全日本ラリー三河湾:勝田範彦/木村裕介がトヨタGRヤリス・ラリー2での初優勝をマーク – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー三河湾:勝田範彦/木村裕介がトヨタGRヤリス・ラリー2での初優勝をマーク

©Jun Uruno / JN-1クラス優勝の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)

■レグ2
ラリー2日目は、『岡崎桑谷山(10.69km)』と『豊川宮路山(10.72km)』という10kmを超える林道ステージ2本に、サービスパークから徒歩圏内に設定されたショートステージ『KIZUNA(0.58km)』を、午前と午後でリピートする6SS、43.98km。前日、アクシデントによりレグリタイアした新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)と、眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)はマシンを修復し、無事リスタートしている。

10kmを超える林道ステージが4本も残された最終日、初日後半は新井大輝/金岡基成(シュコダ・ファビアR5)に差を詰められていた勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)だったが、SS9で5.1秒差のベストタイムをマーク。続くSS10でも新井大輝に8.8秒差をつける連続ベストを刻み、その差を26.7秒にまで拡大してみせた。

JN-1クラス優勝の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2) / Jun Uruno

手持ちのパーツではツイスティなステージに合わせたセッティングで走ることが難しい新井大輝は、思うようにペースを上げることができない。一方、SS10では、再出走してからSS9では勝田、新井大輝に続く3番手タイムをマークしていた新井敏弘が、ギヤボックストラブルから戦列を去っている。

多くの観客が集まったショートステージのSS11。先頭スタートの勝田は、看板などの設置位置がレッキ時と違っていたことから、スタート直後にミスコースを喫してしまう。あわや3分のペナルティかと思われたが、その後のクルーでも同様の事態が続いたことを受けて、主催者はSS11のキャンセルを決定した。

午前中と同じルートを走行する午後のセクション。安全圏とも言えるアドバンテージを手にした勝田は、SS12をセカンドベスト、SS13をベスト、SS14は4番手タイムでまとめ、トップでフィニッシュ。スタートから一度も首位の座を譲ることなく、ホモロゲーションを取得したGRヤリス・ラリー2での全日本ラリー選手権初勝利を達成した。

21.2秒差の2位には、スタート直前までマシンの準備に追われながら、しっかり表彰台圏内でフィニッシュした新井大輝。福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)は上位2台のペースから離されてしまったものの、表彰台圏内を確保している。

今回が、GRヤリス・ラリー2初ドライブとなった奴田原文雄/東駿吾は、マシンの習熟に努めながら、首位から3分19秒1差の4位で完走。7分44秒5差の5位は、ヘイキ・コバライネンの代役として、初めてラリー2マシンでの参戦でGRヤリス・ラリー2をフィニッシュまで持ち帰った田口勝彦/北川紗衣が入っている。

開幕戦を制した勝田は「昨年のプロトタイプとは全然違う印象で、すごく乗りやすかったです。安心してプッシュすることができました。でも三河湾のステージは狭くツイスティで、驚きました(笑)。新井大輝選手がかなり速かったですし、ヘイキ(コバライネン)選手も復活してくるはずです。今シーズンも厳しい戦いが続きそうです」と、待望の勝利にも冷静にコメント。

JN-1クラス優勝の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2) / Hiroaki Ibuki

ファビアR5での初ラリーで2位表彰台を手にした新井大輝は「午前中の走りを踏まえてセットアップを大幅に変えたんですが、やはり道に全然合っていませんでした。もっと色々詰めなければならなくて。そうなってくると、デファレンシャルも含めて、色々と手を入れる必要があるでしょうね。それでも方向性が見えたことが、一番の収穫です。次戦の唐津までにはミッションを直したり、やることが多そうです」と、悔しさのなかにも手応えを語っている。

JN-2クラス優勝の山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス) / Takuji Hasegawa

JN-2クラスは、オープニングのSS9を制した山田啓介/藤井俊樹(MCC:トヨタGRヤリス)が、前日の3番手から貝原聖也/⻄﨑佳代子(MCC:トヨタGRヤリス)をとらえて首位に浮上。貝原はSS10でベストタイムを獲ったものの逆転には至らず、SS12を制した山田がその差を20.1秒に拡大する。逆転を狙った貝原は、難しいコンディションとなったSS13において、山田を20.4秒引き離す圧巻のベストをたたき出し、0.3秒ながらも山田選手を上まわって首位に立つ。ところが、このSS13で貝原はスローパンクチャーに見舞われており、最終のSS14で大きくタイムロス。これで山田が逆転し、MORIZO Challenge Cupの初優勝、全日本ラリー選手権JN-2クラスにおいても、昨年の久万高原以来となる勝利を飾った。

2位には貝原が入り、3位は徐々にペースを上げてきた石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)が順位を上げ、久々の全日本ラリー選手権表彰台を手にした。この日を2番手からスタートした三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)は、逆転を狙いながらもペースを上げることができず、4位に終わっている。

MCCラウンド初代ウイナー、さらには全日本ラリー選手権2度目の勝利を持ち帰った山田は「僅差の展開となった最終日は、クルマの状態を確かめつつ、できる限りのプッシュをしようと挑みました。特に午前中は、今できるベストの走りができたと思っています。今回、優勝できたことはうれしいですし、ぜひフィンランドにも行きたいです」と、MCCシーズン勝者に与えられる特典を視野に入れながら喜びを語った。

