WRCスウェーデン:タナック「最初から“完璧”に行くしかない」プレ会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCスウェーデン:タナック「最初から“完璧”に行くしかない」プレ会見

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WRCラリースウェーデンのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。例年とはまったく異なるコンディションに困惑状態のドライバー陣。全開か慎重かの問いに昨年覇者のタナックは、状況に合わせ込むしかないと答えた。

●WRCプレイベントカンファレンス出席者
オィット・タナック=OT(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
テーム・スニネン=TS(Mスポーツ・フォードWRT)
クレイグ・ブリーン=CB(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
ヤリ−マティ・ラトバラ=J-ML(ラトバラ・モータースポーツOY)

Q:オィット、モンテで起きたことはみんなが承知していると思う。あの大アクシデントの後、体調に影響はないか
OT: 生きてるし、ここにいるし、大丈夫。すべてOKだ。

Q:今回のラリーはどのように予測しているか
OT:今は、何を予測するのも難しいと思う。今日、シェイクダウンは完全にグラベルだったが、ラリーでは色々な点でもっと複雑になるだろう。今日は安定していたが、ステージは通常、コンディションがミックスされている。もっとグラベルがあったり、他のところは少なかったりとね。だから常に変化している。今は、どのような展開になるのか、予想するのが本当に難しい。

Q:予想が難しいと、明日のステージをどのように戦うのか気持ちの中で戦略を立てるのも難しいのでは
OT:そうだね。もちろん、タイヤをセーブできるようにするというのはいいプランだと思う。少なくとも、序盤は大きなサプライズはないだろう。道を読んで、何が起きるのかを理解しようとすることがかなり重要になる。でも、今は未知の部分が多いので、一発目を見ればもう少し分かるようになると思いたいね。

Q:ドライバーからは異なる見解をたくさん聞いた。全開で行くべきか、より慎重になるべきか。思慮深く考えなくてはならない部分もあるのでは
OT::思慮深くなる方が賢いが、今回のイベントはとても短い。最初からあまりロスはしたくないだろうと思う。取り返すのが難しくなるからね。だから……そうだね……最初から完璧にならなくてはいけない。

Q:ヤリ−マティ・ラトバラ、ようこそ! モンテで会えなくて寂しかったが、君も寂しかった?
J-ML::寂しかったよ。モンテカルロを見続けるのは、とてもキツいことだった。最初の夜、SS1を見ていた時はまだ少しマシだったが、金曜日と土曜日は見られなかった。思うところがたくさんありすぎて、そう、あの中にいたいと思った。WRCの気のいい仲間たちや、あそこにあるすべての中にね。でも、ラリーがフィニッシュしてからは、自分はスウェーデンに行くと分かっていたから少し気持ちが楽になった。

Q:今回はプライベーターとしての参戦だが、新しい経験では
J-ML::キャリアを始めた時はプライベーターだったし、今また、プライベーターに戻った。だから、どういう感じなのか思い出したし、(ワークスドライバーの時とは)もちろん違う。ワークスの時には考える必要がなかったことがある。アンダーウエアやレーシングスーツ、ヘルメットを用意したり、マシンを運ぶプランを立てたり、スポンサーのロゴをあちこちに送ったり。勝手は違うが、毎日新しいことを学んでいるよ。

Q:今年は、何戦かに参戦を予定している。自分らしさを輝かせる番では
J-ML::もし2021年にワークスドライバーに戻りたければ、パフォーマンスも必要だ。戻れるだけのリザルトを示さなくてはならない。いいリザルトが出せれば、本当にいい状況になるんだ。数戦しか出ないと、その分難しくなる。テストも限界があるし、マシンに乗る時間が少ないとフィーリングを失い始める。だからこそ、サッカー選手やアイスホッケーの選手は練習を続けて、フィーリングを維持するんだ。だから、状況がどうなるかは分からないが、自分たちとしては挑戦を続けていくことが目標。いいリザルトを目指して、もっとスポンサーを得てドライブするチャンスが増えることにつながればと思っている。

Q:ここでは通算4勝をマークしている。WRC初優勝はスウェーデンで、その時も難しいコンディションだった。今年ほどは難しくなかったか、それとも同じような感じだったか
J-ML::あれは2008年だったが、雪壁も、雪もあった。基本的には、そこからすごく暖かくなり、道が溶けていった。グラベルっぽいコンディションだったが、少なくとも雪壁はあった。だから、小さなミスをしても、ある程度はクッションがあった。今年違う点は雪壁がまったくないこと。だから、そちら側ではミスはできない。ワイドになっても、助けてくれるものがないからね。それに、オィットも言っていたが、難しいのはグラベルと雪がミックスになったコンディションだ。そして、2008年の時は状況はどうあれ、もっと安定していた。ものすごく暖かかったから、道がすごく溶けて雪も氷もすごく薄く、すぐにグラベルが出てきた。でも今回は、氷は凍ったままなら道には残るし、グラベルは固い。氷も固い。だから、グラベルでは、スタッドがすぐになくなってしまう。それから氷に入ると、マシンは曲がらなくなる。これが起こり得る中で一番難しいことだ。

