勝田貴元、初開催のWRCラリーチリでWRC2を制す – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

勝田貴元、初開催のWRCラリーチリでWRC2を制す

©TOYOTA

TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの育成ドライバー勝田貴元が、5月9日(木)から12日(日)にかけてチリで開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦ラリーチリのWRC2に、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共に初参戦。WRC2カテゴリーで優勝を果たした。

今年WRCの年間カレンダーに初めて加わったWRC第6戦ラリーチリは、同じく南米を舞台とする第5戦ラリーアルゼンチンの終了後、1週間のインターバルを置いてチリ中南部のコンセプシオンを中心に開催された。チリもまたグラベルのラリーだが、ステージの性格はアルゼンチンと大きく異なり、森林地帯のスムーズな路面の道が大部分を占めた。多くのステージでは道幅が広くスピードが乗るコーナーが続く一方で、狭くツイスティなステージもある。また、降雨や夜露で湿り非常に滑りやすくなったステージや、深い霧に包まれたステージもあり、全体的にはかなり難易度の高いステージが多く、経験豊かなトップドライバーでさえも苦戦するような、非常に難しい1戦となった。加えて、勝田にとっては初めて出場するラリーのため、レッキではペースノートをゼロから作る必要があり、コンディション変化が激しい路面でのタイヤ選択など、純粋なドライビング以外の能力も求められた。

ラリーアルゼンチンに続きフォード・フィエスタR5でWRC2に出場した勝田は、チリのステージの経験が豊富で、WRC2優勝経験もある地元のアルベルト・ヘラーと、序盤から激しい首位争いを繰り広げた。競技初日デイ1のSS1で、勝田はWRC2トップタイムを記録しラリーをリード。デイ1では合計3本のベストタイムを刻んだが、午後のステージで路面に合っていないハードコンパウンドのタイヤを選択した結果、十分なグリップが得られず首位と24.5秒差の2位に留まることに。しかし、デイ2では6本のステージのうち4本でベストタイムを、2本でセカンドベストタイムを記録。特に、全長16.59kmのSS12では2番手タイムの選手に13.3秒という大差をつけて首位に浮上し、2位に12.8秒差を築いた。

TOYOTA

迎えた最終日のデイ3で、勝田は1本目のステージでベストタイムを記録し、2位との差を16.4秒に拡大した。続く2本目のステージでは2位につけていたヘラーがクラッシュでリタイアしたため、リードは3分近くに広がり、勝田はその後リードをさらに拡大してフィニッシュ。昨年2月のラリースウェーデン以来となる、WRC2優勝を果たした。

勝田貴元
「ラリーチリのWRC2で優勝することができて、嬉しく思います。とても難しいラリーで、毎日ステージの特徴が大きく変わり、コンディションも違いました。特に、いくつかのステージでは深い霧が立ち込めていました。レッキを行なった時も霧が出ていて、そのためペースノートが不完全な状態でした。金曜日の午後は、路面に合っていないハードコンパウンドのタイヤを選んでしまい、大きく遅れをとりました。しかし、土曜日は良いフィーリングで走れたこともあり、遅れを取り戻すことができました。ラリーを通してミスのないクリーンな走りを心がけ、その過程で様々な改善方法を学べたのは大きな収穫です。今後も努力を続ければ、将来的にはより速く、そして力強く走れるようになると信じています」

TOYOTA

ヤルッコ・ミエッティネン(インストラクター)
「タカ、ダン、そしてチームにとって最高の結果です。南米連戦では勝利を期待していましたが、タカは素晴らしいドライビングとスピードで優勝を成し遂げました。今回は皆にとって新しいラリーでしたが、タカにとっては今季多くのラリーが未経験のラリーであることを、忘れるべきではありません。彼らが月曜日に行なった事前テストで正しいセットアップを見つけ、レッキでも良い仕事をしたことが、結果で証明されました。本当におめでとう!」

トミ・マキネン(スーパーバイザー)
「非常に良いドライビングだったと思います。チリのトリッキーかつ難しいステージで、タカモトは経験値を高め、ドライビングに関するミスを全くしませんでした。本当に良くやったと思います。ステージはとても難易度が高いコンディションだったと思いますが、彼はこの週末で多くを学んだはずです。今回のラリーでの経験と自信が、きっと次のラリーに活かされるでしょう」

ラリーチリ WRC2の結果
1. 勝田貴元/ダニエル・バリット(Ford Fiesta R5) 3:29:26.7
2. Benito Guerra/Jaime Zapata (Skoda Fabia R5) +3:06.1
3. Alejandro Cancio/Santiago Garcia (Skoda Fabia R5) +5:07.2
4. Cristobal Vidaurre/Ruben Garcia (Skoda Fabia R5) +5:27.3
5. Samuel Israel/Nicolas Garcia (Citroën C3 R5) +6:37.7

勝田の次戦は、5月24日(金)から25日(土)にかけて開催されるフィンランドラリー選手権第4戦「リーヒマキ・ラリー」。このラリーに勝田は、WRカーのヤリスWRCで出場する。ヤリスWRCでのラリー参戦は、今年3月に出場し優勝した「イタラリー」以来2回目となる。前回はスノーラリーだったが、今回はグラベルラリーとなり、勝田にとっては新たな挑戦となるだろう。また、その翌週に行われるWRC第7戦「ラリーポルトガル」には、フィエスタR5でWRC2に挑む予定となっている。

RALLY PLUS