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WRC第11戦ラリーチリ(グラベル)は9月13日、競技2日目に設定されたSS7〜SS12の走行が行われ、トヨタはセバスチャン・オジエ/バンサン・ランデとエルフィン・エバンス/スコット・マーティンが2番手に浮上して最終日を迎える。サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが5番手、6番手、7番手につけている。
WRC2部門では、このチリでタイトル確定のチャンスを握って首位に立っているトヨタGRヤリス・ラリー2のオリバー・ソルベルグが、リードを30.2秒に広げている。
(以下、発表リリース)
WRC 第11戦 ラリー・チリ・ビオビオ デイ2
前日総合3位のオジエが3本のベストタイムで首位に立ち
エバンスは3ポジションアップで総合2位につける
9月13日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・チリ・ビオビオ」の競技2日目デイ2がチリ中南部、コンセプシオンのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が首位に立ち、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合2位にポジションアップ。TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合5位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合6位に、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合7位につけました。
ラリー・チリ・ビオビオのデイ2は、サービスパークの南側、ビオビオ川と太平洋に挟まれたエリアで、「ペルン」、「ロタ」、「マリア・ラス・クルセス」という3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は139.20kmと、3日間で最長の一日でした。デイ2は早朝まで雨が断続的に降り、オープニングステージのSS7は開始直後から雨が強まり、路面は急激にウェットコンディションに。マディ(泥状)になった路面も所々にあるなど、グリップ変化の大きな難しいステージとなりました。降雨により路面のルースグラベルがグリップに与える影響は小さくなり、出走順が早いドライバーたちにとっては歓迎すべき路面コンディションになりました。
そのSS7で、前日総合5位のエバンスは2番手タイムを刻み、前日総合3位のオジエと総合4位のパヤリを抜き、総合3位にポジションアップ。故郷のイギリス、ウェールズを連想させるトリッキーなコンディションのステージで躍進し、首位アドリアン・フォルモー(ヒョンデ)との差を3.8秒に縮めました。一方、オジエは慎重なアプローチが裏目に出ることになり、ベストタイムから16.4秒遅れの7番手タイムで総合4位に順位を下げました。続くSS8では、クルマがバンクに接触してタイヤの空気が抜けるという、前日のハプニングでタイムを大きく失ったロバンペラが2番手タイム、オジエが3番手タイム、エバンスが4番手タイムを記録。エバンスは、総合2位につけていたティエリー・ヌービル(ヒョンデ)を抜き、首位フォルモーと0.9秒差の総合2位に順位を上げました。午前中のループ最後のSS9は、ベストタイムのロバンペラに次ぐ2番手タイムを記録したエバンスがついに首位に浮上。3番手タイムのオジエも、エバンスと5.6秒差の総合2位に順位を上げました。
ミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージは、依然湿っている区間もありましたが、全体的に路面は乾いていたため、タイヤ選択はドライバーごとに異なりました。また、デイ2のステージの多くはタイヤの摩耗に厳しい路面であったため、ドライアップした区間ではドライバーたちのタイヤマネージメント能力も試されました。午後1本目のSS10ではオジエがベストタイムを刻み、2番手タイムの首位エバンスとの差を2.7秒に縮小。オジエはSS11でもベストタイムを記録し、連続2番手タイムのエバンスを抜き1秒差で首位に立ちました。さらにオジエは、デイ2最後のSS12でも2番手タイムのエバンスに5.3秒差をつける圧巻のベストタイムを記録。総合2位エバンスとの差を6.3秒に拡大してデイ2を終えました。一方、エバンスは首位の座こそ失いましたが、総合3位のフォルモーに対しては20.5秒のリードを築いています。
デイ1で総合4位につけたパヤリは、エバンスのジャンプアップにより順位をひとつ下げながらも、午後のSS11で3番手タイム、SS12で4番手タイムを記録するなどドライコンディションで速さを発揮。総合4位のヌービルと8.7秒差の総合5位で一日を終えました。前日のハプニングにより順位を下げていたロバンペラは、ウェットコンディションとなった午前のループでベストタイムを刻むなど素晴らしい速さを示し、総合8位から、総合6位まで順位を挽回しました。しかし、午後の乾いた路面ではライバルより早い出走順がハンデとなり、路面のクリーニング役を担いややペースダウン。午前中に16.3秒まで縮めていたパヤリとの差は、32.8秒差まで拡がりました。また、前日総合6位の勝田はSS8で総合8位に順位を下げました。しかしSS9で4番手タイム、SS10と12で5番手タイムを記録し、順位をひとつ取り戻し総合7位で一日を終えました。
サポート選手権のWRC2では、デイ1で首位に立ったGR Yaris Rally2のオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)が、2位との差を30.2秒に拡大。WRC2タイトルの獲得に向けて大きく前進しました。
ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