Q:エルフィン、モンテカルロでは素晴らしいパフォーマンスだったし、1日を終えてリードに立った日もあった。あのラリーでの自分のパフォーマンスには満足か
EE::そうでもない。正直、日曜日の後はモヤモヤが残っていた。もちろん、優勝圏内にいたが、日曜日にいろいろな理由で陥落してしまった。その理由はひとつではないが、あるとすればいつもよりも気合が入っていたことだ。あの位置につけていれば、もちろん頂点に上がりたいと思うものだ。それができなかったから、まだひきずっているよ。

Toyota Gazoo Racing WRT


Q:気合が入っていた。つまり、今回は狙っていくというように聞こえる。今回はコンディションがいつもと違うので、サプライズな人が勝つ可能性があると思うか
EE::まさに、何でも起こり得ると思う。激しい戦いになっているし、いいマシンがたくさんあるんだからね。これから直面するすべてのチャレンジも承知しているし、予想できないチャレンジがあるだろうということも分かっている。でも、それにできる限り対応できるようベストを尽くすしかない。

Q:それもラリードライバーとしての仕事の一部か
EE::まさしく。これはラリーの一部であることは、ずっと変わらない。ここまで極端なことはあまりないかもしれないが。スタッドがかなり高い確立で減るようであれば、凍ったセクションのあるステージではフィニッシュに向かうにつれて難しくなるだろう。でも、それは誰にとっても同じことだからね。

Q:テーム・スニネン、昨年のスウェーデンでは初めてWRCでリードに立った。今回はどのようなプランで行くのか。モンテは思うような戦いができなかったが、イベントの終わりまでには自信を高めていた。今回はどうか
TS::今回は少しプランが異なると思う。このラリーは、昨年とはまったく違うからね。今年はおそらく50%がグラベル、50%が氷。だから、タイヤを残して、凍ったセクションでスタッドを残すよう気をつけながらドライブしなくてはならない。明日の午前で様子を見たら、もっと賢明な考え方ができるようになるかな。

M-SPORT


Q:シェイクダウンの1回目の走りで少し危ない場面があったが、何が起きたのか
TS::レッキで轍になっていたところが凍っていて、リヤのグリップを失った。轍に前輪をとられてしまったんだ。でも、これはラリーでも同じなので、少なくとも何が起こり得るのかということは把握できた。ラリーではこのようなミスをしないよう、先を見ながら走らなくてはならない。

Q:コ・ドライバーは過去にこのイベントで優勝経験も、ポディウムに何度も上がったことがある。何かアドバイスはもらったか
TS::コンディションがまったく違うので、今回は当てはまらないと思う。でも、すごく経験のあるコ・ドライバーがいるのは、心強いよ。

Q:ブリーン、ラリースウェーデンの参戦が決まったのはかなりギリギリのタイミングだったと察するが、その経緯と、連絡をもらった時の気分は
CB::そうだね、すごくギリギリのタイミングだった。モンテの後の月曜日で、こういう連絡はいつもうれしいね。またWRカーに乗れることは、常に自分とポール(ネイグル)が待っていることだ。でも、予想していたよりかなり早くそのチャンスが得られた。またここに出られるのはうれしいし、このマシンをドライブするのが大好きだ。そのチャンスが得られるのは、特別な気分だし、独特なもの。WRCでラリーマシンに乗れるシートは、もうあまり多くないので、自分はその数少ないラッキーなひとりであると思っている。チャンスを存分に活かしたい。

Hyundai Motorsport GmbH


Q:2018年のスウェーデンでは、自己ベストの2位に入っている。コンディションはまったく違うとは思うが、今回はどのような走りを見せられるか。チームからは何らかのプランは示されているのか
CB::前回、自分が走った時とはまったく違う。それでも、このラリーにはいい思い出がたくさんある。今回は、マニュファクチャラーズ選手権ポイントを獲得することが目標。そして、上位に何か不測の事態が起きれば、その時に自分が上がれる位置につけることだ。チームのためにいい仕事ができれば、もっとマシンに乗るチャンスを手にしたい。マシンに乗る機会があまりないから難しいと思うし、このマシンに乗るのは昨年ぶりだ。ここ数週間はメトロに乗っていて、そこからいきなりWRカーだから、厳しいよね。ここにいるみんなは、マシンにしょっちゅう乗っているし、シェイクダウンでいきなり全開で走るのは難しいが、できる限り楽しみたい。

Q:今年、この後もっと参戦経験が得られるチャンスはどれくらいあるのか
CB::チームには、常にチャンスがあれば自分を選んでもらえるようにしておきたい。できる限り、自分とポールがマシンにいられるように努力していくつもりだ。アンドレア(アダモ)はこの先のラリーに向けてベストなカードを切りたいと思っている。今年、残りのラリーでいい選択ができるかどうかは、自分とポール次第だ。結局、アンドレアとチームがどうしたいかは、彼ら次第。でも、自分は常に準備ができているので、彼は安心できる。彼がラリーウイークの月曜日に連絡してきて出てほしいと言えば、自分はシートに座る準備ができているよ。



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