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WRCフィンランド:トヨタがトップ5を独占。カッレ・ロバンペラは母国で待望の初優勝

©TOYOTA

WRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は8月3日、競技最終日となるSS19〜SS20の走行が行われ、トヨタ勢は、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが悲願の母国ラリー初優勝を決めた。さらに勝田貴元/アーロン・ジョンストン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、TGR-WRT2から参戦するサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンも前日までの順位を守り切り、5台のトヨタGRヤリス・ラリー1が上位5台を独占した。

WRC2部門では、フィンランドのルーペ・コルホネンが、ヤリ‐マティ・ラトバラの猛追を退けてWRC2部門初優勝。TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀は5位でフィニッシュした。

ルノー・クリオ・ラリー3でWRC3部門に参戦する3期生の後藤正太郎は、名門オウニンポウヤの2回の走行も無事に走り切り、部門11位でフィニッシュ。ヤルッコ・ニカラとともにルノー・クリオ・ラリー4で初めてのWRC参戦に挑んだコ・ドライバーの前川富哉は、前日にデイリタイアした後、この日を再スタートしたが、SS19でアクシデントによりリタイアとなった。

(以下、発表リリース)


WRC 第9戦ラリー・フィンランド デイ4
ロバンペラが最速で最終日を駆け抜け地元のラリー・フィンランドを初制覇
勝田、オジエ、エバンス、パヤリが続きTGR-WRTが1-2-3-4-5フィニッシュ

8月3日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の最終日デイ4が、ユバスキュラを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 69号車)が優勝。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合2位、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合3位、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車) が総合4位、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)が総合5位でフィニッシュし、TGR-WRTは初めて1-2-3-4-5フィニッシュを達成しました。

ラリー・フィンランドの最終日デイ4は、サービスパークが置かれるユバスキュラの南西エリアで「オウニンポウヤ・デイ」として、今大会最長となる23.98kmの「オウニンポウヤ」のステージのみを、ミッドデイサービスを挟むことなく2回走行。2本のステージの合計距離は47.96kmでした。

最終日は朝から美しい青空が拡がり、路面は概ねドライコンディション。前日のデイ3が終了した時点で首位はロバンペラ、36.1秒差で総合2位勝田、42.9秒差で総合3位オジエ、44.4秒差で総合4位エバンス、59.2秒差で総合5位パヤリと、TGR-WRTの全ドライバーが首位と1分以内のタイム差でトップ5につけました。

1本目の「オウニンポウヤ1」では、オジエを1.5秒差で追うエバンスがベストタイムを記録。2番手タイムだったオジエとの差を1.1秒に縮めました。一方、首位ロバンペラは3番手タイムで、4番手タイムの勝田との差を37.2秒に拡大。そして、リグループを経て始まった最終のパワーステージ「オウニンポウヤ2」では、ロバンペラが今大会10本目のベストタイムを記録。地元開催のラリー・フィンランド初優勝に加え、日曜日の合計タイムのみで競われる「スーパーサンデー」と「パワーステージ」も制し、1戦で獲得可能な最大ポイントである合計35ポイントを持ち帰る、パーフェクトウインを飾りました。また、今回ロバンペラが記録した129.9km/hという優勝平均速度は、WRCの歴史における最高平均速度記録となります。昨年大会でもロバンペラは終盤までラリーをリードしていましたが、最後から2番目のステージで大きな石に当たってコントロールを失いコースオフ。リタイアを喫しました。それだけに今回、リベンジを期して臨んだ地元イベントでは序盤から勝利に向けて力走。森林ステージの1本目、金曜日のSS2でトップに立つと最後まで順位を下げることなく走りきり、悲願の地元優勝を果たしました。

パワーステージでロバンペラに次ぐ2番手タイムを記録した勝田は、今シーズンの第2戦ラリー・スウェーデン以来となる2位表彰台を獲得。ラリー・フィンランドでは2年ぶり2回目の表彰台フィニッシュでした。また、勝田はスーパーサンデーでも3位となり、多くのボーナスポイントを獲得しました。

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勝田と5.9秒差の総合3位には、昨年のラリー・フィンランドの勝者であるオジエが入り、オジエはパワーステージ3番手、スーパーサンデー2番手でボーナスポイントを獲得。今シーズン8勝目と大量のボーナスポイントを獲得したTGR-WRTは、2位のチームとの差を87ポイントに拡大しました。

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不利な2番手の出走順で金曜日を戦ったエバンスは、大きなハンデをはねのけ総合4位でフィニッシュ。パワーステージ5番手、スーパーサンデー4位でボーナスポイントも加算し、再びドライバー選手権ランキング1位に復帰。2位に順位を上げたロバンペラとは3ポイント差、3位のオジエとは13ポイント差です。総合5位は、4日間を通して安定した走りを続け、ベストタイムも3回刻むなど速さも示したパヤリ。TGR-WRTは、1990年のラリー・ポルトガルでのランチア以来となる、1-2-3-4-5フィニッシュを達成したマニュファクチャラーとなりました。なお、その1990年のラリー・ポルトガルで総合3位に入ったのは、TGR-WRTのチーム代表代行であるユハ・カンクネンでした。

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サポート選手権であるWRC2クラスでは、GR Yaris Rally2が1-2フィニッシュ。最終日は首位ローペ・コルホネン(フィンランド/ラウティオ・モータースポーツ)と、彼を1.8秒差で追うTGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ(フィンランド)の一騎打ちに。1本目のSS19ではラトバラがベストタイムで差を1.3秒に縮め、最終ステージでもラトバラはコルホネンを上回るタイムを記録しましたが、逆転には至らず。コルホネンが1.1秒差でラトバラを抑え、WRC2初優勝を飾りました。また、金曜日に初のWRC2ベストタイムを刻んだTGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀は、総合4位と1.5秒差の総合5位でフィニッシュ。WRC2における自己最高位で第2のホームラリーを終えました。

ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
私たちにとって信じられないようなリザルトです。このリザルトをWRCチームが最後に成し遂げたのは、私がドライバーとして3位でフィニッシュした35年前のことです。昨日に関しては少し助けられた部分もありましたが、それもラリーでは起こりうることですし、ドライバー選手権とマニュファクチャラー選手権にとって素晴らしい結果になりました。カッレがホームラリーで彼本来のペースを取り戻し、優勝したのは本当に嬉しかったです。フィンランド人のドライバーにとっては重要な結果ですし、私自身は11回目の挑戦でようやく成し遂げたので、カッレが私より少し早く地元優勝を達成したのは素晴らしいことです! 今日の朝のチームの雰囲気はとても良く、ドライバーたちは全力で戦いに臨みました。貴元は非常に冷静でなおかつ速さもあり、素晴らしい戦いをしてくれました。そしてセブ、エルフィン、サミも素晴らしかったです。私はドリームチームに恵まれています。この後もシーズン終了まで、彼ら全員が素晴らしい結果を残し続けることを確信しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
5台すべてがトップ5に入ったことは、チームにとって本当に素晴らしい結果です。ただし、私自身は最終日の結果に少しがっかりしています。エキサイティングなフォーマットでしたし、オウニンポウヤの1回目の走りはかなり良かったと思います。しかし、2回目のパワーステージは、それほど素晴らしいものではありませんでした。ステージの2、3カ所で思い通りにクルマを曲げることができず、多くのタイムを失いました。それ以外は良いステージでしたが、僅差の戦いだったため、多くの追加ポイントを獲得する機会を逃しました。それでも、次の戦いに向けて前に進みます。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)

TOYOTA

ラリー・フィンランドで優勝することができて、素晴らしい気分です。長い道のりでしたが、毎年ファンの皆さんから多くのサポートを受けてきたので、皆さんの前で優勝できたことは本当に幸せです。今年は皆が信じられないほど努力し続けた末に、この結果を成し遂げることができました。ヨンネとチームスタッフ全員の働きは素晴らしく、自分たちは週末を通してプッシュし続けました。トヨタが1位から5位までを独占した歴史的な瞬間でもあり、皆が素晴らしい仕事をしたと思います。最も過酷なステージの一つで最終日を戦い抜くのは大変でしたが、ポイントを獲得するために全力でプッシュし、それを成し遂げることができました。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
これは素晴らしいリザルトですし、とくにチームの本拠地であるフィンランドでの勝利は特別です。きっと今夜はビッグパーティーになるでしょう! チームは一年を通してずっと全力で頑張ってきたので、努力が報われたと思いますし、私がその歴史的な記録の一部になれたことを嬉しく思います。また、昨年すでに優勝に値するラリーを戦っていた、カッレとヨンネが今回勝ったことも本当に嬉しいです。私自身は週末を通じてスムースさが足らず、ペースについていくのに苦労しました。しかしラリー中に多くの変更を加えた結果、今日は私に合うセッティングが得られ、このクルマで、素晴らしいフィーリングを感じながら伝説的なステージを走ることができました。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
フィンランドという、自分とチームにとって重要な場所で表彰台に復帰し、2位でフィニッシュできたことを本当に嬉しく思います。応援してくれたフィンランドのファンの皆さん全員に感謝します。キートス・パルヨン(=フィンランド語で、本当にありがとう)。また、いつもしっかりとサポートしてくれたチームのみんな、とくに、素晴らしい仕事をしてくれたアーロンにも本当に感謝しています。チームと、幾度の不運を乗り越えてカッレがようやく地元で優勝できたことも、本当に嬉しいです。ラリー前に二人で約束したように、今日は一緒に表彰台に立つことができました。この週末の自分のパフォーマンスにも満足していますし、クルマも非常に良く走ってくれました。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
トヨタの一員としてこのリザルトに貢献できたのは、本当に素晴らしいことです。チームはこの週末本当に頑張っていたので、この結果は皆の努力の賜物です。自分たちもベストタイムを何度か記録し、全体的に安定したペースを維持できていたので、本当に良い週末でした。今日は確実に結果を残すことを最優先しながらも、オウニンポウヤのようなステージを走ることができて楽しかったです。週末を通して本当に楽しめたので、チームとファンの皆さんのサポートに感謝します。

TOYOTA

ラリー・フィンランドの結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h21m51.4s
2 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +39.2s
3 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +45.1s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +48.1s
5 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m18.8s
6 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m01.5s
7 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +4m07.4s
8 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +5m17.2s
9 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +5m24.9s
10 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +7m38.4s
(現地時間8月3日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

第9戦終了時点でのドライバー選手権順位
1 エルフィン・エバンス 176ポイント
2 カッレ・ロバンペラ 173ポイント
3 セバスチャン・オジエ 163ポイント
4 オィット・タナック 163ポイント
5 ティエリー・ヌービル 125ポイント
6 勝田 貴元 87ポイント
7 アドリアン・フォルモー 71ポイント
8 オリバー・ソルベルグ 52ポイント
9 サミ・パヤリ 48ポイント
10 グレゴワール・ミュンスター 21ポイント

第9戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 458ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 371ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 129ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 85ポイント

次回のイベント情報
WRC次戦は、8月28日(木)から31日(日)にかけて、WRCとして初めて開催される第10戦「ラリー・デル・パラグアイ」です。南米大陸ではこれまでアルゼンチンやチリでWRCが行われてきましたが、今年初めてカレンダーにパラグアイが加わりました。ラリーの中心となるサービスパークは南部のエンカルナシオンに置かれ、グラベルラリーとして開催されます。



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