WRCフィンランド:タナック「師匠と同じことができたのは初めて」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス

WRCフィンランド:タナック「師匠と同じことができたのは初めて」イベント後記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRC

WRCフィンランドのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。2003年のマルコ・マルティンに続き、WRCフィンランドを制した2人目のエストニア人となったオィット・タナック。自身が師と仰ぐ名手に追い付きつつある喜びを明かした。

●WRCポストイベントカンファレンス出席者

Toyota Gazoo Racing WRC

1位:オィット・タナック=OT(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位:マルティン・ヤルベオヤ=MJ(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位:マッズ・オストベルグ=MO(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
2位:トルステイン・エリクセン=TE(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
3位:ヤリ‐マティ・ラトバラ=J-ML(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
3位:ミーカ・アンティラ=MA(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
トミ・マキネン=TM(トヨタ・ガズーレーシングWRTチーム代表)

Q:オット、この週末は会心の走りだった。毎日のように、ほぼ完璧な一日だったと語っていた。ここでフィンランド勢を抑えて、自分の母国にも近い場所で勝ったことは、間違いなく完璧なはずだ。今の気分は。
OT:今日、パワーステージを終えて完璧だと感じたよ。もちろん、個人的には金曜日はとてもタフだった。砂利掃きの役目が重かったし、コンディションはとてもドライでルーズだったので、金曜日は必死でプッシュしていたと言える。どのステージも全開だったから、とてもハッピーだった。あるジャンクションでエンジンが止まり、少しロスはあったが、それ以外は出来る限りを尽くした。だから、土曜日は差を広げることができて文句はなかった。パワーステージでは5ポイントを獲得したので、週末の内容にはハッピーだ。

Q:最終ステージは、特に隣にいるポジション争いをしていた2人をはじめ、誰もがプッシュしていたわけだが、スタートラインでは余裕があったのでは?
OT:その通り、ビッグプッシュだったがイベントが始まる前から自分たちにはいい武器があることは分かっていた。3日間テストをして、地元エストニアでもラリーに出て、今回のラリーに向けてのセッティングを確認したし、マシンにももちろん自信を持てていた。チームとたくさん作業に取り組み、すべてが完璧になるように必死で努力していて、自分たちがコンペティティブに戦えるよう細かいところまで煮詰めた。母国戦なので、誰もが期待を高めていたからね。だから、それでも自分たちにはプレッシャーがかかっていたと言える。ヤリ‐マティとラッピは地元出身なので、さらにプレッシャーを感じていたと思うが、自分にとってもマシンとの相性がいいラリーなので、今回勝てるチャンスがあると分かっていたし、全力を尽くした。チームが支えてくれたし、だからこそうまく行って、この結果が得られたんだ。

Q:週末を通してミスはなかったが、昨日の午後はパワーステアリングの問題を少し心配していた。最終的に何か問題はあったのか。
OT:何が起きたかは分かっている。ドリフトジャンプをして、コラムを少し曲げてしまったので、ある一定の方向に曲がることができなくなってしまった。マルティンの方にだけスライドできて、自分の方にはできなかったから少し面倒だったが、うまくできるようになったので、いいリズムでこのループを終えることができたし、その後はギャップを広げていった。

Q:2003年はマルコ・マルティンとマイケル・パークがここで勝っており、とても特別なことになった。エストニアの首相やエストニア人もたくさん現場に来ていた。国中が応援していたようだが、再びエストニア人がポディウムの頂点に上がったことの意味は。
OT:もちろん、マルコが勝ったのと同じラリーを勝つのは、アメージングだ。彼が果たしたことと同じことをできたのは初めてだし、彼は自分にとって師匠でありいい友人なので、言うまでもなく特別な気分。エストニアからの応援団のためにも自分はプッシュしなくてはならなかった。

Q:イベント前、選手権タイトルのことは考えていないと行っていた。現実的というより、計算上の可能性という感じだった。今、これでヌービル、オジエとの差が少し縮まったが、それでもタイトルには集中しないのか、あるいは少しは望みを感じてきたのか
OT:何度も言っていたよね。まだ、だいぶ離れているのでタイトルを夢見る意味はないんじゃないと思うから、同じ感じで続けていく。ドイツで完璧なラリーをして、次のトルコ、そしてその次という風にね。全力を尽くして、そしてもしシーズン終盤を迎えて差が詰まっていれば、可能かどうかを考えるが、今は一戦一戦に専念していかなくてはならない。

Q:マルティン、フィンランドでポディウムの頂点に立った気分は。
MJ:本当に素晴らしいよ。パワーステージからポディウムに移動するリエゾンでオットと話していたんだ。こんなにたくさんのエストニア人が、国歌を歌いながら待ってくれている、最高のポディウムだってね。

Q:この週末は、2人にとって最高の経験になったはずだ。
MJ:オットのドライビングは週末を通して完璧だった。マシンも完璧だった。チームは素晴らしい仕事をしたので、すべてがパーフェクトだった。そして、その結果、僕らはここにいる。いい週末だった。

