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WRCアクロポリス:TGR WRC チャレンジプログラムの山本雄紀が奮闘

©山本雄紀/ジェームズ・フルトン/TOYOTA

WRC第7戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)では、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀がトヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に参戦。会期が伝統の6月となりさらに過酷なコンディションとなるなか、山本は金曜日にデイリタイアを喫したが、翌日に再スタートし部門20位でフィニッシュを果たした。小暮はSS8でラリーリタイアを喫した。

(以下、発表リリース)


TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
2期生小暮と山本がWRCアクロポリス・ラリー・ギリシャに出場
山本は悪路での成長を示しサバイバルラリーを走り切る

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀が、6月26日(木)から29日(日)にかけて、ギリシャで開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」にGR Yaris Rally2で出場。荒れた路面のサバイバルラリーを山本はWRC2クラス20位で完走。小暮はコースオフによりデイ3でリタイアとなりました。

アクロポリス・ラリー・ギリシャは、非常に長い歴史を誇るグラベル(未舗装路)イベントです。かつてはWRCでもっとも荒れたコンディションの道を走行する、非常に過酷なラリーとして知られていましたが、近年は主催者による路面整備などにより、以前ほど荒れていないステージも増えていました。ところが、ギリシャの道は再び厳しさを取り戻し、とくに開催時期が昨年の9月から6月に移動した今大会は、摂氏40度前後という高気温も重なり、クルマ、タイヤ、選手にとって非常に過酷なラリーとなりました。

小暮と山本がこのタフなラリーに出場するのは今回が初であり、彼らはこれまで体験したことがないほど荒れた未舗装路と対峙。WRC第5戦ラリー・ポルトガル、第6戦ラリー・イタリア・サルディニアも「ラフグラベル」に分類されるハードなラリーでしたが、それ以上に過酷なギリシャの道で、苦しみながらも多くの学びを得ることになりました。

小暮ひかる/トピ・ルフティネン/TOYOTA

ギリシャの首都、アテネの市街地ステージで幕を開けたラリーは、翌日の金曜日から山岳地帯の未舗装路で本格的な戦いがスタート。小暮はパンクでタイムを失いながらも、SS4でWRC2クラス8番手のタイムを記録するなど、所々で速さを発揮しました。一方、山本はSS3の途中まで良い走りをしていましたが、前走車によって掘り起こされた大きな石にぶつかり左リヤのサスペンションを破損。山本とコ・ドライバーのジェームズ・フルトンは自力での修理を試みましたが、時間切れによりデイリタイアとなり、残りのステージを走るチャンスを逸しました。

競技3日目となる土曜日は、1本目のSS8で小暮がコースオフ。幸いにも小暮とコ・ドライバーのトピ・ルフティネンに怪我はありませんでしたが、クルマは競技続行不可能なほど大きなダメージを負い、小暮はラリーからのリタイアを余儀なくされました。一方、修理されたクルマで土曜日に再出走した山本は、大きな石が散乱する荒れたステージを堅実に走行。SS12では9番手タイムを記録するなど、経験豊富なライバルたちを相手に高い競争力を発揮し、土曜日のステージを全て走り切りました。

最終日の日曜日も、山本はスピードと安定性のバランスをうまくとりながら走行。最終的にはWRC2クラス20位まで順位を挽回し、初出場のアクロポリス・ラリー・ギリシャで完走を果たしました。

