WRCエストニア:オリバー・ソルベルグが挙げた初優勝がトヨタのWRC100勝目に – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCエストニア:オリバー・ソルベルグが挙げた初優勝がトヨタのWRC100勝目に

©TOYOTA

WRC第8戦ラリーエストニア(グラベル)は競技最終日となる7月20日、SS18〜SS20の走行が行われ、トヨタは、初日から首位に立ったオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソンが、トヨタGRヤリス・ラリー1での初参戦で自身初優勝を飾った。ソルベルグの優勝は、トヨタにとっても記念すべきWRC100勝目となった。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンが4位、5位でフィニッシュ。TGR-WRT2から参戦するサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは6位でフィニッシュしたが、勝田貴元/アーロン・ジョンストンはパワーステージ前にリタイアを決めた。

TGR WRCチャレンジプログラムの育成ドライバーでは、ルノー・クリオ・ラリー3でWRC3部門に参戦した3期生の松下拓未が、初優勝。2期生の山本雄紀(トヨタGRヤリス・ラリー2)は部門7位をキープしてフィニッシュ。3期生の後藤正太郎(クリオ・ラリー3)は、土曜日の再スタート後、部門トップタイムを連発し、部門4位でラリーを終えた。

(以下、発表リリース)


WRC 第8戦 ラリー・エストニア デイ4
最終日も最速で駆け抜けたソルベルグがWRC初優勝
トヨタは通算100回目となるWRC優勝を達成する

7月20日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦「ラリー・エストニア」の最終日デイ4が、エストニアのタルトゥを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(GR YARIS Rally1 99号車)が優勝、WRC初勝利を飾りました。また、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合4位、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車) は総合6位、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合7位でフィニッシュ。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、メカニカルトラブルによりリタイアとなりました。

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ラリー・エストニアの最終日は、前日と同様タルトゥのサービスパークの南側エリアが戦いの舞台に。森林地帯で3本合計60.19kmのステージを、サービスを挟むことなく走行しました。ステージの上空には朝から雲が広がり、小雨が降る中競技がスタート。今年初めて使用された1本目のSS18「ヘッレヌルマ」の路面は湿り気を帯び、一部には水溜まりができている区間もありました。

前日、4本のベストタイムを記録し、総合2位のオィット・タナックに21.1秒差を築き首位の座を守ったソルベルグは、SS18でベストタイムを記録。さらに、以前「マエキュラ」の一部として使用されたSS19「カーリック1」で今大会9回目となるベストタイムを刻み、総合2位タナックとの差を26.3秒とさらに大きく拡げました。そして迎えた最終のパワーステージ、SS20「カーリック2」をソルベルグは3番手タイムで締めくくり、GR YARIS Rally1で初めて出場したラリー・エストニアで、記念すべきWRC初優勝を飾りました。 今シーズンGR Yaris Rally2でWRC2に挑戦し、現在シリーズをリードしているソルベルグは、若手ドライバーにトップカテゴリー挑戦のチャンスを提供するというTGRの取り組みにより、今回初めてGR YARIS Rally1で出場する機会を獲得。以前、2022年までに他チームで12回トップカテゴリー車両でWRCに出場した経験はありましたが、13回目の今回ついに初表彰台を獲得。その最上段に立ちました。ソルベルグの父親、2003年のWRCチャンピオンであるペター・ソルベルグが2005年のラリーGBで最後に優勝してから約20年。ソルベルグ・ファミリーは、ロバンペラ・ファミリーに続き、親子2代でのWRC優勝を達成しました。 23才というソルベルグのWRC初優勝年齢は、ロバンペラ、そしてTGR-WRTのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラに次ぐ史上最年少記録です。また、トヨタのクルマでWRCを制したドライバーとしては、1973年にアメリカの「プレス・オン・リガードレス・ラリー」で優勝したワルター・ボイスから数えて16人目となります。なお、ソルベルグは日曜日のステージの合計タイムのみで競われる「スーパーサンデー」も制し、パワーステージと合わせて8ポイントのエクストラポイントを獲得しました。

前日、総合4位につけていたロバンペラは、SS18で3番手タイム、SS19ではソルベルグに次ぐ2番手タイムを記録。最終のパワーステージではベストタイムを記録し、総合4位でラリーを終えました。過去3回このラリーで優勝しているロバンペラは、今回思うようにペースが上がらず表彰台争いには加わることができませんでしたが、日曜日はスーパーサンデー2位と速さを発揮。パワーステージ優勝と合わせて9ポイントのエクストラポイントを獲得しました。

デイ3終了時点で総合6位につけていた勝田は、最終ステージを前に残念ながらメカニカルトラブルによりリタイアすることに。SS19で勝田を抜いたエバンスが総合6位でフィニッシュしました。エバンスはスーパーサンデー4位、パワーステージ5番手タイムにより、合わせて3ポイントのエクストラポイントを獲得しました。しかし、今回タナックが総合2位に入ったこともあり、エバンスはタナックと僅か1ポイント差でドライバー選手権2位に後退しました。また、ラリー・エストニアに初めてトップカテゴリー車両で出場したパヤリは、総合7位でラリーを終えました。

