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WRCポルトガル:WRCチャレンジプログラムの2期生/3期生が今季最初のWRCグラベルイベントに参戦

©小暮ひかる/トピ・ルフティネン/TOYOTA

WRC第5戦ラリーポルトガル(グラベル)では、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀がトヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門に、3期生の後藤正太郎と松下拓未がルノー・クリオ・ラリー3でWRC3部門に参戦。小暮は部門15位、山本は同23位でフィニッシュした。松下は部門6位で走り切ったが、後藤はシェイクダウンで転倒しスタートすることができなかった。

(以下、発表リリース)


TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
2期生と3期生がグラベルイベントのWRCラリー・ポルトガルに出場
小暮と山本はWRC2クラス15、23位で、松下はWRC3クラス6位で完走

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀、3期生の後藤正太郎と松下拓未が、5月15日(木)から18日(日)にかけて、ポルトガル北部で開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦「ラリー・ポルトガル」に挑戦。ヨーロッパでは今シーズン初となるグラベル(非舗装路)ラリーで、小暮はWRC2クラス15位、山本は同クラス23位で完走。松下はWRC3クラス6位で完走しましたが、後藤はシェイクダウンで横転しリタイアとなりました。

ラリー・ポルトガルは、WRCでは今シーズン2回目のグラベルイベントとなりますが、第3戦サファリ・ラリーはアフリカ大陸ケニアでの開催だったため、ヨーロッパでは今シーズン初のグラベルラリーに。サファリ・ラリーに出場しなかった2期生と3期生にとっては、待望のグラベルロードでの戦いでした。

ラリーは今年もポルトガル北西部の大都市ポルト近郊、マトジニョスにサービスパークが設けられ、4日間にわたり競技が行なわれました。ラリーは木曜日の夕方、ポルトから南に130km程度離れた古都コインブラでスタート。その後、大西洋に面した「フィゲイラ・ダ・フォズ」の町で戦いの火蓋が切って落とされました。山岳路での本格的な戦いは翌日の金曜日から始まり、サービスパークでのフルサービスを受けることなく10本合計146.48kmのグラベルステージを走行。今大会では全部で50台を越えるRally2車両がエントリーし、その多くがWRC2クラスに参戦したことで、序盤からハイレベルな戦いが繰り広げられました。

山本雄紀/ジェームズ・フルトン/TOYOTA

小暮と山本がこのラリーにGR Yaris Rally2で出場するのは、昨年に続き2回目となりますが、昨年はフルデイの初日にふたりともリタイアを喫し、多くのステージで経験を積む機会を逸しました。彼らにとって今回のポルトガルはシーズン最初のグラベルイベントだっただけでなく、新しいハンコックのグラベル用タイヤで挑む最初のラリーでもありました。クルマにもドライバーにももっとも厳しい一日となった金曜日、山本とコ・ドライバーのジェームズ・フルトンは最初のループが終了した時点で、WRC2クラス16位につけるなど健闘。しかしその後SS6でパンクを喫し、ギヤボックスに関するトラブルにも見舞われたことで、残るステージを慎重に走らなければなりませんでした。一方、小暮とコ・ドライバーのトピ・ルフティネンは、SS2でコーナリングラインが乱れクルマにダメージを負いましたが、何とか修復して競技を続け、WRC2クラス15位で金曜日を終えました。

非常に荒れた路面コンディションのステージも多かった土曜日、小暮と山本は順調に経験を積み重ねていきましたが、一日の終盤に設定されたロングステージのターマック(舗装路)区間で、山本はコーナリングラインが脹らみクルマにダメージを負い、デイリタイアを喫することに。しかし、最終日の日曜日に再出走を果たしラリーを完走しました。一方、小暮は土曜日のSS17でパンクを喫し大幅にタイムロス。それでも全てのステージを走破し、WRC2クラス15位で完走しました。

後藤と松下にとって今回のポルトガルは、今シーズン、クルマを前輪駆動のRally4から、4輪駆動のRally3へと乗り換えて臨んだ初めてのグラベルラリーだっただけでなく、フィンランド以外の国で初めて経験するグラベルラリーでもありました。フィンランドの道は路面がフラットで速度域も非常に高いため、路面がラフでツイスティなコーナーも多いポルトガルの道では、多くの経験を積むことが期待されていました。ところが後藤は、競技開始前に行なわれた木曜日のシェイクダウンで運悪く横転。クルーに怪我はありませんでしたが、彼らのルノー・クリオRally3はロールケージが損傷したことで、後藤は本戦に臨むことなく週末を終えることになってしまいました。

一方、松下とコ・ドライバーのペッカ・ケランダーは、競争が激しいWRC3クラスで好スタートを切り、一時は3位につけていましたが、SS10でパンクを喫し6位に後退。さらに、土曜日にはクロスメンバーが破損しパンクも喫したことでさらにタイムをロス。それでも一日の最後に行われた、有名な「ロウサダ」のスーパーSSでは、WRC3クラス初のステージ優勝を飾るなど速さを発揮。最終的にはWRC3クラス6位でラリー・ポルトガルを走破しました。

