WRCアクロポリス:オィット・タナックとヒョンデ、今シーズン初優勝 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

WRCアクロポリス:オィット・タナックとヒョンデ、今シーズン初優勝

©HYUNDAI

2025年シーズンWRC第7戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)は、6月29日(日)に競技最終日が行われ、ヒョンデのオィット・タナックが今シーズン初優勝を達成した。32.8秒差の総合2位にはトヨタのセバスチャン・オジエ、3位にはヒョンデのアドリアン・フルモーが入っている。

ラリーは前日のSS13までを終えた段階で、総合首位にタナック、43.6秒差の総合2番手にオジエ、2分8秒差の総合3番手にフルモー、3分4秒4差の総合4番手にエバンスというオーダーだ。最終日に残されたのは、2SSを2度走行する4SS。いずれも20km以上のSSであり、99.06kmを走る。上位陣はややタイム差が広がってはいるものの、これまでのドラマを見る限り、誰に何が起きても不思議ではないコンディション。油断や過信は許されない。

この日のオープニングとなるSS14では、タナックがオジエに1.8秒差をつけるベストタイムをマークし、わずかながらマージンを拡大することに成功した。勝田はこのSSでバンクにヒットしスピン、マシンには問題なくSSを走り切っている。なお、前日を総合6番手で終えたMスポーツ・フォードのグレゴワール・ミュンステールがメカニカルトラブルで出走せず、総合7番手オリバー・ソルベルグ以降の順位が繰り上がった。

タナックは続くSS15も制する力走。オジエも4.5秒差でSS2番手タイムにつける。これでふたりの差は49.9秒に。SS3番手タイムをマークしたのは、総合4番手につけるトヨタのエルフィン・エバンス。リスクを避けたドライビングに徹した総合3番手フルモーとの合計タイム差を一気に20秒近く縮め、27.9秒差とし、プレッシャーをかけ続ける。

最終日も後半戦、SS16ではオジエが反撃の一番時計をたたき出すも、タナックも1.1秒差のSS2番手タイムを刻み、その差を容易には縮めさせない。SS3番手タイムはフルモーがマークし、SS4番手に入ったエバンスとの合計タイム差を34.4秒に拡大した。勝田はこのSSに4分早着。あえてカッレ・ロバンペラの前に入り、+40秒のペナルティを受けている。勝田はこのSSで34番手タイム。そしてロバンペラもSS23番手タイムと、最終SSに向けてタイヤを温存しパワーステージを獲る構えだ。

TOYOTA


そして迎えたパワーステージ、SS17。WRC2の上位勢に続いて、ラリー1勢はトヨタのサミ・パヤリからコースイン。続いてコースインした勝田は出だしから好ペースを披露。途中のスプリットまで順調にパヤリのタイムを上まわっていたものの、10km地点前後で左フロントタイヤをパンク。SS中でのタイヤ交換を余儀なくされ、大きくタイムを失ってしまった。勝田はタイヤ交換後も、後に続くロバンペラにクリーンな路面を走行させるためプッシュを継続してフィニッシュ。ロバンペラは狙いどおりに暫定ベストタイムをマークすることに成功し、これが後続の選手たちのベンチマークとなった。

Mスポーツ・フォードのマルティンス・セスクスは左フロントタイヤをパンクしながらフィニッシュ、続くジョッシュ・マカリアン、そしてヒョンデのティエリー・ヌービルも、ロバンペラのタイムを上まわることなく、ステージは進行していく。エバンスは暫定3番手タイムでフィニッシュし、これで総合4位以上のポジションを確保した。続くフルモーは着実なフィニッシュを目指して、徹底的にリスクを避けたドライビング。エバンスとの間に築いたマージンを活かし切って、開幕戦ラリーモンテカルロ以来となるポディウムフィニッシュを決めた。

その後を追って走るオジエは、ロバンペラの暫定ベストタイムを4秒上まわる堂々の一番時計。2位以上を確定させて、コ・ドライバーのバンサン・ランデと固い握手を交わした。そして上位陣最終走者のタナックは、ベストタイムのオジエから16秒差のSS5番手でフィニッシュ。自身通算22勝目、昨年の第12戦セントラルヨーロッパ以来の勝利をほぼ手中に収めたタナックだが、i20Nラリー1はギヤボックスに問題を抱えており、その表情は硬いままだ。このまま最終TCまでたどり着かなければならない。

M-SPORT


最終SS終了時点での暫定総合順位は、タナック、オジエ、フルモー、エバンス、ヌービルというオーダー。パワーステージはオジエ、ロバンペラ、ヌービル、エバンス、タナックがそれぞれ5〜1点のボーナスポイントを得た。スーパーサンデーはオジエ、タナック、エバンス、フルモー、ヌービルという順になっている。
この結果、ドライバーズポイントはウイナーのタナックが30点(25点+4点+1点)をマーク。2位のオジエが27点(17点+5点+5点)、3位のフルモーが17点(15点+2点+0点)、4位のエバンスも17点(12点+3点+2点)を獲得した。ドライバーズランキング上位は、首位に150点のエバンス、2番手には141点でオジエ、3番手には138点でタナックが浮上、4番手には119点のロバンペラとなっている。マニュファクチャラーズポイントはトヨタが358点、ヒョンデが293点、Mスポーツ・フォードが97点、TGR-WRT2が57点。

次戦はタナックの母国、エストニア。7月17日〜20日の日程で、内陸部の街タルトゥを拠点として開催されるグラベルラリー。起伏に富んだハイスピードなセクションと、狭いテクニカルセクションが混在する。WRCとしての開催は2023年以来で、トヨタのロバンペラが勝利を収めている。

WRCアクロポリス 暫定結果
1. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) 4:12:20.1
2. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +32.8
3. A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +3:09.8
4. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +3:31.1
5. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) +8:59.5
6. O.ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +10:34.7
7. G.グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +11:28.5
8. Y.ロッセル(シトロエンC2ラリー2) +11:43.7
9. K.カエタノビッチ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +12:56.7
10. A.カション(トヨタGRヤリス・ラリー2) +14:19.9



RALLY PLUS