全日本ラリーいわき:新井がSS1から首位を譲らずリード – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリーいわき:新井がSS1から首位を譲らずリード

©RALLY PLUS

2018年全日本ラリー選手権第7戦「MSCCラリー in いわき2018」は、8月25日(土曜日)、レグ1に設定された8SSを終えて、JN6クラスの新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)が2番手の勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)に9.8秒差をつけて初日トップに立った。

福島を舞台とした全日本ラリー選手権は2年ぶりの開催となるが、今年はホストタウンをこれまでの棚倉町からいわき市へと移して行われた。小名浜港に面したサービスパークは開放的な雰囲気で、海風の吹き抜けるロケーションはあらたなラリーの顔となりそうだ。

初日となるこの日は午前中は晴れ間が見えるものの、午後からは雷雲に覆われる不安定な天候。林道内のグラベルSSはウエット路面となり、グラベルタイヤで走る舗装路コースと相まって選手の対応力が試されるステージとなった。さらに折からの暑さも相まって、選手の体力と集中力も求められる1戦である。この日は4SSを2度走行する構成で、新設されたターマックSS、公園内のギャラリーSS(ターマック)、11.19kmおよび4.49kmのグラベルSSというバラエティに富んだサーフェイスとなった。

JN6クラスは、SS1から3連続ベストタイムをマークした新井がラリーをリード。ここまで3連勝を飾っており、第6戦からのインターバルでグラベルテストを行ってラリーに臨んだ新井は午後のSSでもふたつのベストタイムを獲得、最終的に2番手の勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)に9.8秒差をつけてこの日を終えた。「最初のターマックは本当に難しかった。グラベルはすべてウエットが残っていて、なかなかフロントが入ってくれない。マシンは問題ないはずだけど、路面にパワーを食われている感じ。SS7のロングステージは、ちょっと抑えたら詰められてしまったけど、次のSS8を全開で攻めて取り返すことができたので良かった。最終日も何事も起こらないよう気をつけて走る」と新井。2番手には勝田、3番手には鎌田、4番手に柳澤とスバル勢が上位を占めている。勝田と鎌田は1分10秒9離れており、実質的な優勝争いは新井と勝田のふたりに絞られたと言えそうだ。5番手にはWRCドイツ帰りの福永修/齊田美佐子、6番手には序盤2番手を走行しながらもSS7のパンクで大きく遅れた奴田原文雄/佐藤忠宜と、三菱ランサーエボリューション勢が続いている。

JN5クラスは、トヨタ・ヴィッツGRMNの眞貝知志/安藤裕一が首位、2番手に川名賢/保井隆宏、3番手に小濱勇希/馬場雄一のシトロエンDS3 R3-MAXが続いている。首位の眞貝は「午後のセクションは道が荒れてしまって、このコンディションで自信を持って走るには、もう少し経験が必要ですね。クルマはすごく調子がよく、いいバランスで走れています。首位ですがあまりライバルのタイムを気にしすぎず、明日もこのペースで走り切りたいです」とコメント。SS6は強い雨の影響でJN5クラス以下にノーショナルタイムが与えられたため、2番手で追い上げる川名は「舗装が1本ノーショナルタイムになってしまったので、それが響きました。そこで差を取り返すつもりでした。明日はひっくり返せればいんですが、やれるだけのことをやって挑みます」とコメント。ふたりの差は1.8秒というわずかなもの。最終日はふたりのバトルに注目したい。

シーソーゲームの末、関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)がリードするJN4クラス。2番手には連勝を挙げてきた上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)、3番手はトヨタ86の山本悠太/北川紗衣、4番手に高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)というオーダーとなっている。関根と上原は21.9秒差とやや開いているが、上原と山本は8.9秒差、山本と高橋は1.8秒差と、勝負の行方はまだまだ分からない。関根は「ミッションマウントにトラブルが出ています。部品がないので、明朝のサービスで変更する予定です。ドタバタの争いですが、首位にいるので、明日も頑張ります」と、今季初勝利に向けて意気込みを語っている。

JN3クラスは天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が首位、2番手に藤田幸弘/藤田彩子(マツダ・デミオ)、3番手に岡田孝一/石田一輝(マツダ・デミオ)、4番手に大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)がそれぞれ10秒前後の差で並んでいる。天野は序盤、電装系のトラブルに見舞われて首位から4番手にまで順位を落とすが、午後には猛追を見せて首位に復帰している。「順調に走って、首位に返り咲けました。大倉選手がトラブルで落ちてしまったのは残念ですが、2位の藤田選手と10秒差くらいなので、着実に走って、もう少し差を広げてフィニッシュしたいです」と天野。CVTマシンの大倉はオーバーヒートに見舞われ、一時クラストップに立つも苦戦を強いられている。

鎌野賢志/蔭山恵(トヨタ86)が首位に立つJN2クラスは、2番手に2連勝中の長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)、3番手に加納武彦/横手聡志(スバルBRZ)。明治慎太郎/古川智崇はやや差の開いた4番手となっている。「首位で戻ってこられたのは奇跡です。明日も何もないことを祈っています」と、この日最後のサービスに戻ってきた鎌野。ラリー最終日に向けては「サービスではクルマをしっかりチェックして、ペースノートを確認して、何事もなくラリーを終えたいです」とのこと。2番手長﨑と3番手加納の差は1.5秒という接戦。こちらの勝負の行方にも注目が集まる。

上位陣が相次いでトラブルに見舞われたJN1クラスで生き残り首位に立っているのは小川剛/藤田めぐみ(ホンダ・フィット)。2番手には三苫和義/小林剛(ホンダ・フィット)、3番手に高崎巧/馬場裕之というトップ3となっている。この日終盤のSS7では、クラス首位につけていた古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)がコースオフ、2番手の須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)はタイヤをパンクし大幅にタイムロスを喫する波乱。さらにSS7を終えて3番手だった伊藤隆晃/大高徹也(日産ノートNISMO S)もドライブシャフトを破損し戦線離脱する荒れた展開となった。首位の小川は、「気がつけば生き残りゲームになっているので、かなり気を使って走りました。マシンにも色々と問題が出ているので、明日もクルマが持ってくれることを祈っています」と慎重なコメントを残している。

競技最終日となる8月26日(日)はSS9〜SS14の計6SS、SS距離20.40kmで争われる。

MSCCラリー in いわき2018 SS8終了時点結果
1. 新井敏弘/田中直哉 スバルWRX STI 43:44.6
2. 勝田範彦/石田裕一 スバルWRX STI +9.8
3. 鎌田卓麻/市野諮 スバルWRX STI +1:20.7
4. 柳澤宏至/加勢直毅 スバルWRX STI +2:07.1
5. 福永修/齊田美早子 三菱ランサーエボリューションX +2:26.9
6. 奴田原文雄/佐藤忠宜 三菱ランサーエボリューションX +2:29.7
9. 眞貝知志/安藤裕一 トヨタ・ヴィッツGRMN +4:45.2
11. 関根正人/草加浩平 スズキ・スイフトスポーツ +5:00.7
16. 天野智之/井上裕紀子 トヨタ・ヴィッツ +6:08.0
20. 鎌野賢志/蔭山 恵  トヨタ86 +6:47.4
22. 小川 剛/藤田めぐみ ホンダ・フィット +7:18.8



RALLY CARS