ユホ・ハンニネン(チーフインストラクター):
今回は、間違いなく非常にラフなコンディションの過酷なラリーでした。金曜日、小暮は大きなミスや問題もなく安定した走りを披露し、パフォーマンスも前のラリーから改善が見られました。しかし土曜日の朝、彼は大きなミスを犯し、その結果クルマが修理不能となり再スタートできなくなりました。前戦サルディニアでも走行距離が限られてしまっていただけに、非常に残念な結果です。山本は金曜日の朝ミスを犯し、その日の走行機会の大半を逃しましたが、土曜日に見事にカムバックしました。彼がGR Yaris Rally2で戦ってきた中で、スピードに関してはベストな一日だったと思いますし、これまでで最も上位に近づいたと思います。そして、日曜日の走行も安定していました。昨年、このようなテクニカルなラリーで我々は苦戦しましたが、今回山本が良いステップを踏み、成長したことを嬉しく思います。そして我々はこのあとエストニアとフィンランドへと進みますが、これらのラリーのキャラクターには少し馴染があるので、より強力なパフォーマンスを発揮してくれることを期待しています。

小暮ひかる:
ポルトガルとサルディニアの前2戦と比べると、このイベントははるかに過酷で、各ラリーの難しい部分が一つに凝縮されていました。アクロポリスに向けてオンボード映像を分析したところ、改善できる点を発見し、それを今回試しました。金曜日の最初のステージではタイヤ交換を余儀なくされ、その後はタイヤの本数が限られているため慎重に走行しました。金曜日の最後のステージでも同様の問題が発生しましたが、幸いにもフィニッシュまで5kmという地点でした。パフォーマンスは前の数戦よりも良かったのですが、残念ながら土曜日最初のステージでコースアウトしました。外側に何もない難しいコーナーで、その前の左コーナーに少し高い速度で入り過ぎたため、続くタイトな右コーナーに速すぎるスピードで進入してしまいました。次のラリーではより良い結果を出せることを願っています。

山本雄紀:

山本雄紀/TOYOTA

このラリーをフィニッシュすることができて本当に嬉しかったです。これまで出場してきた中で、おそらく最も過酷で厳しいラリーだったと思います。ラリー中は多くのことが起こりました。SS3は最初の区間で最速でしたが、道に大きな岩があり、道幅がとても狭かったため避けられず、サスペンションにダメージを負いクルマを止めなくてはなりませんでした。土曜日は道が本当に荒れていて、何度もタイヤに問題が生じ、サスペンションアームも損傷したので、ステージとステージの間に交換しなくてはなりませんでした。それでも、良いフィーリングが掴めた時はペースも良かったですし、いくつかの区間ではトップ3、4位のドライバーと競うこともできました。ここまでの3戦は、それぞれ前のラリーよりも過酷でしたが、ラリーを重ねるごとにペースも改善されていったので、進歩には誇りを持つことができます。今後の課題は、速いステージタイムを出すことと、トラブル回避のバランスを見つけることですが、この後出場するハイスピードなグラベルイベントに関しては自信を持っています。

アクロポリス・ラリー・ギリシャの結果(WRC2クラス)
1 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Toyota GR Yaris Rally2) 4h22m54.8s
2 Gus Greensmith/Jonas Andersson (Škoda Fabia RS Rally2) +53.8s
3 Yohan Rossel/Arnaud Dunand (Citroën C3 Rally2) +1m09.0s
4 Kajetan Kajetanowicz/Maciej Szczepaniak (Toyota GR Yaris Rally2) +2m22.0s
5 Alejandro Cachón/Borja Rozada (Toyota GR Yaris Rally2) +3m45.2s
6 Martin Prokop/Michal Ernst (Škoda Fabia RS Rally2) +4m19.8s
20 山本 雄紀/ジェームズ・フルトン (Toyota GR Yaris Rally2) +1h00m45.2s
R 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2)

■次回のイベント情報
2期生小暮と山本の次戦は、7月17日から20日にかけてエストニアで開催される、WRC第8戦「ラリー・エストニア」。このラリーには、3期生の後藤正太郎と松下拓未もRally3車両で出場します。タルトゥを中心に行われるこのイベントは、フラットでスムースな路面が特徴のハイスピードグラベルラリーです。南ヨーロッパで3戦続いたラフグラベルラリーとはキャラクターが大きく異なり、限界までスピードを追求するスプリント的な戦いかたが求められます。



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