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WRC第10戦ラリーパラグアイ(グラベル)は競技初日の8月30日、SS9〜15の走行が行われ、トヨタはセバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが首位に浮上した。前日トップのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは、パンクによるタイムロスで後退し、この日を6番手で終えた。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンは3番手に順位を上げた。TGR-WRT2からエントリーするサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンも順位をひとつ上げて7番手で最終日を迎える。前日、デイリタイアを喫した勝田貴元/アーロン・ジョンストンは、この日を再スタートし、総合20番手まで順位を戻している。
(以下、発表リリース)
WRC 第10戦 ラリー・デル・パラグアイ デイ2
オジエが4本のベストタイムで総合4位から首位にジャンプアップ
前日総合5位のエバンスは総合3位に順位を上げる
8月30日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「ラリー・デル・パラグアイ」の競技2日目デイ2が、パラグアイ南東部エンカルナシオンのサービスパークを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が首位に立ち、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合3位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合6位に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合7位に、前日のデイリタイアを経て再出走した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合20位につけました。
WRC初開催となるラリー・デル・パラグアイのデイ2は、サービスパークの西北エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。デイ1とはステージの特徴がやや異なり、全体的にはスムースながら、滑りやすい路面が多くありました。また、ミッドデイサービスの直前には、デイ1でも2回走った「アウトドロモ」のスーパーSSを走行。7本のステージの合計距離は112.78km、リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は419.26kmでした。エンカルナシオン周辺は土曜日も好天に恵まれ、路面は概ねドライコンディション。デイ2の路面はデイ1よりも全体的にルースグラベルが多く、出走順が早いドライバーにとっては非常に不利な路面コンディションとなりました。
デイ1で首位に立ったロバンペラは、ライバルよりも遅い出走順のアドバンテージを活かし、SS9と11でベストタイムを記録。午後のSS13まで首位の座を守り続けました。一方、デイ1のSS2でタイヤにダメージを負い大きく遅れながらも、総合4位まで順位を挽回して金曜日を終えたオジエは、SS10、12、13でベストタイムを記録。首位ロバンペラと14.4秒差の総合2位まで順位を上げました。そして迎えたSS14、ロバンペラは右フロントタイヤにダメージを負い、ステージを最後まで走り切るも2分30秒以上を失い総合6位にポジションダウン。その結果、このステージで土曜日4本目のベストタイムを記録したオジエが首位に立ち、総合4位まで順位を上げていたエバンスが総合3位にポジションアップ。デイ2最終のSS15はロバンペラがベストタイムを刻むも上位の順位は変わらず。3番手タイムのオジエが首位を守り、総合2位アドリアン・フォルモー(ヒョンデ)との差を10.3秒に拡げて一日を終えました。なお、総合3位のエバンスと、総合4位オィット・タナック(ヒョンデ)との差は2.5秒と、接戦状態が続いています。
デイ1で序盤総合3位につけるなど健闘しながらも、タイヤのダメージによる遅れで総合8位まで順位を下げていたパヤリは、早い出走順により一日を通してルースグラベルを掃き飛ばしながらの走行を強いられることに。また、前日のデイリタイアを経て、TGR-WRTのメカニックたちによって完全に修理されたクルマで再出走した勝田も、1番手という不利な出走順により苦戦。それでも両者とも確実な走りでステージを重ね、パヤリは総合7位で、勝田は総合20位でデイ2を走り切りました。
サポート選手権であるWRC2では、GR Yaris Rally2のオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)が、金曜日朝のスローパンクチャーによる大きな遅れを挽回。土曜日の全7ステージを含む、金曜日のSS4からの12ステージ連続ベストタイムで巻き返し、首位と6.5秒差のWRC2クラス2位につけています。
ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
今日もアップ&ダウンの大きい一日でした。チームとしては依然良い順位をキープしていますが、かなりの接戦が続いているので、明日は全員にとって厳しい一日になるでしょう。セブは経験豊富で、本当に素晴らしいドライバーです。厳しいコンディションにおける適切なペースを心得ており、今こうしてトップに立っています。また、エルフィンも総合3位に順位を上げるなど、クリーンで良い一日になりました。カッレが大きくタイムを失ってしまったのは残念ですが、明日は追加ポイントを獲得することが可能なので、彼は全力を尽くして戦うはずです。明日は興味深く、エキサイティングな一日になるでしょう。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
