全日本ラリー三河湾:勝田範彦/木村裕介がトヨタGRヤリス・ラリー2での初優勝をマーク – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー三河湾:勝田範彦/木村裕介がトヨタGRヤリス・ラリー2での初優勝をマーク

©Jun Uruno / JN-1クラス優勝の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)

2024年シーズン全日本ラリー選手権開幕戦「Rally三河湾2024 Supported by AICELLO」(ターマック)が、3月1日(金)~3日(日)にかけて、愛知県蒲郡市を拠点に開催された。トップカテゴリーのJN-1クラスはトヨタGRヤリス・ラリー2をドライブした勝田範彦/木村裕介が優勝。2位にはシュコダ・ファビアR5の新井大輝/金岡基成、3位にはシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoの福永修/齊田美早子が入っている。

昨シーズンの最終戦ハイランドから約5カ月のインターバルを経て、全日本ラリー選手権は新たなシーズンの開幕を迎えた。昨年まで高い人気を集めてきた新城ラリーに変わり、愛知県南部の三河湾に面する蒲郡市を舞台とする「ラリー三河湾」が新たにスタートすることになった。

今回、山間部に組まれた高低差のあるワインディングロード、竹島埠頭を利用したフラットな特設コース、細かいコーナーが連続するタイトな林道コースなど、バリエーションに富んだステージ構成を採用。初開催かつ、参加クルー全員が未経験のイベントのため、レッキにおいて精度の高いペースノートを用意できるかが攻略の鍵になる。

JN-1クラスには、WRC開幕戦ラリーモンテカルロで実戦デビューしたトヨタGRヤリス・ラリー2が3台登場。モリゾウこと豊田章男トヨタ自動車会長が率いるラックwithルーキーレーシング・ラリーチームの勝田範彦、昨年JN-2クラスタイトルを獲得してJN-1に復帰した奴田原文雄、そしてヘイキ・コバライネンの欠場を受けて(胸部上行大動脈瘤治療のため当面の参戦見合わせ)、全日本ラリーはこれが初参戦となる田口勝彦が最新ラリー2のステアリングを握る。また、JN-2クラスには、新たに若手育成を目指したサブカテゴリー「MORIZO Challenge Cup」が導入されることなった。

■レグ1
初日の午前中は『ヒメハル(6.51km)』、『SSS がまごおり竹島(0.89km)』、『SSS 西浦シーサイドロード(4.10km)』の3SSに、この日最長の10.31kmを走行するSS4『幸田遠望山』を加えた4SSを設定。ラグーナビーチに置かれたサービスを挟んだ午後のセクションは、午前中の3SSに、幸田遠望山を短縮したSS6『幸田遠望山ショート(3.45km)』を加えた計8SS、36.76kmを走行する。

3月1日金曜日の夕方に蒲郡駅南口駅前の特設エリアで多くのギャラリーを集めて華やかに行われたセレモニアルスタートに続き、2日土曜日から本格的なステージが幕を上げた。

SS1は勝田が、新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)に10.8秒差、鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)に12.0秒差をつけるベストタイムを刻む。このステージでは、柳澤宏至/竹下紀子(トヨタGRヤリス)がステージ走行中に出火したため、赤旗ストップ。柳澤の後、スタートしていた三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)以降のクルーには、8番手タイムで走行した田口勝彦/北川紗衣の記録(7分50秒2)がノーショナルタイムとして与えられることになった。

続く890mのSS2は、今回からシュコダ・ファビアR5をドライブする新井大輝が、勝田を0.6秒上まわる一番時計。SS3とSS4は勝田が連続ベストを獲り返し、総合2番手につける新井大輝に17.7秒差をつけて午前中のセクションを終えた。27.1秒差の総合3番手には「シーズンオフの作業もあって、マシンが乗りやすく、かなり良くなった」と語る新井敏弘がつけている。

GRヤリス・ラリー2での初ドライブとなった奴田原文雄/東駿吾は、SS3でセカンドベストをマークするなど、少しずつペースを上げて、28.1秒差の総合4番手。以下、福永、眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)、鎌田、田口のオーダーで続く。

サービスを挟んだ午後のセクション、SS5は奴田原が勝田に0.5秒差をつけ、今回初のベストタイムを記録。新井敏弘をかわし、総合3番手にポジションを上げた。続くSS6、総合4番手を走行していた新井敏弘がステージ中に姿勢を乱して側溝にタイヤを脱輪。サスペンションアームを折って、早くもリタイアを余儀なくされている。

