WRCサファリ:勝田貴元「攻守のポイントを見極め、自分自身を成長させたい」イベント前記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCサファリ:勝田貴元「攻守のポイントを見極め、自分自身を成長させたい」イベント前記者会見

©TOYOTA

WRC第6戦サファリのシェイクダウン後に行われたイベント前カンファレンスの内容(抜粋)。イベント前の記者会見に招かれた勝田貴元は、将来に向けたとてもいい経験になると語っている。また、ここ数戦の勢いにポディウム登壇の可能性を問われ、サファリ後に控えるラリーでは表彰台を狙いたいという意欲ものぞかせた。

●WRCプレイベントカンファレンス出席者
セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
勝田貴元=TK(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
アドリアン・フルモー=AF(Mスポーツ・フォードWRT)

Q:セブ、サファリラリーのWRC復帰は、参戦クルー全員にとって新しいチャレンジだ。レッキを終えての第一印象は。ステージはどのような感じだったか
SO:壮大なチャレンジになることは間違いないね。同時に、いま僕らがいるのは、美しい自然だけでなく人々も素晴らしい最高の国だということを伝えておかなければならない。みなさんから受けた歓迎を、僕らはとても楽しんだ。地元のみなさんが自分の国にWRCが戻ってきたことで大いに盛り上がってくれているのを見るのは最高だよ。イベントの主催者も大変誇らしいと思う。しかし、僕らに待ち受けているのはタフな週末だ。自分にとって最大の試練は、適切なリズムを見極めること。プッシュできるいいセクションもある。ここまでのところは、とてもいい。レッキは順調だったし、マシンにも満足。シェイクダウンは実際のステージとかなり近かったので、ちょっとしたテストをするチャンスになったし、ラリーに向けてのセッティングを調整することもできた。自分は準備ができていると感じてはいるが、こういったイベントに対して本当に準備できているのかは分からない。

TOYOTA

Q:みんな過去のサファリラリーを見ている。過去とはどんな違いがあると予想しているか
SO:自分は年を取ったが、昔のサファリと同じかどうか答えるには若すぎる。ここには来たことがなかった。映像は少し観たけどね。正直、ここに来るまでまったく予想ができなかった。自分たちが知っているラリーとはかなり違うだろうということは分かっている。最終的には、とてもラフなセクションがあったが、それでもここをドライブするのは好きだね。すごく独特の道だから。例えば、昨年のトルコと比べれば、どこがラフかということは分かる。トルコには、今回僕らが走るよりもマシンにハードな場所もあった。とても面白くなりそうだし、このイベントが始まることにワクワクしているよ。

Q:ティエリー、ペースノートについて、この週末はいいペースノートを作ることが重要だ。レッキはうまくいったか
TN:ほかのラリーと比べると、道にある大きな穴を避けるために路肩にマシンを寄せなければならない場面も多い。新しいペースノートを作らなくてはならないし、コーナーではラインを外さなくてはならないようなところもある。でも、ほんの少しだ。それ以外は、一気に速度を落とすために急ブレーキのポイントもある。特に、主にマシンへのダメージを避けるためだ。基本的には、それ以外の場所は、全開までプッシュできるようにするために正確なペースノートを作るように努めた。

Q:今まで自分が直面した中でも最も大きなチャレンジになると感じているか
TN:最大のチャレンジになるかどうかは分からないが、これまでのWRCの経験の中でも最大の冒険になることは間違いないね。まず、このラリーはみんなが初体験だし、今回どのような展開になるのか経験を持っている者は誰もいない。たくさんのことが起こることは間違いないね。たくさんのマシンが壊れることなく、いい戦いができることを願っているよ。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:アドリアン、ワールドラリーカーでの3回目の参戦だ。今回はどのように戦おうと考えているか
AF:すべてのクルーにとって本当に難しいラリーになると思う。特にマシンにとってはね。自分としては、WRカーでの3回目のラリーなので、ラフなセクションでのマシンの信頼性もよく分かっていない。すべてが発見の連続になると思う。とてもチャレンジングだが、自分はそれが好きだ。自分にとって新しいラリーであるということも、いいところだ。

Q:レッキでステージを見て、コンディションには驚いたか
AF:正直、これまでに過去の動画をたくさん観てきたのでこのラフなセクションは予想していた。でも、すでにレッキの段階でラフなセクションもあった。僕らのラリーマシンが完全に路面を荒らしたら、2ループ目は本当にラフになるだろうなと想像できるよ。2ループ目がどうなるかは、分からないね。

