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WRCアクロポリス:波乱の金曜日にトヨタはセバスチャン・オジエがポディウム圏内を死守

©TOYOTA

WRC第7戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)は6月27日、SS2〜SS7の走行が行われ、トヨタGRヤリス・ラリー1で参戦するトヨタ勢は、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが3番手、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンが4番手につけた。勝田貴元/アーロン・ジョンストンは序盤にパンクでタイムロスを喫しながらも、6番手まで挽回。同じくパンクに見舞われたカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは7番手で続いている。一方、TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは、一時は3番手につけていたが、SS5走行後にメカニカルトラブルによりデイリタイアとなっている。

トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門にエントリーしているTGR WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかるは部門17番手、山本雄紀はSS3でデイリタイアを喫している。

(以下、発表リリース)


WRC 第7戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ2
山岳地帯の極悪未舗装路でタフな戦いが繰り広げられ
オジエが総合3位に、エバンスは総合4位につける

6月27日(金)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」の競技2日目、デイ2がルートラキを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が総合3位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合4位に、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合6位に、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合7位につけました。また、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)はデイリタイアとなりました。

TOYOTA

前日、木曜日の夜に首都アテネでのスーパーSSで戦いの火蓋が切って落とされたアクロポリス・ラリーは、金曜日の朝からグラベル(未舗装路)ステージでの本格的な戦いがスタート。ルートラキのパルクフェルメ(車両保管)を起点に、ラミアのサービスパークを目指しながら6本合計121.76kmのステージでタイムが競われました。金曜日も天気は非常に良く、気温は日中摂氏40度前後まで上昇しドライコンディションでの戦いに。路面は非常に荒れており、多くのクルマがタイヤにダメージを負うことになりました。

木曜日夜のスーパーSSでベストタイムをオィット・タナック(ヒョンデ)と分け合ったオジエは、金曜日最初のSS2「アイイ・テオドリ1」で、グラベルラリーでは不利となる2番手スタートながらベストタイムを記録し単独首位に。続くSS3「ルートラキ」では8番手タイムとなり、総合3位に後退しました。しかし、SS2の再走ステージであるSS4「アイイ・テオドリ2」では今大会3本目のベストタイムを記録。再び首位に返り咲きました。

ルートラキのリモートサービスを経て始まった午後のステージは、3本すべてが一度しか走行しないため、出走順が早いドライバーにとっては非常に不利な路面コンディションとなりました。そのためオジエはSS5では首位を守りましたが、その後やや遅れをとり、総合3位に後退。首位と16.9秒差の総合3位でデイ2を締めくくりました。

ドライバー選手権首位のエバンスは、出走順トップでステージを走行したため、ルースグラベルの影響で少なからずタイムをロス。また、SS4では衝撃によりクルマにダメージを負いましたが、直後のリモートサービスでメカニックの協力を得て修理に成功し、午後のステージに臨みました。不利な路面コンディションにも関わらず、エバンスは安定した走りを続けて着実に順位を上げていき、総合4位で一日を終えました。

木曜日のスーパーSSで2番手タイムを記録し総合3位につけていた勝田は、デイ2最初のSS2でタイヤにダメージを負い、交換作業で2分程度タイムをロス。しかし、続くSS3では4番手タイムを、SS4では3番手タイムを記録するなど競争力の高さを示しました。午後のステージでも勝田は4、5番手のタイムで走行し、総合6位まで順位を挽回しました。

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出走順3番手のロバンペラはSS5終了時点で総合4位まで順位を上げていましたが、SS6の途中でタイヤにダメージを負い、タイヤの交換作業により2分程度タイムをロス。総合8位に後退しました。しかし、一日の最後のSS7では4番手タイムを記録し、勝田と3.8秒差の総合7位でデイ2を終えました。

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昨年、サポート選手権のWRC2に、GR Yaris Rally2で出場し優勝を飾ったパヤリは、GR YARIS Rally1で挑んだ今回も序盤速さを発揮。SS2ではオジエに次ぐ2番手タイムを記録し、総合3位に順位を上げました。しかし、その後ややペースを落とし、SS5を総合5位で終えた後、クルマに技術的な問題が発生しリエゾン(移動区間)でストップ。デイリタイアとなりました。チームはクルマを精査して問題の解決に取り組み、明日の再出走を目指します。