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今回のソルベルグの優勝により、TGR-WRTは今シーズンここまで8戦のうち7戦で表彰台の最上段を獲得。また、ロバンペラ、エバンスが獲得したポイントにより、52ポイント差でマニュファクチャラー選手権首位の座を守りました。

シリーズリーダーであるソルベルグを欠いたWRC2の戦いは、地元エストニアのゲオルグ・リンナマエ(レッドグレイ)が2位、フィンランド人のローペ・コルホネン(ラウティオ・モータースポーツ)が3位と、二人のGR Yaris Rally2カスタマーが表彰台に立ちました。

ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
この週末のオリバーの戦いは本当に信じられないようなものでした。ステアリングを握っている彼以上に、見守っている自分の方が緊張していたかもしれません。経験豊富なドライバーたちを相手に、彼は非常にクリーンな走りを披露してくれました。彼らのようなドライバーが後方から激しくプレッシャーをかけてくる状況では、誰だって少しはプレッシャーを感じるものですが、オリバーは非常に上手く自分をコントロールしました。このような機会を提供し、彼がそれをうまく活かしたのを見ることができたこと、そしてそれがトヨタにとって100回目のWRC優勝になったことも、私たちにとって大きな喜びです。また、カッレがパワーステージで優勝できたのも良かったと思います。そして今、我々は次なるラリー・フィンランドに集中し、ホームラリーで力強い走りができるように努力を続けます。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
厳しい週末でした。もちろん金曜日の出走順は多少不利に働きましたが、私たちが望んでいたようなスピードを発揮することもできなかったと思います。今日はベストを尽くし、エキストラポイントを少し獲得することはできましたが、満足のいく週末にはなりませんでした。いつものように次のラリー・フィンランドラリーを楽しみにしています。チームと協力して、さらなるスピードアップを図りたいと思います。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
この週末は限界までプッシュし続け、できる限りのことを全て試しました。そして、少なくともパワーステージではフルポイントを獲得することができました。それでも、グラベルラリーで今年のパッケージのペースが不足していることは明白です。言い訳はしませんし、チームと協力して改善作業を続け、プッシュし続け、毎年楽しみにしているラリー・フィンランドに向けてさらなる改善策を見つけたいと思います。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
昨日からクルマの調整を続けてきましたが、残念ながら今日はさらに状況が悪くなってしまい、パワーステージを前にリタイアする決断を下しました。パフォーマンス面での差はそれほど大きくありませんでしたが、このような非常にハイスピードなイベントで上位に挑むことはできないような状態でした。ラリー・フィンランドに向けて、さらにステップを上げられるようにすることは、自分自身とチームにとって重要なことです。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
難しいラリーでした。金曜日最初の森林ステージでのトラブルにより、良いリザルトを手にするチャンスを失いましたが、チームは問題を解決してくれましたし、その後は楽しむことができ、何度か良いタイムを出すこともできました。最後の2日間は不利な出走順だったので、学習し経験を積み重ねることに集中して取り組みましたが、それが依然、今年のメインターゲットです。フィーリングは非常に良かったので、今年もラリー・フィンランドがとても楽しみです。

オリバー・ソルベルグ (GR YARIS Rally1 99号車)

TOYOTA

最高に素晴らしい週末でした。何年も夢見てきたことですし、この瞬間のために努力を続けてきたので、圧倒的な喜びを感じています。トヨタがこの機会を与えてくれたこと、この素晴らしいクルマで自分の力を証明し、楽しむチャンスを与えてくれたことに心から感謝します。また、乗りやすいクルマに仕上げてくれた、テストチームのスタッフにも感謝します。子供の頃からのヒーローであり、父と共に憧れの対象だったユハと共に表彰台に立ち、勝利を祝うことができるとは思いませんでした。この週末、自分を冷静に保ち、適切な指示を与えてくれたユハのサポートに感謝しています。人生最良の時間を過ごすことができました。ありがとうございます!

ラリー・エストニアの結果
1 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h36m35.1s
2 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +25.2s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +48.3s
4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +55.6s
5 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m33.0s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m43.4s
7 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m55.6s
8 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +3m36.0s
9 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +5m29.8s
10 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +5m57.5s
R 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間月7月20日19時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

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第8戦終了時点でのドライバー選手権順位
1 オィット・タナック 162ポイント
2 エルフィン・エバンス 161ポイント
3 セバスチャン・オジエ 141ポイント
4 カッレ・ロバンペラ 138ポイント
5 ティエリー・ヌービル 114ポイント
6 アドリアン・フォルモー 71ポイント
7 勝田 貴元 63ポイント
8 オリバー・ソルベルグ 52ポイント
9 サミ・パヤリ 38ポイント
10 グレゴワール・ミュンスター 19ポイント

第8戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 399ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 347ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 111ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 68ポイント

次回のイベント情報
WRC次戦は7月31日(木)から8月3日(日)にかけて、フィンランドのユバスキュラを中心に開催される第9戦「ラリー・フィンランド」です。ラリー・フィンランドは、ラリー・エストニアと同様ハイスピード・グラベルラリーですが、エストニア以上にジャンプやクレスト(丘越え)が多く、路面もやや硬いことが特徴です。また、ラリーのサービスパークはTGR-WRTのヘッドクォーターのすぐ近くに展開されるため、チームにとってはホームイベントといえるラリーです。



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