SS6からSS8までは新井大輝がすべてのステージで勝田を上まわり、3連続ベストをたたき出す。特にSS8『ヒメハル2』では、総合首位に立つ勝田に4.9秒差をつけ、合計タイム差を12.8秒にまで縮めて初日を終えた。その後方では、SS8で3番手タイムをマークした福永が奴田原をかわし、首位から46.8秒差の総合3番手にポジションを上げている。

50.6秒差の総合4番手は、ニューマシンのラリー2で初日を走り切った奴田原。2分18秒3差の総合5番手につけていた鎌田はギヤボックストラブルにより、ステージフィニッシュ後にリタイアを決めた。この結果、ラリー2初ドライブの田口が、2分58秒4差で実質的な総合5番手となった。また、午前中のセクションで総合6番手につけていた眞貝はSS5で足まわりを壊し、ラリー続行を断念している。

後半、新井大輝のプッシュはあったものの、初日を首位で折り返した勝田は「午後は守りに入ってしまい、失敗が多かったです。自分としても反省しています。最後のヒメハル2でも、ヘアピンでエンストしてしまいました……明日に向けてはマシンのフィーリングは悪くないので、セットアップはこのままいこうと思います。ただ、大輝選手が迫ってきているので、油断はできません」と、慎重にコメント。

今回、ギリギリでマシンを間に合わせたという新井大輝は「シェイクダウンが終わりましたね(笑)。SS1で失ったタイム差が最後まで響いていますが、良い収穫を得られたと思っています。セットアップとして目指す方向性があるんですが、自分たちが持っているパーツではそこに到達できません。今ある状況でしっかりメンテナンスして、明日に臨む感じです」と、笑顔で振り返った。

3番手につけたものの、46.8秒差と上位ふたりから大きく引き離された福永は「まだベストタイムを出せるほどではありませんが、だんだんと良くなってきています。明日はとにかくプッシュあるのみです」と最終日の挽回を誓った。

JN-2クラス初日首位の貝原聖也/⻄﨑佳代子(トヨタGRヤリス) / Jun Uruno

JN-2クラスには、MORIZO Challenge Cup(MCC)にエントリーした7名に加え、昨シーズンに続き、三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)、徳尾慶太郎/枝光展義(トヨタGRヤリス)、石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)ら、有力クルーも数多く参戦を決めている。

ラリー初日にスピードを見せたのは、フィンランドでラリー参戦経験を積んできた大竹直生/藤田めぐみ(MCC:トヨタGRヤリス)。SS2で初ベストタイムをマークすると、SS4からSS7まで連続ベストタイムを刻み、2番手につける貝原聖也/⻄﨑佳代子(MCC:トヨタGRヤリス)に13.1秒の差をつけてみせる。

ところが大竹は、この日を締めくくるSS8でオーバースピードからコースオフ。車両のダメージが大きく、ラリー続行を諦めることになった。この結果、SS3でベストタイムを記録し、その後も安定したペースで走行していた貝原が初日首位。0.5秒差の2番手に三枝、4.1秒差の3番手に山田啓介/藤井俊樹(MCC:トヨタGRヤリス)が僅差で続いている。

昨年まではFRのトヨタ86で参戦していた貝原は、今回が4WDでの初ラリー。初日首位にも「午後速さを見せていた大竹選手が最後のステージでコースオフしていたので、それに助けられていい位置にいる感じです。今回、ダスティな林道を初めて4WDで走りました。明日も厳しい道が多いので、今日の学びを活かしていきたいです。なかなか難しい道も多いので、マイレージを積み上げつつ、まずは走り切りたいですね」と、浮かれた様子はない。

僅差の2番手につける三枝は「最後のヒメハルはいい感じで走れました。コースオフしているクルマがあってスローダウンもしましたが、このフィーリングであれば、最終日は挽回できそうです。クルマのサイズに対して、このラリーの道はかなり狭いです(笑)」と、逆転勝利を口にした。

JN-3クラス優勝の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86) / Tadayoshi Nakajima

トヨタGR86/スバルBRZによって争われるJN-3クラスは、昨年王者の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)が、SS2でベストタイムを刻んでトップに立つと、SS3でも連続ベスト。その後は、一番時計こそなかったものの安定して好タイムを刻み、2番手につける長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)に13.2秒差をつけて初日を終えた。長﨑から5.5秒差の3番手には、SS6でベストタイムをマークした山口清司/澤田耕一(トヨタGR86)がつけている。

