WRCパラグアイ:セバスチャン・オジエが今季4勝目。トヨタは通算102勝目でシトロエンの記録に並ぶ – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCパラグアイ:セバスチャン・オジエが今季4勝目。トヨタは通算102勝目でシトロエンの記録に並ぶ

©TOYOTA

2025年シーズンWRC第10戦ラリーパラグアイ(グラベル)は、8月31日(日)に最終日の4SSを走行し、トヨタのセバスチャン・オジエが優勝を飾った。激戦となった2番手争いはエルフィン・エバンスが制して、トヨタは1-2フィニッシュを達成。27.2秒差の3位にはヒョンデのティエリー・ヌービルが入っている。

この日は、SS16〜SS20を走る79.50km。「Bella Vista(21.25km)」、「Mision Jesuitica Trinidad(18.50km)」を2度ずつ走行する。中間サービスは設けられず、マシンにダメージを追うことは許されない。競技2日目までを終えて、総合首位にオジエ、2番手にヒョンデのアドリアン・フルモー、3番手にエバンスというオーダーだ。オジエとフルモーの差は10.3秒と僅差の状況が続いている。

ラリー最終日のオープニングステージとなったSS16は、農地を走る視界の開けたハイスピードコースだが、雨が落ちるなかでのスタート。雨を吸った赤土の路面は非常にスリッパリーで、多くのドライバーがオーバーシュートやコースオフを喫する事態となった。このSSでは慎重に走ったと語るオジエがベストタイム。SS2番手のオィット・タナック、SS3番手にヌービルが続いた。コースオフからの復帰に時間がかかったフルモーはSS9番手。総合2番手のポジションは守ったものの、オジエとの差は29.2秒にまで拡大してしまった。エバンスはコースオフからの復帰に手間どり、タナックにかわされて総合4番手にドロップ。とはいえふたりの差は2.2秒と、まだ勝負の行方は分からない。

続くSS17は一転してドライコンディションに。一部に造成されたアリーナセクションがあり、終盤にはターマック区間もある起伏に富んだコース。ここではヌービルが一番時計をマーク。SS2番手にフルモー、SS3番手にエバンスが続く。総合順位に変動はないものの、ここにきて一気に上位争いのタイムが詰まってきた。総合3番手タナックと総合4番手エバンスの差は1.8秒、エバンスの4.6秒背後にはヌービルが迫っている。

HYUNDAI


SS18はSS16の再走ステージ。路面はほぼ乾いているが、一部にマディなセクションが残るコンディションだ。このSS18を制したのはカッレ・ロバンペラ。SS2番手にオジエ、SS3番手にエバンスが続いた。ここではタナックがウォータースプラッシュでエンジンがストップ、さらに右後輪をパンクしてタイムロスし、総合5番手に後退。このSSでは、フルモーがウォータースプラッシュ通過後にエンジン不調に陥り、SS10番手とマージンをすべて吐き出すことに。最終SSを前にして、フルモーとエバンスの差は3.3秒、エバンスとヌービルは4.7秒、ヌービルとタナックは2.9秒と、2番手争いの行方は不透明になってきた。

パワーステージのSS19はWRC2の上位からスタート。WRC2は、トヨタGRヤリス・ラリー2を駆るオリバー・ソルベルグがヨアン・ロッセル、ニコライ・グリアジンを従えて勝利を手にした。続いて、ラリー1勢はMスポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンステールからコースイン。勝田がマークした9分45秒8が暫定ベストとなり、そのタイムをロバンペラが更新するかたちでステージは進んでいく。そしてオーダーは注目のトップ5へ。

スーパーサンデーのトップを狙うヌービルはロバンペラのタイムを0.1秒上まわり、暫定ベストタイムをマーク。続いてコースに入ったタナックは終盤右フロントサスに問題が発生したものの、暫定SS3番手タイムでフィニッシュ。これでヌービルの4位以上が確定した。ステージの天候は下り坂で、雨が降り始めるなかエバンスは暫定SS4番手タイム。合計タイムではなんとかヌービルを1秒しのぎ、3位以上を手中に収めた。第7戦アクロポリス以来の表彰台を狙いたいフルモーだったが、コースの一部はウエットコンディションとなっており、タイムを上げることは叶わず。エバンスとヌービルのふたりにかわされてしまうことに。上位陣最終走者のオジエもSSの途中から強い雨に見舞われペースが上がらず、SS10番手タイムでフィニッシュ。同時にフルモーが遅れたこともあって、首位の座は揺らぐことなく今シーズン4勝目、キャリア通算65勝目を獲得した。また、2位のエバンスから5位のタナックまではわずかに4.4秒と、ひとつなにかがあれば順位が入れ替わるという緊張感の高い状況が最後まで続くこととなった。

TOYOTA


最終SS終了時点での暫定総合順位は、オジエ、エバンス、ヌービル、フルモー、タナック、ロバンペラ、パヤリとなっており、トヨタが今季5度目の1-2フィニッシュを飾った。トヨタにとっては通算102勝目であり、これはシトロエンがもつ歴代のWRC勝利記録と並ぶ結果となった。

パワーステージポイントは、ヌービル、ロバンペラ、タナック、エバンス、勝田がそれぞれ5〜1点を獲得した。スーパーサンデーはヌービル、ロバンペラ、エバンス、タナック、オジエという順となった。この結果、ドライバーズポイントはウイナーのオジエが26点(25点+1点+0点)、2位のエバンスは22点(17点+3点+2点)、3位のヌービルは日曜日のフルポイントを獲得し、25点(15点+5点+5点)を獲得した。ドライバーズランキングは、エバンスが198点で首位を守ったが、2番手にオジエが189点、3番手には同点でロバンペラがつけ、トップ3をトヨタが占める格好となった。マニュファクチャラーズポイントはトヨタが513点とし、413点のヒョンデとちょうど100点差とした。Mスポーツ・フォードが143点、TGR-WRT2が96点となっている。

次戦の舞台は、同じく南米のチリ。9月11日〜14日にかけて、中南部の都市コンセプシオンを拠点として行われるグラベルラリーであり、丘陵や森を駆け抜けるハイスピードコースが設定される。過去の傾向では霧が発生することもあり、ペースノートの精度もポイントとなりそうだ。昨年はロバンペラとエバンスがトヨタの1-2フィニッシュを決めている。

M-SPORT


WRCパラグアイ 暫定結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:00:06.6
2. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +26.2
3. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +27.2
4. A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +28.5
5. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +30.6
6. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:05.2
7. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +3:35.5
8. O.ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +6:53.8
9. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +7:16.3
10. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:48.2



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