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インタビュー:勝田貴元 前編「日本の皆さんにヤリスWRCの走りをお見せできて本当にうれしかった」

©Naoki Kobayashi

11月7日に愛知県豊田市で開催されている「TGRラリーチャレンジ」第12戦豊田において、TOYOTA GAZOO Racingに所属する勝田貴元が、ヤリスWRCでデモンストレーションランを披露。『ラリーの魅力が満喫できるラリーウィーク』の一環として、日本の前で久々の勇姿を見せた勝田が、2021年シーズンを振り返り、最終戦ラリーモンツァに向けた意気込みを語ってくれた。

──望むかたちでのラリージャパン開催にはなりませんでしたが、2年ぶりに日本のラリーファンの前で、ヤリスWRCでの走りを披露できましたね。
ラリージャパンを心待ちにしていた多くの日本のラリーファンの皆さんの前で、短い時間でしたが、走りをお見せできたのは、本当にうれしかったです。来シーズンからはハイブリッドパワートレインが搭載されたラリー1に規定に変わるので、その前に、見た目にも迫力のある現行ヤリスWRCを日本でドライブできたことも光栄に感じています。

──2年前にセントラルラリーで走った時からは、ドライビングスキルや経験に関して、大きな進化を感じたのではないでしょうか。
今回はあくまでもデモンストレーションランなので、あえてスライドさせるなど、ドライビングの違いがありました。とはいえ、僕自身もこの2年間で様々な経験を積んできましたし、レベルも比べ物にならないくらい上がった実感があります。だからこそ、ラリージャパンという舞台で、実際のラリーとして、皆さんの前でスピードやポテンシャルを見せたかったですね。それは来年ハイブリッド車両で、結果も含めて、いい走りを見せたいと思います。

Naoki Kobayashi


──今シーズンは前半と後半で、成績面でコントラストがありました。そのあたりはどのように感じていますか?
気持ち的には厳しかった、ということはあります。前半戦の良い流れが、エストニア以降、大きく変わりました。僕自身のミスもありましたし、それを含めて経験として糧になるはずです。これまでもそうでしたし、つらい時期ではありますが、この厳しい局面を乗り越えていけば、間違いなくさらに高いところに行けるという手応えはあります。この流れをしっかり断ち切って、進化していきたいです。

──2022年もフルシーズン参戦という発表がありました。新たなコ・ドライバーとのコンビネーションも含めて、今後に向けた気持ちを教えてください。
現時点で、アーロン(ジョンストン)とは2回しかラリーを走っていませんが、モチベーションの高さ、そしてポテンシャルを持ったコ・ドライバーだと実感しています。ダン・バリット選手とは長く組んでいましたし、まだダンと組んでいた時のフィーリングには達していませんが、間違いなく、良いコンビネーションが生まれると確信しています。アーロンとはお互いにサポートし合いながら、レベルアップしていきたいです。

──最終戦のモンツァに向けて、何かアプローチを変える予定はありますか?
現状、流れが良くないのは確かですし、来シーズンに向けて良い流れで終わっておきたいですね。そして、自分のポテンシャルをしっかり発揮したいという思いがあります。今シーズン後半、いろいろな出来事がありましたが、それを“今”経験できて良かったと考えています。今後、マニュファクチャラーチームに昇格すれば、プレッシャーもさらに増えて、結果を持ち帰らなければならない立場になります。そうなる前に、こういった経験ができたのは大きいです。

そして、コンビを解消することになった後も、ダンは僕やアーロンへのサポートを行ってくれていますし、来シーズンもいくつかのラリーではサポートを続けてくれる予定です。ダンには本当に感謝しかありません。

──モンツァでの具体的な目標を聞かせてください。
モンツァは昨年も出ていますし、初めてベストタイムを獲得できたイベントです。昨年同様、グラベルも混ざってくる特殊なラリーなので、気持ちよく走れる場所ではプッシュしたいですね。さすがに去年のように雪が降ることはなさそうですが、可能性はゼロではありません。自分の力を出し切って、すべての経験を今後につなげられるようにしたいです。

ターマックは、僕の中でも課題として残っています。ターマックはグラベルよりも限界レベルでのリスクが高くなります。ペースノートの精度が求められています。現時点で、僕のドライビングは、WRカーでの本当の限界値を探り切れていません。そこをつかめれば、その経験が来年以降絶対に活きてくるはずです。もちろんミスすることもありますが、トライしないと分からないことがあります。トライして、その中でもしっかり走り切ることが大切だ考えています。

Naoki Kobayashi

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