濃霧が出るような状態となっていた。一方で午後は晴れ上がり、路面温度も上昇するようなコンディションに。選手によってはタイヤ選択による手応えの差もある状況となった。

サービスに入る福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) / Jun Uruno


シュコダ・ファビアR5の福永がリードするJN1クラスは、オープニングのSS7、続くSS8とも福永・柳澤のファビア2台が先行する展開に。柳澤は1ループ目最後のSS9で、今大会初のベストタイムをマークした。勝田はR5勢に次ぐ3番手タイムを並べ、総合2番手の座を堅守。2ループ目最初のSS10では一番時計をたたき出している。この時点ですでに十分なマージンを築いていた福永だが、スピードを緩めることはせずにSS11でベスト、最終SSではセカンドベストでラリーを締めくくった。この結果、福永は前戦唐津に続いての2戦連続勝利。2位には勝田、3位は最終SSを制した柳澤が入った。前日ノーマルミッションに載せ替えた奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)はペースこそ落としたものの大きなトラブルなく走り切って4位。復帰戦で探り探りの展開だったという鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が5位、眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)が6位に入っている。7位にはキャロッセチームからの参戦となった小濱勇希/加勢直毅(スバルWRX STI)、8位に山本悠太/立久井和子(トヨタGRヤリス)というオーダーだ。

JN1クラス優勝の福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) / Naoki Kobayashi


2勝目を挙げた福永は、「なんとか優勝できて、良かったと思います。前半良くなかったところも少しずつ調整することができ、だいぶクルマにも馴染んできました。今回のセットを活かしながら、次戦も優勝を狙います」と、さらなる連勝に自信を覗かせた。2位の勝田は「エンジニアやメカニックの頑張りで、クルマはかなり良くなったと思います。でも、次のモントレーに向けてまだまだやれることがあると思いますし、ひとつひとつ課題を解決して次戦に臨みたいですね」と語る。「最後は路面とタイヤのマッチングは悪くなかった感じですが、前半タイムが出なかったですね」と振り返る柳澤。チームの地元でもある次戦に向けては「セッティングもドライビングも、何か向上できる要因を見つけられるよう、帰ってデータをチェックします」と語った。

JN2クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) / RALLY PLUS


JN2クラスはヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が大量リードを築いており、この最終日もSS7〜9と3連続ベストタイムをマークする好走。2ループ目のSS10で左リヤタイヤをパンクしたものの、リスクを避けつつSS11、SS12でベストタイムをマークする力強い走りを披露し今シーズン2勝目を挙げた。2位にはセッティングを模索しタイムアップを果たした中平勝也/行徳聡(トヨタGT86 CS-R3)、3位には初日にクラッシュを喫して順位を落としていた中村英一/鈴木敬一(トヨタ・ヴィッツGRMN)が入っている。

コバライネンは「SS10の前半でパンクして20~30秒くらいロスしたけど、それ以外は問題なかったよ。残りのステージはスペアタイヤもないし、パンクしないよう注意して走った。マシンも、チームも、サエちゃんも、とても良い仕事をしてくれた。ペースノートも良かったし、色々学べたよ」と、ラリーを振り返った。次戦はモントレーに出場するという。2位の中平は、「セッティングを変えたのがピタリとはまって、タイムもよくなりました。すでに前後のタイムが離れていたので色々と試せましたし、前進できたラリーでした。モントレーが楽しみです」と手応えを語っている。竹岡圭/山田政樹(フォルクスワーゲン・ポロGTI)を逆転して3位に入った中村は「天気が良くて路面も一定だったので、思うように攻められました。クルマは乗りやすくなっているので、モントレーに向けては微調整くらいですね。ステージも長いので、老体に鞭を打って頑張ります(笑)」と、笑顔を見せた。

JN3クラス優勝の竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) / RALLY PLUS


竹内源樹/木村悟士と鈴木尚/山岸典将、2台のスバルBRZが優勝争いを展開するJN3クラス。初日に25.4秒のマージンを築いた竹内がSS7でベストタイムを刻む一方、鈴木はグレーチングでタイヤをカットしてしまい、大きくタイムロス。SS7を終えた段階で竹内と鈴木の差は59.7秒に拡大し、勝負の趨勢は決することに。一方、鈴木の背後には3番手の曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86)が迫る。午後には曽根がペースアップし、この日のスタート時点で37.7秒あったふたりの差は、一時9.9秒にまで縮まることとなった。最後は鈴木が意地のベストタイムでポジションを死守し2位フィニッシュを果たした。優勝した竹内は今シーズン初勝利。

「午前中のマージンがあったので、午後はペースコントロールしながら、レグポイントだけみて戦いました。レグポイントも獲得できましたし、戦略どおりのラリーができました」と竹内。次戦の地元モントレーに向けて大きな手応えを得た様子だ。鈴木は、「SS7ではタイヤの空気がゆっくり抜けていて、途中でリムが外れてしまいました。午後は空まわりって感じですね。曽根選手にだいぶ追いつかれてしまって、厳しかったです。何が良くなかったのか解析して、いいタイムを出せるようにしたいです」と、次戦に向け意気込みを語る。3位の曽根は、次のようにコメントしている。
「最後のセクションは、少しオーバー気味に振って走ったらすごく良かったので、最初からこうすれば良かったなって(笑)。結果は3位ですが鈴木選手を追い詰められましたし、最後のループはすごく楽しめました」

JN4クラス優勝の須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ) / Naoki Kobayashi