道が狭い上に滑りやすく、FRマシンには厳しいコンディションとなった初日、大きなミスもなく盤石の展開でラリーをリードした山本は「午後はライバルがかなりタイムを上げてきましたね。自分自身としては、現状そんなに悪くないと思っています。そこそこ良かった感じです(笑)。明日は10kmの林道が続くので、リタイアも多そうなので、気をつけて走ります」と、コメント。山本の先行を許した長﨑だったが、「ギャラリーステージを失敗したんですが、クルマに問題があるわけではなくて、単純にドライバーのミスです。山本選手との差は想定の範囲内。おおむね悪くない感じですね」と、納得の表情を見せた。

JN-4クラス優勝の高橋悟史/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno

スズキ・スイフトスポーツによって争われるJN-4クラス。SS3でベスト刻んだ昨年のチャンピオンの内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)が首位に立つが、続くSS4でインタークーラーを破損しリタイア。3年ぶりに全日本ラリー選手権復帰を果たした高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)が初日を首位で折り返した。2番手の西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)は、この日最多となる3度のベストタイムを刻みながらも、苦手とするジムカーナステージ(SS2)でのスピンが響き、高橋に10.8秒差をつけられている。3番手には、SS7でベストタイムをマークしたベテランの須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)がつけている。なおSS3ではJN-4クラス走行のタイミングでコースの一部に一般車両が進入する事案が発生。幸いにも事故等には至らず、審査委員会から競技長へ厳重注意がなされている。なお、同一コースを使用するSS5については車両・工作等による完全封鎖の実施を確認して走行が実施された。

久々の全日本参戦を首位で折り返した高橋は「3年ぶりなので、やっぱり最初はブランクを感じました。準備はしっかりしましたが、実際のステージを走るとギャップを感じますね。午後は午前中の反省を活かして、想定したタイムが出せた気がします」と、笑顔を見せた。対する西川は「SS2は苦手のジムカーナステージで、やったことのないサイドブレーキを引いて、スピンを喫してしまいました。あとは最後の林道ステージでも負けてしまって、引き離されてしまいましたね。なんとか明日は、この差を埋めたいです」と挽回を誓う。

JN-5クラス優勝の松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス) / Jun Uruno

JN-5クラスは、昨年チャンピオンの松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)が、SS3でベストをマークしてトップに浮上。SS5、SS6でもベストタイムを並べ、初日をトップで折り返した。ラリー序盤は大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が僅差で追っていたが、SS7とSS8で連続ベストをマークした河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)が、SS8で2番手タイムの松倉に9.5秒差をつける快走を披露してトップタイムをマーク。ここで大倉を捉え、首位の松倉に3.8秒差の2番手にポジションを上げている。

首位初日の松倉は「悪くない展開で、大体自分の予想したタイヤチョイスが上手くハマってくれました。予想外だったのは最終SSで河本君がスーパータイムを出したこと。彼とは4秒弱の差ですし、ハマるとかなり速いので、明日が正念場になりそうです」と、若い河本を警戒する。河本は「ありがたいことに2番手に順位を上げられました。松倉選手や大倉選手から離されず、最後のSSで10秒近く勝てたので、巻き返せましたね。クルマがコントロールしやすくて、いつもよりペース上がっていたんですが、コ・ドライバーがしっかり合わせてくれました」と、満足の表情だ。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクアGRスポーツ) / Tadayoshi Nakajima

JN-6クラスは、昨年王者の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が全SSでベストタイムを並べ、今回もJN-5クラスに割って入るスピードを披露。2番手につける清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)に1分3秒3もの大差をつけてみせた。しかし、天野のアクアは午後のセクションでオイル漏れの症状が出ており、最終日は余談を許さない状況だ。一方、序盤に3番手につけていた海老原孝敬/蔭山恵(ホンダ・フィット)はSS8のフィニッシュ目前で転倒し、戦列を去っている。

首位で初日を折り返した天野だが、「SS8で右フロントをヒットしてしまったんですが、その前からオイルクーラーからオイルがにじんでいました。明日は普通に走ることができそうですが、オイルクーラーの症状が悪化する可能性があります。運が良ければ完走、という感じです」と肩を落とす。海老原のリタイアもあり2番手につけた清水は「色々とタイヤを試したり、午後は天野選手と少しだけタイム差を詰めることができましたね。明日はもちろんポジションキープです。天野選手に対して経験が足りないので、調子に乗ってしまうと何が起こるか分からないので(笑)」と慎重にコメントした。

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