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サポート選手権のWRC2では、オリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)が1位、カイエタン・カイエタノビッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)が2位とGR Yaris Rally2が1-2。彼らは総合でも9、10位につけています。

ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
今日は“ノーマル”なアクロポリスの一日となり非常に過酷でしたが、いい戦いができたと思います。出走順1、2、3番手でステージに臨み、路面をクリーニングしながら走ると通常は少なからずタイムを失うものですが、セブは2番手スタートながら素晴らしい走りを披露し、エルフィンもできる限りのことをしたと思います。彼らは、明日アタックすることができるいい順位につけています。貴元とカッレは、ステージの途中でタイヤ交換を行ないタイムを失いましたが、ここはアクロポリスです。私が 1986 年にこのラリーで初めて優勝したとき、最初のステージを終えた時点では1分半の遅れをとっていましたが、2日目には 2 分差をつけてトップに立っていました。最後まで何が起こるかわかりません!

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
厳しい一日でした。暑かったですし、出走順トップの不利も被りました。とくに午後は、すべてのステージを清掃しながらの走行でした。全体的な展開や、このようなコンディションで良いフィーリングを得ることに苦労したことなど、あまり満足することができない一日になってしまいました。他のドライバーもトラブルに見舞われたため、4位は妥当な順位だと思います。しかし、まだ先は長いのでクリーンにラリーを戦い続けなくてはなりません。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
今日は非常に暑く、クルマ、タイヤ、そして選手にとって過酷な一日でした。朝は自分が望んでいたようなペースを発揮することができず、かなり苛立ちました。また、道は非常に荒れていて、何度もクルマに大きな衝撃を受けたことでダメージが蓄積し、一日の最後までその影響を引きずることになりました。このようなラリーでは運も必要ですが、今日はあまり運が良くなかったようです。それでも、明日も頑張りたいと思います。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
全体的には、とてもポジティブな一日でした。2番手スタートでこの順位というのは、予想以上に良い結果です。朝のループはとくに調子が良く、アイイ・テオドリのステージでは2回ともベストタイムを記録することができました。一方、ルートラキは午後のステージの予兆となる厳しいステージで、路面清掃の影響が大きく、かなりタイムを失いました。それでも、今日自分たちが成し遂げたことと、クルマのパフォーマンスには満足しています。明日はスタート順が良くなるので、さらに競争力のある走りができると思います。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
残念ながら、朝最初のステージの序盤でタイヤを交換しなければなりませんでした。原因は不明ですが、道は荒れていて、路面の岩盤部分には非常に大きな段差がありました。アクロポリスでは多くのドラマが起こり得るので、同じような問題が起こらないように走り、ミスを避けるよう努めました。一日を終えて総合6位まで挽回できたのは、朝の状況を考えれば良い結果といえます。まだまだ先は長く、この先何が起こるか分からないので、トラブルを避けつつプッシュし続けるつもりです。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今日は本当にタフで難しいコンディションでした。ステージは岩だらけで、どこを走ってもトラブルの原因になるような状況でした。一部の区間ではプッシュしましたが、トリッキーなセクションではクレバーに走ることを心がけました。朝は順調で、戦いに加わることができていましたし、クルマとドライビングにも本当に満足していました。残念ながらSS5終了後に技術的な問題が発生し、走り続けることができなくなってしまいました。残念でしたが、アクロポリスはラフなラリーなので、このようなことは起こり得ます。明日再スタートできることを願っています。

アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ2の結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) 1h25m07.4s
2 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +03.0s
3 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +16.9s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m21.5s
5 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +1m43.3s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m34.3s
7 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m38.1s
8 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m38.3s
9 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR Yaris Rally2) +2m48.4s
10 カイエタン・カイエタノビッチ/マチェイ・シュチェパニャク (トヨタ GR Yaris Rally2) +3m41.8s
TBC サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間6月27日21時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.com をご確認下さい。)

明日のステージ情報
競技3日目となる28日(土)のデイ3は、ラミアのサービスパークを中心に、3本のクラシックなステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行します。路面は金曜日に走行した非常にラフなステージとやや異なり、木々に囲まれたラミア南側エリアの山岳路が戦いの舞台となります。6本のステージの合計距離は123.44kmと長く、4日間で最長のステージ距離を走行するハードな一日に。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は477.22kmとなります。



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