JN4クラスはスズキ・スイフトスポーツ同士のバトル。オープニングのSS7では前日3番手につけた鮫島大湖/船木佐知子が一番時計をマークしたものの、その後は西川真太郎/本橋貴司が5連続ベストタイムをたたき出す力走をみせた。一方、首位の須藤浩志/新井正和はタイヤテストを兼ねて感触を確かめつつ走行するなど、初日に築いた大量マージンを活かした貫録のラリー運びで今季初勝利を獲得した。

勝利を挙げた須藤は「後半はタイヤのテストもでき、マージンを活かして走ることができました。昔の感覚が戻ってきた感じです。このクラス、このクルマで初優勝です。しかもRPN車両でターマックラリーを勝てたのも大きいですね」と、笑顔を見せた。2位の西川は「今日はベストが獲れるようになりましたが、須藤選手が離れすぎていましたね。なぜタイムが出なかった理由が明確になったので、モントレーに向けて解消していけると思います」と、次戦に向けて気持ちを切り替えた。3位に入った鮫島は「1本目にベストを獲れましたが、2周目には西川選手にギャフンと言わされてしまいました。次は少し空くのでクルマをリフレッシュして、セッティングも煮詰め直します」とコメントしている。

JN5クラス優勝の内藤学武/小藤桂一(トヨタ・ヤリスCVT) / RALLY PLUS


内藤学武/小藤桂一(トヨタ・ヤリスCVT)が首位を走るJN5クラスは、GRヤリスRSを投入した天野智之/井上裕紀子が6連続ベストタイムをマーク。前日一度もベストタイムを獲っていない鬱憤を晴らすかのような快走で、クラス2番手につけていた小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット)を早々にかわし、首位内藤の7.4秒差まで詰め寄ったが逆転はならず。ポジションを守り切った内藤は5ドアヤリスに乗り換えて初めての勝利となった。2位に天野、3位に小川、4位はマシントラブルに見舞われペースを上げられなかった大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)が入っている。

「土曜日と日曜日では路面やコースの性格が変わり、タイム差もはっきりつくなど、なかなか経験になるラリーでした」と、ラリーを振り返る内藤。「けっこう最後も頑張ったんですが、トップタイムを出すことができなかったので、そこが次の課題ですね。次はモントレーですが、今回の2倍の距離を一気に走るので、集中力も必要です。今回負けてしまったステージの対策をしっかりとして、どんな状況でも勝負できるようにしたいです」と、兜の緒を締めた。2位の天野は「デイ2は全SSベストが獲得できたので、デビュー戦としては良かったですね。コースが基本的に下り主体で、初日の苦戦が嘘みたいに走れました。コーナー速度も安定度も異次元で、シャシー性能はワンランク上だと感じます。(パワーが出せれば)WRCのFFキットカーのようなクルマになると思いますよ。今回はこのクルマの得手不得手が分かったので、良い収穫になりました」と好感触。3位の小川は「もう少しライン取りを勉強しなければならないですね。でも楽しく走れました。ダンロップタイヤも勉強になったし、今後が楽しみです」と、最終日を振り返った。

JN6クラス優勝の吉原將大/佐野元秀(トヨタ・ヤリスCVT) / Naoki Kobayashi


JN6クラスはトヨタ・ヤリスCVTの吉原將大/佐野元秀と水原亜利沙/竹下紀子が上位争いを展開。オープニングのSS7では水原がベストタイムをたたき出して吉原との差を詰めにかかるが、続くSS8で吉原が一番時計で一気に差を拡大。そのまま残る4SSもベストタイムで制し、デビュー以来負けなしの3連勝を飾ってみせた。2位にはセッティングを試しながらの走りに切り替え順位を守った水原。3位にはSS7で前を行く中西昌人/多比羅二三男(マツダ・デミオ)をかわした海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・アクア)が入っている。

吉原は「今回の丹後は、特にデイ1での天候の変化で自分の実力不足が出てしまい、苦戦しました。セッティングも含めて悪いコンディションでの経験が足りないと実感しました。毎回毎回初めてのことばかりですが、今後に繋げられるようにしたいです。チームは経験豊富な方も多いので、しっかり勉強したいですね」と、勝ってなお反省の弁。2位水原は「午後はセッティングを変えたんですが、それがダメだと分かったことも収穫のひとつでした。自分のドライビングも含めて色々と学ぶことがあったラリーでした。次は疑問点やダメなところを改善して挑みたいです」とさらなるレベルアップを誓う。3位の海老原は「なんとか3位になれて良かったです。いかにスピードを落とさないで攻められるかが勝負になると思います。うまく道を使って走れるようになりたいですね」とラリーを振り返っている。

次戦は6月11日〜13日にかけて開催される全日本ラリー選手権第5戦MONTRE 2021。群馬県高崎市を拠点としたターマックラリーだ。1SSあたりの距離が長いが、ラリーを通じてわずか3SSという変則的な日程で行われる。すでに無観客での開催が発表されており、サービスパークなどへの立ち入りも関係者のみに制限される。5月に予定されていた久万高原の延期日程についてはまだ発表がないが、シーズンとしてはこのモントレーをひと区切りにし、シーズンはグラベルラリー3連戦へと続いていく。

RALLY丹後2021 最終結果
1.福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) 1:32:42.5
2.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +30.2
3.柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5) +55.5
4.奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +1:43.2
5.鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +2:18.8
6.眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +3:49.6
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8.ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) +4:18.8
9.竹内源樹/木村悟士(スバルBRZ) +5:49.9
13.須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ) +7:30.8
19.内藤学武/小藤桂一(トヨタ・ヤリスCVT) +8:39.5
34.吉原將大/佐野元秀(トヨタ・ヤリスCVT) +15:24.4



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