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トヨタは、6月5日〜8日にかけてイタリアのサルディニア島で開催されるWRC第6戦ラリーイタリア・サルディニア(グラベル)に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンと、前戦に引き続き計5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリー。開幕から続く6連勝を狙う。チーム監督には、第2戦スウェーデン以来となるヤリ‐マティ・ラトバラが復帰する。
このサルディニアには13台のトヨタGRヤリス・ラリー2がエントリーしており、TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかるはWRC2部門のノミネート外で参戦する。
(以下、発表リリース)
WRC 第6戦 ラリー・イタリア サルディニア プレビュー
欧州ラフグラベルラリー3連戦の2戦目となるサルディニアに
5台のGR YARIS Rally1で参戦、開幕6連勝を目指す
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、6月5日(木)から8日(日)にかけて、イタリアのサルディニア島で開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。開幕6連勝を狙います。
開幕戦でオジエが、第2、3戦でエバンスが、第4戦ではロバンペラが優勝。さらに、5月中旬に行なわれた第6戦ラリー・ポルトガルではオジエが今シーズン2勝目をあげ、ポルトガルでの通算優勝回数を「7」に伸ばしました。その結果TGR-WRTは開幕5連勝を成し遂げてマニュファクチャラー選手権首位の座を守り、2位のライバルチームに対するリードを55ポイントに拡げました。また、ドライバー選手権ではエバンスがトップを守り、ロバンペラが30ポイント差の2位に、オジエが32ポイント差の3位につけるなど、トップ3を占めています。
そして迎える第6戦は、地中海に浮かぶ美しきサルディニア島が戦いの舞台に。前戦ポルトガルに続く、荒れた未舗装路での「ラフグラベルラリー」となります。ただし同じ未舗装路であっても路面はポルトガルとやや異なり、非常に硬いベースを、目の細かい砂が覆っているのが大きな特徴です。また、気温も摂氏30度を越えることが多く、クルマ、タイヤ、選手にとっては厳しいコンディションとなります。ステージは比較的速度域が高いにも関わらず、道幅は全体的に狭く、岩や木が道のすぐ脇に迫ります。そのためミスに対するマージンは少なく、精度の高いドライビングが求められます。また、1本のステージを1回目に走る時は路面に砂が多いため、出走順が早いドライバーたちにとっては非常に不利なコンディションに。しかし、何台かのクルマが走り砂が掃き飛ばされると硬い岩盤が露出するなど、コンディションは大きく変化します。
今回もまた、TGR-WRTは暑い日々が続くサマーシーズンに向けて、シルバーベースのカラーリングに変更されたGR YARIS Rally1で戦いに臨みます。前戦と同様、チームはエバンス、ロバンペラ、オジエの3人をマニュファクチャラーズポイントを獲得する権利を有するドライバーとしてノミネート。勝田はチームの4台目として、WRCにおける自身のベストリザルト更新を目指します。また、パヤリは今戦もRally1車両での出場は初めてですが、昨年はRally2車両のGR Yaris Rally2で出場し、優勝を手にしています。
ラリーの中心となるサービスパークは、昨年のアルゲーロから、島北東部の都市オルビアへと移動。1年おきにサービスパークを交代する方式が定着しています。ラリーは、圧縮された特殊なフォーマットが採用された昨年大会と異なり、より一般的なスケジュールに回帰。まず、木曜日の午後にオルビアでシェイクダウンが行われ、競技は翌日金曜日の朝からスタート。デイ1として3本のステージを、オルビアでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行します。土曜日のデイ2も同様のフォーマットとなり、やはり3本のステージを、オルビアでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その合計距離は121.60kmとデイ1よりも1km弱長く、3日間で最長のステージ距離を走る一日となります。最終日となる日曜日のデイ3は、2本のステージを各2回走行する最短の一日。3本のステージの後にはオルビアでサービスが設定され、その後、SS14の再走ステージとなるSS16でラリーはフィナーレを迎えます。なお、SS16はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。ラリーは3日間で16本のステージを走行し、その合計距離は320.08km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、1191.44kmが予定されています。
