全日本ラリー唐津:新井大輝/小坂典嵩、逆転勝利での初戴冠 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリー唐津:新井大輝/小坂典嵩、逆転勝利での初戴冠

©JN1クラス優勝、チャンピオンを決めた新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) / RALLY PLUS

JN4クラス優勝の高橋悟志/立久井和子(スズキ・スイフトスポーツ) / Naoki Kobayashi


スズキ・スイフトスポーツのワンメイク状態となっているJN4クラスは、初日を5番手で終えていた内藤学武/小藤桂一がペースを上げてSS3でベストタイム、SS4では須藤浩志/新井正和を逆転し2番手に浮上する快走を見せた。その段階で首位の高橋悟志/立久井和子との差は33.1秒と大きく開いてしまっているが、内藤はその後も諦めることなくSS5、SS6と連続ベストタイムをマーク。首位の高橋はマージンを活かしながら要所要所でベストタイムを刻み、大きくその差を詰めさせない。内藤は最後の3SSも連続ベストをたたき出すが、高橋には及ばず。高橋は今季2勝目。2位には内藤、3位には西川真太郎/原田晃一が入っている。ドライバーチャンピオンは6位で完走した古川寛、コ・ドライバーチャンピオンは内藤のコ・ドライバーを務める小藤が決めた。

SS1からクラス首位の座を譲らず勝利を獲得した高橋は、「1日目の一発目で決まりました。2日目は1本目のステージが寒くて、けっこう滑ってしまいました。今日のペースでは後続の選手の方が速かったと思いますが、タイヤの不安もあったので、ペース配分ができる余裕を1日目につくれたことが勝因だと思います。来シーズンもまた全日本を走る予定です」と笑顔でコメント。辛くもドライバーチャンピオンを獲得した古川は「辛かったです(笑)。最初から完走ペースで良かったとはいえ、それなりに走らないと、注意散漫になりますね。どのようにラリーに望めばいいのか、“普通”が難しかったです。そんな中やらかしてしまったのが、今回です。でも、あれがなかったから、完走できていなかったかもしれませんし、結果ヨシとします」と苦笑い。

JN5クラス優勝の小濱勇希/東駿吾(トヨタ・ヤリス) / Naoki Kobayashi


JN5クラスは、新型トヨタ・ヤリスの全日本ラリー初優勝を狙う小濱勇希/東駿吾と、前日のトラブルから息を吹き返した大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)がベストタイムを獲り合う展開となった。一方、チャンピオン獲得に照準を定める天野智之/井上裕紀子もきっちりとペースを上げ、SS4で岡田孝一/石田一輝を逆転し、2番手に浮上。その後もペースをコントロールし、大倉の上でフィニッシュするというミッションを確実にこなして見せた。結果、9SS中6SSでベストタイムを刻んだ小濱が優勝。2位に天野、3位に岡田というオーダーとなり、3SSで一番時計を刻み追撃した大倉は4位でラリーを終えている。これで天野は7年連続12回目、井上は11年連続13回目の全日本タイトルを確定させた。

新型ヤリスでの初優勝を獲得した小濱は、「朝イチは路面が滑りやすくて大変でしたが、昨日いいペースをつかめていたので、そのままの流れで走れました。2年ぶりの全日本勝利で、久しぶりでうれしいです。勝因はクルマのバランスの良さですね。このクルマが持っているポテンシャルを発揮できるセットアップが、1年をとおして煮詰まってきました。あとはドライバーが必死に踏みました(笑)」と、コメント。ヤリスのポテンシャルにも、あらためて自信を深めた様子だ。チャンピオンを決めた天野は「今回は初日の2SSがカギになると思っていて、ライトやセッティングの準備を進めてきたんですが、予想外の決まり方になってしまいましたね。デイ2はいかに戦略的に戦って、確実に獲るかがポイントでした。大倉選手は最後まで諦めずに攻めていましたから。セクション3はしっかり抑えて、確実にフィニッシュすることに集中しました。今シーズンは、新城の段階ではスピンをしても勝てましたが、ニューマシンやCVTの進化が早かったですね。1年でこれだけ進化するのかと驚いています」と、ライバルの進化に言及した。

JN6クラス優勝の水原亜利沙/高橋芙悠(トヨタ・ヤリスCVT) / Naoki Kobayashi


JN6クラスは前日首位の海老原孝敬/遠藤彰(トヨタ・アクア)がスピードに乗れず、背後の水原亜利沙/高橋芙悠(トヨタ・ヤリスCVT)が6SS中3SSでベストタイムをマークし、徐々に差を詰めていく展開に。この日のスタート時点で42秒あった海老原と水原の差は、サービスに戻ってきた段階で4.6秒にまで縮まっていた。午後のオープニングステージSS9では水原が再びの一番時計を刻み、ついに海老原を逆転。水原は残る2SSでも海老原のタイムを上まわり、全日本ラリーでの初優勝を達成した。2位には海老原、3位には兼松由奈/美野友紀(日産ノートe-POWER NISMO S)、4位には永井歩夢/竹下紀子(トヨタ・ヴィッツ)、5位に山北研二/糸永敦(日産マーチNISMO)という順位となった。

「1日目のタイム差をひっくり返せるなんて、信じられないです」と、念願の初優勝となった水原。「あと、フィニッシュできてホッとしています。今回は色々と学ぶことも多く、とてもいいラリーでした。今年はラリーそのものが少なかったんですが、それぞれ違う土地で走れましたし、とてもいい経験になりました。新しいクルマにもようやく慣れて、最終戦で結果が残せて良かったです」と、笑顔でシーズンを振り返った。逆転されてしまった海老原は、「いや~、巻き返せなかったですね。ヘコんでいます。自分の運転で突っ込みすぎたり、力を入れすぎてコーナーでロスしたり……そこを改善して、来年も頑張ります」と、悔しさのにじむコメントを残した。

開催ラウンドが少なかったものの、若手の登場やニューマシンの登場など、話題の多いシーズンとなった2020年の全日本ラリー選手権も、このラリーをもってすべての日程を終了。2021年の開幕戦は2月4日(木)~2月7日(日)に群馬県嬬恋村で開催されるRALLY of TSUMAGOIとなる。来年からGRヤリスを新たに投入するチームも出てくるという情報もあり、2021年も目の離せないシーズンとなりそうだ。

Sammyツール・ド・九州2020 in 唐津 最終結果
1. 新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) 55:41.5
2. 奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX) +10.8
3. 勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI) +29.6
4. 新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +50.5
5. 柳沢宏至/保井隆宏(トヨタGRヤリス) +3:10.6
6. 今井聡/箕作裕子(三菱ランサーエボリューションX) +3:49.3

7. 曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86) +3:52.8
9. 高橋悟志/立久井和子(スズキ・スイフトスポーツ) +3:58.8
15. 小濱勇希/東駿吾(トヨタ・ヤリス) +4:27.5
19. 中平勝也/行徳聡(トヨタGT86 CS-R3) +4:51.3
37. 水原亜利沙/高橋芙悠(トヨタ・ヤリスCVT) +11:30.7

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