WRCチリ:トヨタのセバスチャン・オジエが連勝。11秒差でエルフィン・エバンスが続き、トヨタが1-2フィニッシュ – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCチリ:トヨタのセバスチャン・オジエが連勝。11秒差でエルフィン・エバンスが続き、トヨタが1-2フィニッシュ

©TOYOTA

2025年シーズンWRC第11戦ラリーチリ(グラベル)は、9月14日(日)に最終日の4SSを走行し、最終日までもつれた首位争いの末、トヨタのセバスチャン・オジエが優勝を飾った。2位にはエルフィン・エバンスが入り、トヨタはシーズン6度目となる1-2フィニッシュを達成(表彰台独占を含む)。46.5秒差の3位にはヒョンデのアドリアン・フルモーが入った。

この日は、SS13〜SS16を走る54.80km。「Laraquete(18.62km)」、「BioBío(8.78km)」を2度ずつ走行する。中間サービスは設けられず、マシンにダメージを追うことは許されない。競技2日目までを終えた段階で総合首位にオジエ、2番手にエバンス、3番手にフルモー、4番手にヒョンデのティエリー・ヌービルというオーダーだ。オジエとエバンスの差は6.3秒と、ひとつのミスが勝敗を分ける可能性もある。

オープニングステージのSS13を制したのはオジエ。SS2番手タイムで追いすがるエバンスとの差をさらに0.9秒広げ、7.2秒としている。日曜日の大量得点を狙って前日終盤の走行を取りやめたヒョンデのオィット・タナックは、水温上昇によるパワーダウンに見舞われ思うようなペースで走ることができず、オジエから4.8秒差のSS4番手タイムとなった。続くSS14は、コース終盤の一部を前日のSS8/11と共有する。路肩には岩が散乱しており、タイヤにも厳しいステージだ。ここでの一番時計はエバンス。SS2番手タイムにトヨタの勝田貴元、SS3番手タイムにオジエが入っている。首位を争うふたりの合計タイム差は5.9秒に短縮された。

HYUNDAI


SS13の再走ステージとなるSS15は、オジエが反撃のベストタイムをマーク。エバンスも4.4秒差のSS2番手タイムで続くが、これでふたりのタイム差は10.3秒にまで拡大。8.78kmのパワーステージを残してこの差は、エバンスにとっては厳しいものと言える。SS3番手はタナック、SS4番手にはトヨタのサミ・パヤリが入った。これで総合5番手のパヤリは、総合4番手を行くヌービルとの差を3.2秒にまで短縮。パワーステージでの上位フィニッシュを狙い、このSS15でタイヤを温存したヌービルがポジションを守り切るか、総合4番手争いにも注目だ。

パワーステージのSS16はWRC2の上位からスタート。WRC2は、トヨタGRヤリス・ラリー2を駆るオリバー・ソルベルグがニコライ・グリアジンを従えて勝利を挙げ、これでWRC2チャンピオンを確定した。フィニッシュで待ちかまえていたペター・ソルベルグら家族が駆け寄り、チャンピオン獲得を祝福した。続いて、ラリー1勢はMスポーツ・フォードのアルベルト・ヘラーからコースイン。タナックの4分28秒6が暫定ベストタイムとなり、これがひとつのターゲットとなる。フィニッシュ地点のジャンピングスポットで40m級のジャンプを披露した勝田がこのタイムを更新し、暫定ベストに。その後はロバンペラが暫定ベストを更新、さらに総合4番手争いを展開しているパヤリが記録を塗り替え、ヌービルがさらにそれを上まわるという更新ラッシュ。ヌービルとパヤリのバトルは4.4秒差でヌービルに軍配が上がった。

TOYOTA


注目のトップ3、フルモーは着実なフィニッシュを目指す堅実なペースで走り切り、これで3位以上を確実なものとした。首位争いを展開するエバンスは、ヌービルのタイムから0.3秒遅れの暫定SS2番手タイム。上位陣最終走者であるオジエのフィニッシュを待つ。オジエは最後までアクセルを緩めない力走を見せて、堂々のベストタイムを刻み、勝利を手中に収めた。7.5km地点のスプリットタイムではヌービルから0.9秒の遅れを喫していたが、終盤では誰よりも深いインカットを見せ、ヌービルのタイムを0.4秒上まわった。連勝を挙げたオジエはWRC通算200戦目を勝利で飾り、シーズン5勝目、キャリア通算勝利数を66とした。トヨタにとってはシトロエンのもつWRC歴代勝利記録を更新する103勝目だ。

最終SS終了時点での暫定総合順位は、オジエ、エバンス、フルモー、ヌービル、パヤリ、ロバンペラ、勝田、ミュンステールの順。トヨタが3戦連続で1-2位を占める結果となった。パワーステージポイントは、オジエ、ヌービル、エバンス、パヤリ、ロバンペラがそれぞれ5〜1点を獲得した。スーパーサンデーはオジエ、エバンス、ロバンペラ、パヤリ、タナックという順となった。この結果、ドライバーズポイントはウイナーのオジエがフルポイントの35点(25点+5点+5点)、2位のエバンスは24点(17点+4点+3点)、3位のフルモーは15点(15点+0点+0点)、4位のヌービルが16点(12点+0点+4点)を獲得した。これでオジエが224点とし、ドライバーズランキングのトップに立った。エバンスは2点差の222点で2番手、3番手には203点でロバンペラがつけ、トヨタがトップ3を占めている。マニュファクチャラーズポイントはトヨタが572点とし、447点のヒョンデと大きく差を開けることに成功した。Mスポーツ・フォードが157点、TGR-WRT2が111点となっている。

M-SPORT


次戦はひと月後、10月16日〜19日にかけて開催されるセントラルヨーロピアンラリー。ドイツ、チェコ、オーストリアの3カ国を舞台に開催されるターマックラリーだ。出走順の影響が少ないタイミングでランキング首位に立ったオジエにとっては、有利な展開となる可能性もある。それぞれのエリアで性格の違うSS、昨年と同様に予測できない天候といった複雑な要素に対応する力量が問われる一戦となる。昨年はヒョンデのオィット・タナックが勝利している。

WRCチリ 正式結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:55:42.1
2. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +11.0
3. A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +46.5
4. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +59.0
5. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:03.4
6. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:35.7
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:14.0
8. G.ミュンステール(フォード・プーマ・ラリー1) +2:44.1
9. O.ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +8:18.6
10. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:59.0



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