なお、今回のラリー・イタリア サルディニアには、全部で13台のGR Yaris Rally2がエントリー。前戦ポルトガルに続き多くの車両が出場を予定しています。そのうち、ポルトガルでWRC2シーズン2勝目を獲得したオリバー・ソルベルグ(スウェーデン/プリントスポーツ)は、シーズン中7戦をポイント獲得イベントとして登録するWRC2のシステムにより、今回はWRC2参戦ではなく、Rally2車両の最上位を目指します。また、TGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかる、今年WRC初出場のエドゥアルド・カストロ(ペルー)とシモーネ・ロマーニャ(イタリア)も同様に、WRC2外のエントリーとなります。一方、サポート選手権であるWRC2に関してはヤン・ソランス(スペイン)、アレハンドロ・カチョン(スペイン)、ディエゴ・ドミンゲス(パラグアイ)の3選手がテオ・マルティン・モータースポーツのクルマで出場。ローペ・コルホネン(フィンランド/ラウティオ・モータースポーツ)、カイエタン・カイエタノビッチ(ポーランド/ラリーラブ・テクノロジー)、マルコとブルーノのブラチア兄弟(ボリビア/デルタ・ラリー)、ファビオ・シュワルツ(ドイツ/アルミン・シュワルツ・ドライビングエクスペリエンス)という、8台のGR Yaris Rally2がWRC2優勝を競います。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ポルトガルではチーム全体として良い結果を得ることができましたが、サルディニアではまた別のチャレンジが待っています。ステージは、非常に硬い地面を目の細かい砂が覆っているため、出走順が早いクルマはとても滑りやすい路面を走らなくてはなりません。現在、我々はエルフィン、カッレ、セブがドライバー選手権トップ3につけているため、金曜日は厳しいスタートになる可能性があることを覚悟しておく必要があります。一方で、貴元とサミが良い出走順を味方にチャンスを掴み、上位争いに加われるかどうかを見られるのは素晴らしいことです。今シーズンはここまで非常に良い結果が続いていますが、競争は激しく、全てのラリーで勝てるわけではないと現実的に考えています。それでも、我々のクルマは強さと信頼性を備えているので、今回もまたチームとして良い結果を目指したいと思います。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
ポルトガルは少し悔いが残る結果だったので、サルディニアではもちろんより力強い戦いをしたいと思っています。このラリーはいくつかの点でポルトガルと似ていますが、より厳しい部分もあります。また、金曜日に関しては今回もまた出走順が一番手なので困難な一日になると思いますが、より一般的なスケジュール設定であることが少しでも助けになることを願っています。このようなラリーでのパフォーマンスを向上させるための方法を依然探している状態ですが、テストの機会が制限されているため、すぐに解決策を見つけることは容易ではありません。それでも、いつものように全力を尽くし、できるだけ多くのポイントを獲得したいと思っています。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
サルディニアは常にトリッキーなラリーですし、毎回大きなチャレンジに直面します。ラリー・ポルトガルの結果は、スタート順を考えればそれほど悪くありませんでしたが、サルディニアで良い戦いをするためには、自分たちが望むフィーリングとペースを得るため、引き続き一生懸命仕事に取り組む必要があります。どのラリーでもそうですが、全員がゼロからラリーをスタートするわけですから、今回もできるだけ多くのポイントを獲得できるように最善を尽くします。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
我々のポルトガルでの勝利は、ラリーが連続するこの忙しい時期に、チームと共に仕事に取り組み続ける上で良いモチベーションになりました。なぜなら、パフォーマンスをさらに向上させることができると分かったからです。サルディニアは常に難易度が高く、過去このラリーをマスターするのに私は数年を要しました。今年はチームにとってさらに厳しい戦いになるかもしれません。なぜならチームの3人がドライバー選手権でトップ3につけており、金曜日にはライバルたちのために路面をクリーニングするという大きな仕事を担うからです。それでも、2021年大会で出走順トップから優勝したことは私たちにとっていい思い出ですし、このラリーでは何が起こるか分からないことを良く知っています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
サルディニアはまたしても困難かつ過酷なラリーになるでしょう。ポルトガルではタイヤについて多くのことを学んだので、得られた知識をポルトガルとはやや異なるサルディニアのグラベル路面で活かす必要があります。適切なセッティングを決めるための事前準備がとても重要ですが、チームはそれに向けて全力で取り組んでくれていますので、良いラリーを戦えるように自分たちも最善を尽くします。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今回もまたRally1カーで出場する初めてのラリーになりますが、前戦とスタイルが似ている部分もあるので、前のイベントから次のイベントへと、より多く学びを活かすことができるはずです。ポルトガルでは一貫したスピードを発揮しつつ、クリーンにラリーを戦うことができたので、サルディニアに向けてはより良い準備ができているように思います。昨年はWRC2で優勝するなど良いラリーになりましたし、今年に関しては良い出走順で金曜日に臨むことができるはずなので、自分が何をできるのか楽しみです。