全日本ラリーいわき:新井敏弘4連勝、SUBARU WRX STIが上位を独占 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリーいわき:新井敏弘4連勝、SUBARU WRX STIが上位を独占

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2018年全日本ラリー選手権第7戦「MSCCラリー in いわき2018 Supported by Sammy」は、すべての競技を終えて、JN6クラスの新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が2番手の勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)に11.0秒差をつけて優勝した。これで新井は第4戦久万高原から続くグラベル4連勝を達成している。

この日行われたのはSS9〜SS14の計6SS。レグ2のSS総距離は20.40kmと短めだが、途中にサービスがないため、マシントラブルやアクシデントは禁物だ。また、最初と最後にタイヤ選択が難しい6.52kmのNishine(SS9/14)が配された設定は、タイヤ戦略もひとつのポイントになる。

初日首位に立った新井と、それを追う勝田のバトルに注目が集まったJN6クラス。9.8秒差で迎えたこの日のオープニングステージでは勝田がベストタイムをマークし、その差を8.5秒に詰める。しかし新井もSS10とSS11で連続ベストタイムを刻み、勝田との差を10.4秒差に押し戻す。勝田はSS12、SS13で新井のタイムを上まわるものの、差を詰めるほどのタイムとはならず、最終SSを制した新井が今季4勝目を飾ることとなった。3位には初日のパンクが響いた鎌田卓麻/市野諮、4位には柳澤宏至/加勢直毅が入り、WRX STI勢が上位4位を独占する結果となった。新井は、「濡れていて難しい路面や、滑りやすいターマックもあった。そんな厳しい条件でも、クルマのコントロール性がすごく良かったので、危ない思いもせず勝てました。次戦のラリー北海道でも気を抜かず、優勝を狙って走る」とコメントしている。今季グラベルラリーで土つかずの強さを誇る新井。次戦のラリー北海道でもこの勢いを維持するのか、あるいは誰かが待ったをかけるのか、目の離せない展開となりそうだ。

JN5クラスは首位の眞貝知志/安藤裕一(トヨタ・ヴィッツGRMN)と2番手川名賢/保井隆宏(シトロエンDS3 R3-MAX)の争いになるかと思われたが、川名が電気系トラブルに見舞われ、朝のサービスを出発できずにリタイアを喫するという波乱のスタートとなった。これで3番手の小濱勇希/馬場雄一(シトロエンDS3 R3-MAX)が2番手に浮上したが、首位眞貝との差は30秒以上。眞貝にとってはこれでグッと勝利が近づいた格好だが、午後のSSではマシントラブルが発生し、2速ギヤが使えない状態となってしまう。だが、眞貝はペースを落としながらも無事にマシンをフィニッシュに導き、今季初勝利。チームにとっては2016年久万高原ラリー以来となるクラス優勝を飾った。2位は小濱、3位にはフォード・フィエスタR2を投入した鷹野健太郎/松本優一が入っている。「最後までクルマが持ちこたえてくれました。リグループのあと、マシンの調子がおかしかったので、だいぶペースを落としたんですが、なんとか帰ってこれました。いい結果が得られて、本当に良かったです。クルマは運転しやすくて、ラフな道でも安心して攻めることができました」と、眞貝は笑顔でラリーを振り返った。

前日に起きたミッションマウントのトラブルはサービスで解消したものの、マシンコンディションに不安を抱えた状態で2日目を迎えた関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)と、レグ1の中盤から関根を追い上げる上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)の熾烈な戦いとなったJN4クラス。上原はこの日最初のSS9からSS13まで、関根のタイムを上まわるペースで走行。じりじりと差を詰めながらプレッシャーをかけていく。この日のスタート時点で21.9秒あったふたりの差は、最終SSを前に8.8秒にまで縮まっていた。最終SSで関根は「レグ1と同じトラブルが出てしまったけど、最後は壊れてもいい覚悟で攻めました」と意地のベストタイムをマーク、最終的に9.6秒差で関根が今シーズン初優勝を飾った。2位には上原、3位には山本悠太/北川紗衣(トヨタ86)が入った。「優勝はうれしいですが、キツかったです。逃げ切れて良かった。勝因は、心配していた舗装のステージ(SS1)でベストを獲れたことが、最後に効いたと思っています。次のラリー北海道でも勝たないとシリーズが狙えないので、頑張ります」と、関根は地元ラウンドでもある次戦に向けての意気込みを語った。