M-SPORT

Q:ここではレッキをうまくこなし、確実に正確なノートを作ることがとても重要だ。ノートに頼る部分は大きくなるのでは
AF:ペースノートに関しては本当に難しい。景観が同じだったり、同じコーナーに見えたり、どこにいるのか分からなくなったりする。本当に正確なペースノートが必要だ。ペースノートが正確だったとしても、かなり暑くなることもあると思うが、速さを出して週末を走り切らなくてはならないことは間違いない。

Q:リザルトに関してプレッシャーは感じているか
AF:正直、このラリーでは、ほかのドライバーではなく自分自身との戦い。たくさんのことが起きるだろうと確信している。自分は走り切りたい。終わってみてどんな順位なのか楽しみだね。自分として確実に言えるのは、ペースを高めたいと思っているということ。

Q:タカモト、レッキを終えてこのイベントの印象は。サファリラリーをどのように表現するか
TK:もちろん、本当にチャレンジングなラリーになる。プッシュできるセクションもあれば、慎重にならないとマシンが破損して生き残れないようなセクションもあって、かなり驚いている。将来に向けて、とてもいい経験だ。自分としては、どんなセクションでプッシュできるか、あるいは辛抱しなくてはならないかを見極め、走りながら自分自身を成長させたい。こうしたラリーでは、それが最も重要だ。

Q:こうした複雑なイベントで、今回はどんな戦略を立てているか。ドライバーたちはヘルメットを被ると、アクセルを緩めるのが難しい時もあるが
TK:メンタルでは難しいが、ペースノートを聞きそれを信じることだ。甘く見てしまう時もあるが、そうするとミスをする。でも、いいペースノートを作れたと思うし、どこでブレーキを踏んでスローダウンしなくてはならないか、信じることができると思う。ステージを走ってタイムがどうなるか、楽しみだね。もし自分が遅すぎたら、ペースノートはあまりよくなかったということかな。

Q:ここ数戦、ポディウムにも目前に迫ったイベントもあった。ここでポディウムに上がるのが可能だと思うか
TK:あまり多くは期待していない。サバイバルラリーになることは間違いないからね。マシンにとって、本当にタフだ。自分としては、サファリの後に行われるラリーに、もっと期待を高めている。走りを磨き自分を成長させて、次のラリーにいいフィーリングで臨みたい。

記者席からの質問
Q:ホセ・ルイス・アブルー(オートスポーツ・ポルトガル)
ヒュンダイはここ数戦、サスペンションに問題を抱えていることを考えると、チームが準備の際に慎重になった部分はどこにあるか

TN:自分たちにサスペンションのトラブルがあったかどうかは、正直分からない。常に何かしらの理由はある。サルディニアではオィットのサスペンションが破損したが、その時は道に大きな石があった。あそこで生き残れるマシンがあるのか、自分には分からないね。そうしたことも考慮しなくてはならない。自分たちだけでなく、どのドライバーにとっても同じことだ。今年のサルディニアは本当にラフだった。たくさんのマシンがリタイアしたし、トルコやほかのラフイベントでも、最速のマシンが常に勝つわけではない。

Q:サファリの歴史では数々の逸話があるが、トヨタが完全に泥に覆われたこともあった。こうしたことへの備えはできているか
SO:幸い、今年はそのようなセクションはない。豪雨が降ればそんなことが起こるかもしれないが、でも、あの有名な動画ほど深くはならないと思う。世界中に知られた有名な場面だ。世界中にトヨタの評判が広まるという意味で、素晴らしいことかもしれない。今年は、とてもドライだ。しばらく雨は降らないのではないかと思う。今回は、僕らは完全に逆の状況になっている。すごくソフトでドライなセクションもあり、レッキの後で深い轍ができていた。深い泥と比べて、こちらの方が扱いやすいのか、正直分からないね。こうした砂をたくさん吸い込むと思う。僕らのマシンがそれに耐えられるのか、注目だね。

Q:現在のWRカーで、過去のサファリラリーのような1000〜1500kmの距離のラリーを走ることは可能だと思うか
SO:だと思うよ。正直、過去のようなルールが必要だと思う。ステージが終わるごとにサービスを設定して、マシンを改良するチャンスが必要だと思う。(当時の)ステージ距離はとても長かった。80kmや100kmのステージを走るなら速度を落とさなくてはならない。そうでないと、タイヤが持たないからだ。マシン自体は問題ないと思う。たくさんのことが改善されているからね。サスペンションも、当時よりもいい。タイヤも同様だと思う。間違いなく可能だ。自分たちは自分たちの時代に生きている。こうしたイベントが開催できること自体、すでに素晴らしいことだ。今の内容でも、十分にビッグチャレンジだ。過去よりも距離は短いかもしれないが、簡単には勝てないと確信しているよ。



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