WRC 2020シーズンと今後に向けて プロモーターのQ&A – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRC 2020シーズンと今後に向けて プロモーターのQ&A

©WRC.com

マニュファクチャラー陣のドライバーズラインナップがシャッフルされ、カレンダー復帰イベントが3戦もあるなど大きく様変わりする2020年のWRC。WRCプロモーターのマネージングディレクター、オリビエ・シースラはコンペティティブなシーズンになると期待を寄せている。そのシースラのQ&Aが公開された。

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Q: 2020年のカレンダーの注目点は、ケニヤ、ニュージーランド、新しくなったジャパンの復帰だ。ヨーロッパ外イベントとしてこの3戦を選んだ理由は。
OC: ヨーロッパ外のイベントを増やすことで、WRCのグローバル化をさらに進めたかった。ヨーロッパ、北米、南米、アジア、アフリカ、オセアニアと、6大陸のイベントがシーズンに盛り込まれるのは、WRCの48年の歴史上で初めて。日本の復帰は、アジアの中心地での開催としては10年ぶりだ。ラリーのレジェンドの一戦であるケニヤのサファリラリーは、世界で2番目に大きな大陸での20年ぶりの開催となる。

Q: ラリーニュージーランドについては、好意的なコメントが多く寄せられているか。
OC: もちろんだ。ニュージーランドのことを改めて紹介する必要はない。長い間、優れたWRCのヘリテイジであるイベントで、オークランド周辺のリズミカルでスムースなキャンバーのついたステージは今年の山場の1つになるだろう。

Q: 2020年は、チームを移ったドライバーが多い。選手権にとって、これは何を意味するのか。
OC: ここ数年で、最も移動の激しいシーズンインとなった。最大のサプライズは、もちろんオィット・タナックがヒュンダイに移籍したこと、そして代わりにセバスチャン・オジエがトヨタに入ったことだ。エルフィン・エバンスもトヨタに移り、代わりにエサペッカ・ラッピがMスポーツ・フォードに加入した。予想外の移籍だったが、ドライバーたちは新しいチームやマシンに収まって新しいシーズンを迎えるエキサイティングな状況だ。

Q: なぜマニュファクチャラーはセカンドチームをエントリーできるようになったのか。
OC: マニュファクチャラーは、追加で1台体制のチームを別途エントリーできるようになった。これにより、エントラント名は異なるが4台目を走らせて、マニュファクチャラーズ選手権ポイントを獲得することができる。戦略的には、マニュファクチャラーは、これにより追加チームにライバルのポイント獲得を阻止させることができる。もちろん、各イベントにWRカーの参戦を増やすこともできる。

Q: サポート選手権にはどんな変更があるか。
OC: WRC2は第一のサポートカテゴリーで、WRカーをドライブするための最後のステップとなることを目指している。マニュファクチャラーが支援するFIAが承認したチーム、R5マシンが対象。新たに導入されたWRC3も同様だが、プライベーターのドライバーに限っている。そしてもちろん、ジュニアWRCは将来のスターのための、エントリーレベルのシリーズとして継続される。今年は、各サポート選手権のメディア露出を増やし、WRCイベントのプロとアマチュアが混在する独自性をさらにプロモートしていく。

Q: メディアの状況が大きく変化する中、WRCはテレビ局からの注目は依然として高いのか。
OC: その通り。WRCのグローバルなTV視聴者は規模を維持しており、2019年も通算8億人を超えている。2020年も無料放送のパートナーはエキサイティング。英国では、ITV4と複数年契約を更新し、フィンランドのYLEとは2022年まで中期的な契約を延長した。さらに、スペインのTVEとの関係も長く続いている。また、ペイビューTVではフランスのCanal+、ドイツ、オーストリア、スイス、スペイン、イタリアのDAZNとの契約も継続している。

Q: WRCのデジタル配信にも大きな変化があるのか。詳細は。
OC: WRCの選手権サイト、wrc.comを一新した。選手権の大きなブランド再構築の一貫で、新たにオレンジ色を基調としている。モンテカルロから始まるこのサイトは、ファンのための機能を向上させ、ライブタイミング、動画、ニュース、会期中のライブテキスト、WRCショップなど全てのコンテンツを向上させた。昨年、我々はWRC、チーム、ドライバーの公式SNSに23億のコメントを投稿した他、動画の視聴は3億回を超えており、この数字はさらに成長するという自信を感じている。2019年、WRCのマニュファクチャラーは、前年比40%アップで頻繁にチェックされている。

Q: WRC+はWRCのデジタル配信の中心であり続けるのか。
OC: そうだ。WRC+ All Liveは、ますます強化されていく。All Liveのプラットフォームも新しいレイアウトやデザインに一新され、サイトと同じ雰囲気に揃えている。All Liveでは全戦の全SSからの情報配信のほか、主要インタビュー、企画、サービスパークからの解説を継続していく。ファンは今季も、各戦25時間以上の中継を楽しめる他、イベント後もオンデマンドでいつでも視聴できる。

Q: さらに将来のことを見据えて、どのような変化が予定されているか。
OC: 2021−2024年は、ピレリがファクトリーチームの単独タイヤサプライヤーとして選手権に戻ってくる。ピレリは2010年以来、トップレベルのワークスカーには供給していないので、彼らにとって素晴らしいモチベーションになる。また、2022年のエコフレンドリーなハイブリッドマシンの導入に向けて、FIA、マニュファクチャラー、そして我々自身との共同作業は続いていく。シーズンの今後、さらに発表を行っていく。

*WRCプロモーターは、TV番組制作、グローバルメディアのマーケティング、スポンサー権などWRCの商業面での責任を担っている。また、参加者の増加や、WRCカレンダーの開催地提案についての責任も持っている。
公式サイト www.wrc.com

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