勝田貴元、初出場のアルゼンチンでWRC2部門5位フィニッシュ。一時はリードも – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

勝田貴元、初出場のアルゼンチンでWRC2部門5位フィニッシュ。一時はリードも

©TOYOTA

TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、4月25日(木)から28日(日)にかけてアルゼンチンで開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリーアルゼンチンのWRC2部門に、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共に初参戦。WRC2カテゴリー5位で完走した。

ラリーアルゼンチンは、大都市コルドバ近郊のビージャ・カルロス・パスを中心に開催されるグラベルラリー。渓谷に広がる砂状の道や、険しい山岳地帯の石だらけの道など、ステージによって特徴は大きく異なる。また、大きなジャンプやウォータースプラッシュ(川渡り)もあり、総合的なドライビングテクニックが求められる1戦だ。

アルゼンチンの4月下旬は秋の始まりに相当し、例年天気はやや不安定だ。過去2年間は比較的ドライな路面が保たれたが、今年はラリーウィークの前半に大量の雨が降り、路面は濡れて滑りやすく、そして非常に荒れたコンディションとなった。勝田がステージのレッキ(事前下見走行)を行なった際、一部のステージは深い霧に包まれるなど、ヨーロッパ外のWRCイベントは今回が初出場となる勝田にとっては、厳しい条件でのラリースタートとなった。

前戦に続きフォード・フィエスタR5で臨んだ勝田は、市街地を舞台とするデイ1オープニングのSS1でWRカーに次ぐR5勢トップタイムを記録。翌日から始まったデイ2の本格的なグラベルステージでも速さを示し、デイ2最終ステージの直前まで2本のベストタイムを刻んでWRC2首位に立ち、24.4秒のリードを築いていた。しかし、最終ステージで左前輪のホイールが壊れてコースオフを喫し、スタック状態に陥りデイリタイアに。幸いにもクルマにはダメージがなかったため、勝田は翌日のデイ3に再出走を果たした。

巻き返しをはかるべく臨んだ土曜日のデイ3で、勝田は早々にパワーステアリングのトラブルに見舞われ、パワーアシストのない重いステアリングと格闘しながら午前中のステージを走行。そのため大きな遅れをとった。それでも、問題を解決して挑んだ午後のステージでは2本のベストタイムを記録。競技最終日のデイ4は、深い霧の中で行ったレッキにより、ペースノートに自信を持てない状態でSSをスタートしたが、3本のSSのうち「エル・コンドル」の名物ステージを2回制覇。ラリー全体では7本のSSベストタイムを記録した。デイ3までのトラブルによる遅れが響き、最終結果はWRC2カテゴリー5位だったが、勝田にとっては多くの経験を得た非常に有意義なラリーとなった。

TOYOTA

勝田貴元
「自分にとっては、とても良いラリーでした。リザルトは望んでいたようなものではありませんが、元々の目標は初めてのラリーで経験値を高めることだけでした。事前にとてもタフなラリーだと聞いていましたが、何とか全てのステージを走り切ることができました。ステージはとても荒れていて、それなのにハイスピードなコースだったので簡単ではありませんでした。また、雨の影響でいくつかのコーナーは泥で覆われ、自分にとっては初めて経験するようなコンディションでした。最初はとても苦労しましたが、ドライビングと速さの両方を改善できたと思います。また、突然ホイールが破損するまで、WRC2カテゴリーをリードできたことに関しても嬉しく思います。特に何かに当たったたわけではないので、ホイールが壊れたのはとても残念ですが、このような荒れたラリーでは十分に起こり得ることです。土曜日の午前中にはパワーステアリングの問題が起こりましたが、チームがすぐに修理をしてくれたので、以降は運転を楽しむことができました。R5カーをドライブする経験豊かな選手に対抗するためには、さらなる進化が必要ですが、このラリーに何回も出ているドライバーを相手に、何度かベストタイムを出せたのは良かったと思います」

ヤルッコ・ミエッティネン(インストラクター)
「今回のラリーの貴元の目標は、しっかりと完走して、この荒れたラリーで良い経験を積むことでした。貴元はとても良い走りをし、才能を証明しました。例えば、SS1ではWRC2を含むすべてのR5カーの中で最速でした。今回貴元は非常に荒れたセクションでも生き残れるような狙い通りのペースで走っていましたが、それでも問題が起こってしまうくらい、路面は荒れていました。今回のラリーもまた、貴元にとっては新たな経験となり、来るべきラリーにその経験が活かされると確信しています」

ラリーアルゼンチン WRC2最終結果
1. Pedro Heller/Marc Marti (Ford Fiesta R5) 3:41:09.1
2. Benito Guerra/Jaime Zapata (Skoda Fabia R5)  +9:34.8
3. Paulo Nobre/Gabriel Morales (Skoda Fabia R5)  +11:11.0
4. Alberto Heller/Jose Diaz (Ford Fiesta R5) +14m06.0s
5. Takamoto Katsuta/Daniel Barritt (Ford Fiesta R5)  +18:11.6

TOYOTA

勝田の次戦は、5月9日から12日にかけて開催されるWRC第6戦ラリーチリ。チリは今回がWRC初開催となり、中南部の都市コンセプシオンにサービスパークが置かれる。同じ南米のイベントながら、アルゼンチンとは違う特徴を持つグラベルラリーで、中高速の森林ステージが多くを占める1戦だ。アルゼンチンを戦い終えた勝田はそのまま南米に留まり、次なる戦いに向けての準備を進めるという。

RALLY CARS