我々にとって良い一日でした。今朝の厳しい天候下でも我々のドライバーたちはコンディションに上手く対応し、午後はさらに速さを増しました。他のチームに何が起きたのかは分かりませんが、我々は自分たちの持つスピードを存分に発揮することができたので、とても満足しています。セブとエルフィンは今日、本当に素晴らしい走りを見せてくれました。明日も自由に戦い、可能な限り速く走ってもらいたいと思います。彼らは同じタイヤセットで、50キロ以上もタイヤの摩耗に厳しいステージを走らなければならないので、勝負はフィニッシュまで決まらないでしょう。また、サミもここまで信じられないほど良い走りを見せていますし、前の選手との差もそれほど大きくないと言えます。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
全体的にとてもポジティブな一日でした。午前中は、難しいコンディションの中で非常に良い走りができました。夜中に雨が降り続き、最初のステージでも大雨が降りましたが、そこでもっとも大きな差をつけることができたので、とても満足しています。午後は、タイヤの摩耗が予想していたほどは酷くなかったので、特にループの1本目ではやや保守的な走りになってしまったかもしれません。セブは素晴らしい走りでタイムを挽回しましたが、それでもまだ差はごく僅かですし、明日も勝負は続くのでバトルが楽しみです。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
今朝、雨が降った時は自分たちにとってかなり良い状況でした。あのようなコンディションでは、出走順が集団の前のほうであることは悪いことではなく、良いタイムを刻みながらかなり挽回することができました。しかし、自分たちよりも出走順が前の3台が全ていなくなったことにより、午後のステージでは出走順がトップになり苦戦しました。路面は急速に乾き始め、特に最後のステージでは路面が大量のルースグラベルに覆われていたため、多くのタイムを失いました。明日はデイリタイアした全車が再出走して、自分たちよりも前に多くのクルマが走行することを願っていますし、最終日にできる限りの良い結果を得たいと思っています。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
首位に立ったことについては喜ぶべきですが、全体としては満足できない一日でした。朝のコンディションは簡単ではなく、残念ながら最初のステージでは適切なリズムを掴むことができず、慎重になり過ぎて多くのタイムを失ってしまいました。フラストレーションの溜まるスタートでしたが、その後はうまく対応し良いリズムを見つけることができました。エルフィンは午前のコンディションでは非常に速かったですが、午後には逆転することができました。明日もまた非常に厳しい戦いが続くと思います。優勝争いはまだ完全にオープンな状態ですし、多くのボーナスポイントを獲得することもできるので、トライしなくてはなりません。全てのステージが重要となるため、最初のステージからしっかりと目を覚まし、集中して取り組む必要があります。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
今日は厳しいコンディションでのスタートになりました。ループの最初の2本は自分にとって初めて走るステージでしたし、レッキも霧の中で行ったため、ペースノートを信頼して走るのは容易ではなく、そこでタイムを失うことを受け入れなければなりませんでした。それでも、ループの最後のステージは悪くなかったので、ペースは良いと確信できましたし、午後のセクションでも速さはそれなりにありました。全体的には満足していませんが、ラリーはまだ終わっていないので、明日は良い一日になるように頑張ります。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今朝は驚くほどコンディションがトリッキーでした。誰もが予想していたように雨が降り、マディな区間もありましたが、タイヤの消耗もかなり激しく、ただひたすらプッシュし続けるのではなく、クレバーに走らねばならないとすぐに気づきました。自分たちの走りは悪くなかったと思いますし、ティエリーとの差を少し詰めることもできました。午後のステージではさらに追い上げることができると期待していたのですが、まだニュータイヤが残っているので、明日も彼に追いつくために全力を尽くします。
ラリー・チリ・ビオビオ デイ2の結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h23m13.9s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +6.3s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +26.8s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +41.7s
5 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +50.4s
6 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m23.2s
7 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m54.3s
8 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +2m00.4s
9 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +6m12.7s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +6m42.9s
(現地時間9月13日18時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技最終日となる9月14日(日)のデイ3は、デイ2と同じくサービスパークの南側、ビオビオ川と太平洋に挟まれたエリアが舞台に。「ララケテ」と、デイ2のステージと一部が重なる「ビオビオ」の2本のステージを、サービスでの整備作業を受けることなく各2回走行します。そのうち、SS14の再走となる全長8.78kmの最終ステージSS16「ビオビオ2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。4本のステージの合計距離は54.80kmと3日間で最短。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は292.43kmとなります。