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WRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は7月31日、シェイクダウンに続いてSS1の走行が行われ、5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリーさせるトヨタは、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが3番手、4番手タイムをマークした。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンと勝田貴元/アーロン・ジョンストンは同タイムの6番手、TGR-WRT2から参戦するサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは9番手タイムだった。
WRC2部門では、チーム代表で今回はトヨタGRヤリス・ラリー2で参戦するヤリ‐マティ・ラトバラ、フィンランドの新鋭ルーペ・コルホネンが2番手、3番手。TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀は7番手タイムで滑り出した。ルノー・クリオ・ラリー3でWRC3部門に参戦する3期生は、前戦エストニアでWRC3初優勝を挙げた松下拓未が12番手、後藤正太郎は14番手タイムで滑り出した。初めてのWRC参戦に挑むコ・ドライバーの前川富哉とヤルッコ・ニカラのコンビ(ルノー・クリオ・ラリー4)は、と組んででWRCデビューを飾った。同クラスの車両は、今回はこの1台のみとなっている。
(以下、発表リリース)
WRC 第9戦ラリー・フィンランド デイ1
ラリー・フィンランドがTGR-WRTのホームシティで開幕
オジエが総合3位、ロバンペラは総合4位につける
7月31日(木)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の競技初日デイ1が、フィンランドのユバスキュラで行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が総合3位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車) が総合4位につけ、総合6位のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)と、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が同タイムで並びました。また、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、総合9位につけています。
前戦ラリー・エストニアでは、初めてGR YARIS Rally1で競技に出場したオリバー・ソルベルグがWRC初優勝。GR YARIS Rally1は今シーズン7勝目を獲得しました。それから1週間のインターバルを経て、WRCはエストニアと同じくハイスピードなグラベル(未舗装路)ステージが特徴のフィンランドへ。サービスパークが置かれるユバスキュラのパビリオンキは、TGR-WRTのヘッドクォーターから3km程度しか離れていないため、チームにとっては真のホームイベントとなります。
ラリーはまず、7月30日(水)の夜にパビリオンキでセレモニアルスタートが行なわれ、大勢の観客の前で大会がスタート。そして31日(木)は朝9時過ぎから、伝説のステージ「ルーヒマキ」でシェイクダウンが行なわれました。ルーヒマキは金曜日のデイ2でも2回走行しますが、シェイクダウンのステージは距離とレイアウトがやや異なり、競技本番とは異なるルートでの走行に。それでも、多くのクレスト(丘越え)やビッグジャンプが設けられたステージは、本番と遜色ないハイスピードなキャラクターであったため、ドライバーたちはラリー本番に向けて最後のセッティング確認および調整を行ないました。そのシェイクダウンでは、勝田が3回目の走行で最速タイムを記録。オジエは2番手、ロバンペラは5番手、エバンスは7番手、最初の走行で最速だった地元のパヤリは8番手タイムでした。
その後、ユバスキュラ中心部でのオープニングステージ、SSS1「ハルユ1」のスタート前には、WRCで4回チャンピオンを獲得した、TGR-WRTチーム代表代行のユハ・カンクネンが、GR Yaris Rally2 H2 Conceptでステージをデモ走行。トップギアやザ・グランド・ツアーの司会者であり、科学、工学、サスティナビリティに関するストーリーテリングでも知られる、モータージャーナリスト兼プレゼンターのリチャード・ハモンド氏を助手席に乗せて、大勢のファンの前で水素エンジン・ラリーカーの迫力ある走りを披露しました。GR Yaris Rally2 H2 Conceptは、より優れたモータースポーツ由来の車両開発と、カーボンニュートラル社会の実現を目指すTOYOTA GAZOO Racingの取り組みの一環として、TGR-WRTが開発。圧縮水素を燃料とする内燃機関を搭載し、ラリーファンを魅了するアクションとサウンドを維持しながらも、ほぼゼロエミッションを実現しています。
この時期のユバスキュラは日没が遅く、太陽の光が強く照りつける中、夜7時過ぎからSSS1がスタート。市街地大通りのターマック(舗装路)セクションと、公園内のグラベルセクションを含む全長2.58kmのステージでは、オジエがトップと1.5秒差の3番手、ロバンペラが4番手のタイムを記録。エバンスと勝田は6番手タイムをわけ合い、パヤリは9番手タイムで競技初日を走り終えました。
ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