最もイージーな一日というわけではありませんでしたが、できる限りのことはしました。まだ良いフィーリングを見つけることに苦労していますし、特に、テクニカルなステージではなおさらです。それでも今日はクリーンに一日を戦い、トラブルを避けつつ順位を2つ上げることができました。オィットはかなりプッシュしてきているので、明日も彼を抑えるのは難しいと思いますが、全力で戦います。さらなるスピードアップを目指して今晩も作業を続け、明日は最大ポイントを獲得したいと思っています。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
今日の結果は、もちろん望んでいたものではありません。昨夜クルマに調整を加え、バランスは昨日よりも良くなっていました。今週末はパンクのリスクがかなり高いと理解していたのですが、自分たちはステージの序盤でパンクを喫し、多くのタイムを失ってしまいました。振り返れば、クルマを止めてタイヤを交換するべきでした。ただ、もしそうしていたとしても、順位は今と変わらなかったと思います。残念でしたが、明日はコンディションがどうなるか見た上で、少しでも多くポイントを取り戻すために何ができるか考えたいと思います。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
カッレに起きてしまったことは残念です。チームメイトからこのような形でリードを奪いたくはありませんでした。今週末はほとんどのドライバーがタイヤのトラブルに見舞われていますが、残念ながらカッレの場合はより深刻な結果に繋がってしまいました。私たちは昨日トラブルに見舞われた後、可能な限りプッシュし、最大限のパフォーマンスを発揮してきたので、この結果については喜ぶべきでしょう。現在の順位まで挽回できたのは嬉しいですが、もちろん戦いはまだ終わっていません。明日は今週末最長のループが待ち構えていますし、予報では雨の可能性もあるので、まだ多くの出来事が起こり得ます。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
チームがクルマを修復してくれて、今日再スタートを切れたことに感謝します。予想していたように、今日のステージの路面は昨日と異なり、出走順トップでステージに臨んだことで、路面のクリーニングをかなり強いられました。そのため、トップのドライバーたちとのペース差を測るのは難しかったです。今日の路面はかなり特殊で判断が難しいため、理解を深めることが重要でした。しかし、異なるセットアップをいろいろ試した結果、有益な知見を得ることができました。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今日は、順位争いに関してできることはそれほどありませんでしたが、それでも自分たちができる限りの走りをしました。一日を通して出走順2番手で走行することが多く、路面のコンディションもトリッキーだったため、他とペースを比較することは容易ではありませんでした。それでも適切なスピードを保ち、確かな自信を持ちつつ、クルマについても調整を試みたので、明日もこの調子で走り続けたいと思います。
ラリー・デル・パラグアイ デイ2の結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h17m20.5s
2 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +10.3s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +36.6s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +39.1s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +46.8s
6 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m21.2s
7 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3m16.2s
8 ロバート・ヴィルベス/ヤッコ・ヴィッロ (シュコダ Fabia RS Rally2) +5m30.8s
9 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +5m37.3s
10 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +5m38.0s
20 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +21m54.2s
(現地時間8月30日17時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
ラリー最終日となる8月31日(日)のデイ3は、サービスパークの東北エリアで「ベラ・ヴィスタ」、ユネスコ世界遺産の名を冠した「ミッション・イエズスティカ・トリニダード」という2本のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。その合計距離は79.50kmと、3日間で最短です。最終ステージのSS19「ミッション・イエズスティカ・トリニダード2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。