松下拓未/ペッカ・ケランダー/TOYOTA

ユホ・ハンニネン(チーフインストラクター):
小暮と山本は昨年、ポルトガルで長い距離を走ることができなかったので、彼らが忍耐強く適切なペースを見つけ、走行距離を伸ばすことができたのは良かったです。山本は土曜日の終わりにミスを犯す前まではなかなか良いペースを見せていました。彼のミスはアンラッキーなものであると同時に、簡単に起こり得るものでしたが、幸いにもそれほど多くの走行距離を失うことなく、日曜日に再スタートを切ることができました。今回二人が経験したことが次のサルディニアで活かされ、ペースの改善につながることを願っています。後藤にとっては、残念ながら短いラリーウイークとなってしまいました。小さなミスで大きな代償を払うことになり、このようなテクニカルなグラベルラリーでは初めてとなる、貴重な経験を積むことができませんでした。一方、松下は週末を通じて素晴らしい仕事をし、コンディションに応じてクレバーに運転しながら何度か良いタイムを記録しました。これは本当にポジティブなことだと思います。

小暮ひかる
昨年のポルトガルでは数ステージを走っただけでリタイアし、多くの経験を積む機会を逃していただけに、今回全てのステージを走り切ることができて安堵しています。荒れた路面と轍の多いタフなコンディションの道を走るのは大変でしたが、それでもクルマに良いフィーリングを感じ、ドライビングの改善点を探りながらラリーを完走できたので非常に良かったです。走行距離を伸ばすことができたことで、次のサルディニアのラリーに向けて良い準備になりました。

小暮ひかる/トピ・ルフティネン/TOYOTA

山本雄紀
タフなラリーでしたが、競争力を維持しながら長いステージ距離を走ることができたのは本当に良かったです。土曜日は残念ながら少し早めに終わってしまいましたが、日曜日に焦点を切り替え、経験を積むことに集中しました。大きなリスクは取らずとも良いペースを維持することができたので、サルディニアに向けて良い形でラリーを締めくくることができたと思います。全体的には非常に多くの経験と知識を得ることができましたし、将来に役立つとても重要なラリーになりました。

後藤正太郎
残念ながら、自分にとっては短いラリーウイークでした。シェイクダウンのステージ終盤、コーナーの轍で突然クルマがはね上げられ横転してしまいました。比較的低速なコーナーだったので、転倒するとは予想していなかったので驚きました。自分たちの身体は大丈夫だったのですが、クルマのロールケージが曲がり、ラリーをスタートすることができなくなってしまいました。非常に強いフラストレーションを感じましたが、起こってしまったことは受け入れなければなりません。そして、少なくとも事前のテストとレッキでポルトガルの道を経験することができたことを、良しとするべきでしょう。

後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ/TOYOTA

松下拓未
良い週末でした。金曜日の朝はクルマのセットアップにやや苦労しましたが、少し調整を加えたことで良いフィーリングが見つかり、良いタイムも記録することができました。何度かパンクを喫し、サスペンションにも問題が発生しましたが、全体的にはとてもポジティブな週末でした。このラリーの典型的ともいえる様々なコンディションを経験することができましたし、非常にラフなラリーでクルマをケアする方法を学ぶこともできました。

ラリー・ポルトガルの結果(WRC2クラス)
1 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Toyota GR Yaris Rally2) 3h57m51.0s
2 Yohan Rossel/Arnaud Dunand (Citroën C3 Rally2) +51.8s
3 Gus Greensmith/Jonas Andersson (Škoda Fabia RS Rally2) +1m08.2s
4 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2) +2m04.7s
5 Jan Solans/Rodrigo Sanjuan (Toyota GR Yaris Rally2) +3m11.4s
6 Roberto Daprà/Luca Beltrame (Škoda Fabia RS Rally2) +3m41.1s
15 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2) +11m51.8s
23 山本 雄紀/ジェームズ・フルトン (Toyota GR Yaris Rally2) +29m56.6s

ラリー・ポルトガルの結果(WRC3クラス)
1 Taylor Gill/Daniel Brkic (Ford Fiesta Rally3) 4m15.07.3s
2 Kerem Kazaz/Corentin Silvestre (Ford Fiesta Rally3) +4m11.7s
3 Max Smart/Malcolm Read (Ford Fiesta Rally3) +4m45.2s
4 Nathaniel Bruun/Pablo Olmos (Ford Fiesta Rally3) +5m22.4s
5 Joosep Ralf Nõgene/Aleks Lesk (Ford Fiesta Rally3) +5m53.6s
6 松下拓未/ペッカ・ケランダー (Renault Clio Rally3) +6m19.6s
DNS 後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ (Renault Clio Rally3)

■次回のイベント情報
2期生小暮と山本の次戦は、6月5日から8日にかけて開催される第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」です。地中海に浮かぶ、イタリアのサルディニア島北部が舞台となるこのラリーの路面はグラベル。ステージは全体的に道幅がポルトガルよりも狭く、木や岩に囲まれた回廊を走行することになります。また、路面は全体的に砂状のグラベルに覆われていますが、その下側には岩盤や石が隠れているため、コンディションの変化に注意して走行する必要があります。さらに、この時期は気温が高くなることも多く、選手だけでなくクルマやタイヤにも厳しいラリーとして知られています。



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