首位に天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)、2番手に藤田幸弘/藤田彩子(マツダ・デミオ)、3番手に岡田孝一/石田一輝(マツダ・デミオ)、4番手に大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)と、それぞれ10秒前後の差で並んでいたJN3クラスだが、大倉は前日のエンジントラブルによりこの日の朝にリタイアを決める展開に。ラリーは天野が順調にリードを拡大して優勝、2位には追い上げた岡田が入り、3位に藤田という結果となった。天野/井上は大倉のリタイアで早々にJN3クラスチャンピオンを確定、その強さにはますます磨きがかかっている。「大変なラリーでしたが、大倉選手がリタイアしたことで、タイトルが決まってしまいました。今回は自分の思いどおにいかないことが多かったですが、そのなかで、全開で走ってなんとか大倉選手を逆転できました。Sammy賞を岡田選手に獲られてしまったんですが、ここはどうしても勝てない(笑)。そのあたりも課題かもしれませんね」と天野。天野にとっては5年連続10回目、井上にとっては9年連続11回目のチャンピオン獲得となる。

JN2クラスは、鎌野賢志/蔭山恵(トヨタ86)が全日本ラリー出場10年目にして初優勝を達成。2位には長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)、3位には明治慎太郎/古川智崇(トヨタ86)という結果となった。長崎とのバトルを制して2番手に浮上していた加納武彦/横手聡志(スバルBRZ)はSS12でコースオフを喫しリタイアを余儀なくされることに。これで2番手に長崎、3番手に明治が浮上し、フィニッシュとなった。念願の全日本初優勝を手にした鎌野は、「すごく疲れました(笑)。距離はそれほどではありませんが、妙に疲れました。勝因は、7~8月に地区戦に出たり練習会に出たりしてトレーニングを積み、初日の午前中からしっかり走れた点が良かったと思います。路面が悪くなる前にライバルに差をつけることができました。今後は、ラリー北海道に向けて、ジムに通って体力づくりに励みます」と笑顔でコメントした。

初日にトップ2が相次いで脱落するという波乱の展開となったJN1クラス。クラス首位に立つ小川剛/藤田めぐみ(ホンダ・フィット)と2番手三苫和義/小林剛(ホンダ・フィット)の間には1分近い差が付いている。この日最初のSSでは、3番手につけていた高崎巧/馬場裕之(日産ノートNISMO S)がマシントラブルで戦列を去り、代わって直井健/厚地保幸(スズキ・スイフトスポーツ)が3番手に浮上。その後は順位変動なく、このままの順位でのフィニッシュとなったが、この荒れたラリーを制した小川もまったくの無傷というわけではなかった。「ホイールは何本も割れましたし、ミッションはギヤ抜けするなか、ごまかしながらのフィニッシュです。なんとかクルマが持ってくれました。次のラリー北海道に向け、クルマをしっかり整備して挑みます」と、ラリーを振り返った。小川は第3戦の京都以来となる今季2勝目。

次戦は9月14日〜16日に開催される第8戦ラリー北海道。シーズン後半、チャンピオン争いの山場とも言える一戦だ。

MSCCラリー in いわき2018 正式結果
1. JN6-1 新井敏弘/田中直哉 富士スバル AMS WRX STI 1:03:07.2
2. JN6-2 勝田範彦/石田裕一 ラックSTI 名古屋スバル DL WRX +11.0
3. JN6-3 鎌田卓麻/市野諮 itzz DL SYMS WRX STI +1:46.2
4. JN6-4 柳澤宏至/加勢直毅 ADVAN CUSCO WRX-STI +2:47.4
5. JN6-5 奴田原文雄/佐藤忠宜 ADVAN-PIAAランサー +3:10.3
6. JN6-6 福永修/齊田美早子 THREEFIVE MOTORSPORT ランサー +3:33.8

9. JN4-1 関根正人/草加浩平 KYB DUNLOP スイフト +7:21.7
10. JN5-1 眞貝知志/安藤裕一 TGR Vitz GRMN Rally +7:25.7
14. JN3-1 天野智之/井上裕紀子 豊田自動織機・DL・ヴィッツ +9:01.7
18. JN2-1 鎌野賢志/蔭山 恵 テイクスDLワコーズBRIG86 +10:08.2
21. JN1-1 小川 剛/藤田めぐみ itzz ADVAN AN Fit +11:49.8



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