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2025年シーズンWRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア(グラベル)は、6月8日(日)に競技最終日のSS13~SS16の4SSを走行し、トヨタのセバスチャン・オジエが優勝。2位にはヒョンデのオィット・タナック、3位にはトヨタのカッレ・ロバンペラが入った。
「San Giacomo-Plebi(25.19km)」、「Porto San Paolo(13.70km)」の2SSを走行後、オルビアでのリグループを経て「San Giacomo-Plebi」を再走、再びオルビアでのリグループと15分サービスを受けて「Porto San Paolo」再走の最終パワーステージを迎える競技最終日。SS走行距離は77.78kmだが、ロングステージが2ステージもあるため、まだまだ予断を許さない。
オープニングのSS13、まず好タイムを出したのはヒョンデのティエリー・ヌービル。前日の再出走ではソフトタイヤとマシンをセーブし、この日に賭けていただけあって、たたき出した19分45秒1は、やはり再出走組の同僚アドリアン・フルモーを19.9秒も上まわる好タイム。次走の勝田貴元(トヨタ)は、そのヌービルの巻き上げたダストに視界を奪われたこともあって、11.5秒の遅れ。そして続いてスタートしたサミ・パヤリ(トヨタ)はステージ半ばでハーフスピンを喫し1分近いタイムロス、勝田とのタイム差が一気に16.5秒に縮まってしまった。再走後もペースが上がっていなかったことから、この後の走行にも大きな不安を残す。
ほとんどのドライバーが前走車の巻き上げるダストに悩まされるなか、ようやくヌービルのタイムを奪ったのは総合4番手のエルフィン・エバンス(トヨタ)、続いて3番手のカッレ・ロバンペラ(トヨタ)も“出走順どおり”にエバンスのタイムを上まわっていく。11.1秒差で迎えた注目の首位争いは、まずタナックがロバンペラを6.9秒も上まわるタイムをマーク。続くオジエはステージ半ばまではタナックと拮抗するスプリットタイムだったが、後半に突き放して4.5秒差のベストタイムをマーク。その差は15.6秒まで広がった。
パワーステージの舞台でもあるSS14は、今年新設されたステージ。誰もが未知の13.70kmだ。まずヌービルとフルモーが同タイムをマーク。勝田はスローコーナーでエンジンストールを喫してこのタイムを上まわれなかったが、パヤリが予想どおりにトラブルを抱えたGRヤリス・ラリー1でタイムを落とし、先行していたラリー2首位のニコライ・グリアジン(シュコダ)もかわしたため、ここで総合5番手まで順位を上げることになった。ヌービルとフルモーのタイムを破ったのはロバンペラ。たたき出した11分58秒7は後続のタナックとオジエも上まわることができないベストタイムとなる。首位争いは後半のダウンヒルセクションで突き放したオジエがタナックを4.1秒上まわり、その差は19.7秒。ほぼ勝負はついた格好だ。
リグループを挟んだSS15、すでにラリー1各車には大差がつき、最終ステージを前にペースをセーブするドライバーもいるなか、ベストタイムを奪ったのはタナック。オジエは2.5秒遅れ、差は17.2秒となったが気にするそぶりはない。3番手タイムはロバンペラで、スーパーサンデー首位の可能性を残した。
いよいよ迎えた最終パワーステージSS16。まず好タイムを出したのはこのステージに向けて満を持していたヌービル。勝田も最終スプリットまでは拮抗するタイムをマークしていたが、右コーナーでアウト側のルーズグラベルにはまってタイムロス。2.9秒の遅れを取る。次走エバンスは勝田のタイムも上まわれず。だが、続くロバンペラはヌービルのタイム8.1秒も更新するスーパータイムをマーク、残る2台を待つ。
まず走り出したタナックのスプリットタイムはロバンペラを上まわれない。ヒョンデはすでに2台を総合順位では失っており、首位との差を考えてクリーンに走ることに集中している印象だ。だがその直後、首位のオジエにあわやの出来事が起きる。峠の頂上付近の右コーナーで轍に足をとられたGRヤリス・ラリー1は、コーナーを曲がり切れずにコースオフ。幸いどこにもぶつけることなくリバースギヤに入れてコースに戻ったものの、ステージ後半の走りに緊張感伴う展開となる。
そして注目のフィニッシュ地点、結局タナックはロバンペラとヌービルのタイムも上まわれず。続くオジエが記録したのはロバンペラから18.3秒の遅れをとる7番手タイムで、タナックとの総合タイム差7.9秒で無事に逃げ切った。この結果、スーパーサンデー、パワーステージともにロバンペラの1位も確定した。6戦を終えたポイントランキングでは133点となったドライバーズ選手権リーダーのエバンスに対し、いずれも獲得ポイントで上まわったオジエ、ロバンペラ、タナックがそれぞれ114、113、108点と接近。マニュファクチャラーズ選手権では、トヨタがヒョンデとの差を69点に広げている。
第7戦アクロポリス・ラリーは6月26~29日、ギリシャ中部のラミアを起点としたグラベル(未舗装路)で開催される。
WRCポルトガル 最終結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 3:34:24.5
2. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +7.9
3. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +50.5
4. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +5:05.7
5. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +7:29.6
6. O.ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2) +8:32.9
7. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +10:29.0
8. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +10:58.7
9. R.ダプラ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +12:15.3
10. K.カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)+12:21.1