サファリラリーの副競技長ナジール・ヤクブ氏に聞く – RALLYPLUS.NET ラリープラス

サファリラリーの副競技長ナジール・ヤクブ氏に聞く

©Keiko Ito

ラリージャパンと同じくWRCカレンダーへの復帰を目指すサファリラリー。その副競技長を務めるナジール・ヤクブ氏にインタビューをすることができた。「WRC SAFARI RALLY PROJECT」はナイロビ郊外のモイ・インターナショナルスポーツセンター内、カサラニスタジアムにオフィスをもち、廊下にはこれまでのサファリラリーの写真が大きく壁紙として使われている。

Keiko Ito

──サファリラリーのWRCカレンダー復帰に向けた意気込みを聞かせてください。
サファリラリーは我が国にとっての伝統だ。それはケニアだけでなく、東アフリカにとっての遺産とも言える。最大の後援者はウフル・ケニヤッタ大統領だ。彼の情熱と我々の情熱がひとつになり、プロジェクトが発足したんだ。ここにはすべてがまだそろっている。規模は多少縮小したかもしれないが、WRCに再び加わることを考えてもいいのではないか。我々にはWRCを開催できる能力がある。このプロジェクトに携わるスタッフそれぞれのラリーの歴史を加算すれば、数百年分の経験があるんだから。『君たちはやらなくてはならないことをやってくれ。WRCが再びここで開催されることが目標だ。とにかくなんとかしろ!』という指令を受けているのが現在の状況だ。

──どんなラリーにしたいと考えていますか?
昔の規定を見ると、二種類のラリーが存在した。クローズドステージのラリーとサファリタイプのラリーだ。オープンロードこそがこのイベントの遺産であったわけだが、時代は変化した。交通量は大幅に増加したし、安全面の強化が最優先となるからだ。それはラリーの安全だけでなく、観客や競技車両以外のクルマの安全面も含めての話だ。今年、そして将来においてラリーの神様が微笑んでくれることを願いながら、我々はクローズドステージでの開催を行うことになる。サファリタイプのラリーは現在レイドイベントとして開催されている。サウジアラビアやチリなどで行われているものだ。

──あとはイーストアフリカンサファリのようなクラシックラリーですね。
そのとおり。しかしWRCとなれば、あらゆる側面を再考して、土台からやり直す必要がある。他の車両が一切走らないクローズドステージ、5kmごとに配置するマーシャル、5kmごとのラジオポイントなど、我々が慣れていないことばかりだ。もちろん、これまでのラリーにおいてもマーシャルは配置していたが、その距離はずっと離れていたからね。例えば今年7月5〜7日のサファリラリーで、我々は野生動物保護区域内でのステージを3本用意した。ラリードライバーは優勝するために走っているが、野生動物たちはラリーが開催されるよりずっと昔からそこに住んでいる。だから我々としては、走行ルートにシマウマたちが入らないようにするしかない。おそらくは200mから300mおきにマーシャルを配置して人海戦術で防ぐしかないんだ。だから安全面については気が遠くなるようなリソースが必要になるし、2000年前半のWRCイベントとはまったく違ったものになるだろう。

そして今回、キャンディデートイベントとなるラリー開催まで残すところあと90日となったところで、セーフティデリゲートのミシェル・ムートンが来て、我々のプランをチェックしてくれている。このプランは、ヤルモ・レーティネンやイアン・キャンベル(英国ラリー選手権マネージャー)らのアドバイスを組み込んだものだ。我が国の大統領と政府の全面的なサポートがあるだけでなく、FIAやラリー関係者も協力的だ。あくまでも個人的な意見だが、カレンダー入りは確実だと考えているよ。

Keiko Ito

──FIAはヨーロッパ圏外でのWRC開催を推進する姿勢を明らかにしています。
そのとおりだ。FIA会長のジャン・トッドも、残念ながら優勝経験はないものの、何度もサファリラリーに出場しているし、ケニアを愛してくれている。ケニアのもつ可能性や我々の実行能力はよく理解してくれている。これは私の意見だが、現在のカレンダーから脱却しようという動きは彼が長年温めてきたプロジェクトではないかと思っている。だからサファリラリーがWRCの素晴らしいイベントのひとつになることができれば、とてもいいことだと思う。

──ラリーの規模はどのくらいのスケールを考えていますか。
最長ステージは37kmを予定している。そのような距離は昔はステージですらなかったわけだけれどね! まばたきをしたら終わってしまうような距離だ(笑)。すべてはナイロビ北西部のリフトバレーを中心に行われる。谷間の平地でね。広大な野生動物保護区も協力的だ。彼らもラリーがとても好きだからね。彼らは1960年代前半にイベントがコロネーション・サファリ・ラリーという名称だった頃からラリーに携わっていた。そして現在もサポートしてくれている。以前のスケールとは大幅に異なるものになるが、それは時代が必要としている。

──ロードクロージングの問題はどのように解決するのでしょうか。
コースとして使用する予定の野生動物保護区は民間団体が運営しているもので、彼らからは観客をそれほど入れたくないというリクエストがある。我々としてはスペクテイターポイントを作り、観客を管理することでそれを解決しようと考えている。たとえば37kmのステージには観客がアクセスできるスペクテイターポイントを2カ所設けて、それ以外の場所にはアクセスできないようにするなど、様々な面で妥協点を見出すことが必要となる。

──開催時期はいつ頃を考えていますか
正直な話、我々としてはイースターあたりの日程を希望している。単純な理由は、以前その時期に開催されていたからだ。サファリラリーの魅力のひとつはイースター前後の日程だった。しかし現在、WRCの(チーム)キットは転戦のために各国間を移動しなくてはならず、ロジスティクスの順番の問題もある。だから特定の日程を要求するのは難しい。

──政府が支援するとのことでしたが、民間企業の大会スポンサーは決まっていますか
これは全面的に政府のプロジェクトだ。スポンサーも獲得できるだろうが、現時点ではまだどこになるかは確定していない。しかしこれはケニア政府のプロジェクトだ。現在は政府の提供してくれている予算で足りている。多くのリソースを必要としたが、とてもうまくいっている。なにしろ大統領が後援者だからね。彼はラリーが大好きだし、我々もラリーが大好きだ。あとは幸運が我々とともにあってくれることを願っている。

Keiko Ito



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