ラリー・フィンランドがスタートするこの瞬間は、本当に興奮します。私たちのチームとドライバーに対して、特にここハルユの市街地ステージでは、地元の皆さんの大きなサポートを感じます。ステージが始まる前に、GR Yaris Rally2 H2 Conceptを運転することができて大変嬉しかったです。昔のことを思い出しましたし、私がハルユのステージで過去7 回ベストタイムを出したことを誰かが教えてくれましたが、今日も“水素クラス”では最速でした! このクルマのドライブフィールは良く、ファンの皆さんにも喜んでいただけたのではないかと思います。我々のRally1のドライバーたちにとって、このステージは道幅が狭く難しいので、今晩はクリーンに走り切り、明日の森林ステージに備えることが何よりも重要でした。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
ここユバスキュラでは常に、私たちをとても温かく迎えてくれます。チームにとってのホームイベントですし、このような素晴らしい道を走れることは、私にとってシーズンのハイライトでもあります。誰もがラリーのスタートに興奮していますし、大きな期待を寄せています。皆さんのために良い結果を残せるよう、ベストを尽くします。シェイクダウンでのクルマのフィーリングは良かったので、明日からの本格的な戦いでも良いスタートを切れることを期待しています。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
ラリー・フィンランドのスタートはいつだって心躍ります。既に昨日のセレモニアルスタートの時から多くのファンの姿を目にし、大きな応援を受けていましたが、それは今夜の最初のステージでも変わりませんでした。シェイクダウンでは、非常に良い感触を得られました。ラリー本番で直面するであろうトリッキーなステージと比べれば、比較的シンプルなステージでしたが、現時点でのフィーリングはとてもポジティブです。明日は全力でプッシュし、良い結果を出すために全力を尽くして頑張ります。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
このラリーのスタートでは喜びを感じます。特に、世界一のチームのために、このような魔法のような道を走れることは格別です。ファンの皆さんから大きなサポートを受けていると常に感じますし、多くの人が応援してくださっているので、良いショーを見せたいと思っています。特に、市街地からスタートする今日のこのステージでは、速く走るために必要な良いフィーリングをつかむことが第一目標だったので、明日の戦いが楽しみです。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
最初のステージは、大勢のファンの皆さんの素晴らしい雰囲気のお陰で、今回も良いスタートになりました。何箇所か滑りやすい場所がありましたが、それ以外は問題ありませんでした。朝のシェイクダウンでは、最初はクルマのフィーリングに完全には満足していなかったのですが、いくつか変更を加えた結果、フィーリングはさらに良くなり、最速タイムで走り終えることができました。大きな自信を感じていますので、明日はベストを尽くします。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
ホームラリーのスタートはいつだって興奮します。街中で行われるこの最初のステージは常にとてもトリッキーなのですが、多くのファンが走りを見守り、応援してくれるのは本当に素晴らしいことです。朝のシェイクダウンでは良いフィーリングが得られ、最初の走行で最速タイムを出せたのは良かったです。本格的な戦いは明日の朝から始まりますが、今のところフィーリング、雰囲気、天気など全てが非常に良好です。
ラリー・フィンランド デイ1の結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) 2m04.0s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1.3s
3 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +1.5s
4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1.7s
5 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +1.9s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2.0s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2.0s
8 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +2.7s
9 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +3.0s
10 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +3.2s
(現地時間7月31日21時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技2日目となる8月1日(金)のデイ2は、森林地帯での本格的な戦いがスタート。サービスパークが置かれるユバスキュラの北側から東側にかけてのエリアで、4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行します。そのうちSS2/6「ラウカー」、SS4/8「ミヒンパー」、SS5/9「ルーヒマキ」は、いずれもラリー・フィンランドを代表する名ステージです。さらに、8本のステージの後にはSSS10として夜7時半から再びハルユのスーパーSSを走行。GR Yaris Rally2 H2 Conceptも2回目のデモランを行います。9本のステージの合計距離は114.52km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は567.80kmとなります。