悔しい2位となった貝原だったが「ラリー三河湾はバリエーションに富んだSSが多く、勝ったり負けたりの展開になりました。SS13の終盤からスローパンクチャーしていたようです。この状況の中ではベストを尽くせたと思っています。完走することでGRヤリスの動きを学べた点は収穫ですし、自分の成長につながる一戦になりました」と、納得の表情を見せた。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) / Jun Uruno

JN-3クラスは荒れたコンディションとなった最終日も、トップの山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)が、キャンセルとなったSS11以外の全ステージでベストタイムを並べ、シーズン初勝利。タイトル連覇に向けて上々のスタートを切った。2位に長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)、3位に山口清司/澤田耕一(トヨタGR86)と、前日と同じオーダーでフィニッシュ。4位には前日の5番手からひとつ順位を上げたベテランの曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)が入っている。

最終日も2位以下を突き放した山本は「マージンはありましたが、気を抜くと負けてしまうし、コースオフする可能性もあったので、気合を入れて走りました。三河湾のステージはあまりにも狭く、道が汚れていたので、これだけ素晴らしいロケーションがあるのだから、もう少し良い路面のステージが増えてくれると嬉しいですね」と、コメント。2位の長﨑は「なんとか2位で帰ってこられました。危ない瞬間もありましたが、無事に帰ってこられて良かったです。ベンチマークにしていた山本選手に少しずつ離されてしまったので、このようなコンディションでの課題になりました」と、振り返った。

JN-4クラス優勝の高橋悟史/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno

JN-4クラスは、首位の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)がSS11「キズナ1」で痛恨のミスコース。3分のペナルティにより首位陥落かと思われたが、その後、このステージがキャンセルになったことで、2位の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)との差を43.7秒に拡大し、4年ぶりとなる全日本選手権勝利を飾った。ベテランらしい安定した走りを披露した須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)は、3位を守ってフィニッシュしている。

全日本復帰戦を勝利で飾った高橋は「初めて走るラリーでしたが、色々と探ることができたのは良かったです。事前テストで、ある程度フィーリングをつかんだ状態で走れたのが、勝利につながりました」と、喜びを語った。西川は「午後は路面状況が悪くなったことで、無理をしなかったことがタイムダウンの原因です。クルマには問題なく、ドライバーの技術の問題なので、唐津までに持ち直せるように頑張ります」と、高橋へのリベンジを誓っている。

JN-5クラス優勝の松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス) / Tadayoshi Nakajima

JN-5クラスは、首位の松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)が10kmを超えるSS9、続くSS10で2番手以下を突き放す好タイムをマーク。午後のセクションはアドバンテージを活かして手堅いペースで走り切り、全日本ラリー選手権で自身初となるターマックラリー勝利を達成した。2位は河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)、ツイスティなステージで松倉や河本に互するタイムで走れなかった大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が3位でラリーを終えている。

松倉は「午後は安全に走ることを考えて、無難なペースを選びました。タイムでは河本選手に負けましたが、うまくコントロールできたと思います。実は、ターマックでの全日本初優勝なんです。去年のハイランドはもう少しのところで勝てなかったので、すごく嬉しいです。いい自信になりました」と、満面の笑みで喜びを語った。河本は「1ループ目は松倉選手に負けてしまったんですが、2ループ目はかなりアタックできました。スピンしたり、溝に落ちたりもあったので、もう少しクレバーに走れるようになりたいです。ただ、松倉選手と大倉選手というトップドライバーふたりの中に割って入れたのは、自信になりました」と、手応えを語っている。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクアGRスポーツ) / Jun Uruno

JN-6クラスは、オイルクーラーにトラブルを抱えながらも、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が初日に続き全ステージを制覇。結果、2日間・全SSでベストタイムをマークする完全勝利を飾った。2位には清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)、3位は鷲尾俊一/菅野総一郎(ホンダCR-Z)が前日の4番手からひとつ順位を上げた。

完全勝利にも天野は、「なんとか走り切れて良かったです。今回のラリーは、コースのライン取りをミスしていたようで、それが反省点です。ここまでのトラブルに見舞われるのは、このクルマでは初めてです。オイルクーラーの破損は、弱いとは分かっていましたが、あの程度の衝撃で壊れるとは予想していませんでした」と、安堵の表情で振り返った。2位に入った清水は「天野選手にまだまだ貯金があって、こちらにはあまりなかった感じですね(笑)。それでも、万年3位から上がれて、2位表彰台は嬉しいです。最終日は走り方を色々と変えてみて、少し理解が深まった気がします」と、成果を語った。

全日本ラリー第1戦ラリー三河湾 最終結果
1 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2) 1:08:57.7
2 新井大輝/金岡基成(シュコダ・ファビアR5) +21.2
3 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)+3:00.7
4 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)+3:19.1
5 田口勝彦/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2) +7:44.5
6 山田啓介/藤井俊樹(トヨタGRヤリス)+8:24.2
7 貝原聖也/西﨑佳代子(トヨタGRヤリス)+8:29.3
8 石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)+9:37.8
9 石黒一暢/穴井謙志郎(トヨタGRヤリス)+9:41.5
10 山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)+9:45.4


13 高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)+10:23.2
18 松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)+11:35.6
37 天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)+16:30.9

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