Q:マッズ、ヤリ‐マティと特に今日は素晴らしいバトルだった。タイムの取り合いだったが、パワーステージに入る段階で2.5秒リードしていた。追い付かれるという心配はしていたか。
MO:安全なことは何もなかった。ここでは信じられない走りをする人だ。もちろん、今日は強く戦わなくてはならなかったし、午前からかなりハードにプッシュした。自分が差を広げて、彼がまた詰めて、本当にエキサイティングだったよ。それでも、自分は状況をコントロールできているという感触があった。追い付かれるかもしれないという心配はあったが、完璧なステージにするということに完全集中を維持した。本当に素晴らしい気分だし、今回のイベントでトヨタ勢に割って入るというのは大変な課題だったが、とてもうまくこなせたし、それができたことを心から誇りに思うよ。

Citroen

Q:フィンランドでの自己ベストリザルトだが、自分のキャリアの中ではどれくらいの価値があるか。
MO:間違いなくベストの一つだね。同じような気分を感じたのは、2011年のスウェーデンにまで遡ると思う。自分にとって重要な一歩だったし、シトロエンにとっても同じだった。このチームの一員であることを、とても光栄に思うよ。シトロエンが一つのチームであると感じるし、前にも在籍していい時間を過ごしたが、戻ってきてとても自然な感じだ。

Q:素晴らしいバトル、大きなプレッシャー、高速、どんなイベントだったか。楽しめたか。
TE:木曜日の午前にシェイクダウンが始まった時から、楽しめていた。この道でのスピードは、コ・ドライバーにとってとてもいい。速さとノートがお互いにマッチするのは、パーフェクトな気分だ。

Q:最終ステージに入る段階で差は縮まって2.5秒しかなかったが、どのようにスタートを迎えたか。マッズも君もミスはできなかった。プレッシャーが大きくなったか。少しナーバスになったのでは。
TE:今日、車内の雰囲気はとてもよかった。リエゾンも楽しめたし、とにかく最終ステージが楽しみだった。
MO:あのステージの前、ヤリを見かけて彼と話した。マシンに戻って言ったよ。「最高に気味が悪いんだけど2人もステージを楽しみにしているんだよ」って。トルステインは週末を通して素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。少し楽しむようにプッシュもしたよ。ずっと雰囲気は最高だったし、この週末の彼の働きは多いに称賛されるべきものだと思う。

Q:ヤリ‐マティ、全力を尽くしたがマッズを捉えられなかった。ラリーを終えて、どんな気分か。
J-ML:まず、今回の彼の走りはこれまでで最高だったと言える。本当にいい走りだったし、シトロエンも強かった。自分は、戦いモードに入るのが少し遅かった。土曜日の午後になってスイッチが入ったが、マッズはずっと自分より速かったし、オットは異次元だった。そうして、自分はマシンの変更を行って、自信を持ち始め、よくなっていた。タイヤに少しトラブルがあったが、ミシュランのおかげで、スリックの時もとてもよかった。今日は、自分の出来る限りを尽くした。最初のステージがもう少しうまく走れればと思うが、エサペッカがコースオフして少し慎重になり始め、タイムをロスした。その後は、全力を尽くしたが、距離が足りなかった。パワーステージもとてもいい走りをしたが、あるコーナーでタイヤをディッチに落としてしまった。でも、これで0.5秒程度だったと思うので、マッズには追い付けなかった。最終的にはとてもハッピーだ。素晴らしいバトルができたし、リエゾンではお互いに笑顔を見せ合うことができた。

Toyota Gazoo Racing WRC

Q:オットのパフォーマンスにみんなの注目が集まり、君にはストレスがなく、いつもは見られないほど落ち着いていた。気持ちの中では、なぜ彼に追い付けないのかと感じていたか。
J-ML:公平を期するために言うと、自分もミーカも、キャリアの中で5戦連続リタイアなんて経験したことがなかった。今回を迎えるに当たり、自分の自信はかなり落ち込んでいたし、すぐに速さをつかんだり、勝つためには、オットも言った通り100%の自信がなくてはならない。マシンが素晴らしいことに疑いはない。自分が自信を失っている時に、プッシュしてリスクを負えるようになるためには、まずレベルを高めて自分がどのレベルを走っているのかをしっかりと自覚する必要があった。順位やマニュファクチャラーズポイントのことも考えていた。シーズン終盤に、チャンスを残すためにね。

Q:ミーカ、ここから先のイベントに向けて自信になるか。
MA:シーズンの後半戦の滑り出しとして最高の形だよ。ヤリ‐マティも自分も、とても安心した。すごくハッピーだし、バトルができてよかった。まだ戦えるということ、ラリーを走り切れるということを見せられた。自信を高める後押しになるよ。

Q:トミ、昨年はエサペッカ・ラッピが優勝し、これで2年連続だ。今年はオィット・タナックがトヨタをポディウムの頂点に上げ、3位にはヤリ‐マティが入った。特別なイベントだが、このリザルトでさらに特別なものとなった。チーム代表として、喜んでいるはずだ。
TM:もちろん、とても特別な瞬間だし、特別な気分だ。もちろん、母国イベントだし、だから去年も強かった。ここからプログラムが始まり、2016年はここでたくさん走り込んだ。今年も、今回のためにたくさんテストをしたのだろうとたくさんの人が思っているのだろうが、今回のプリペアは5日間しか行っていない。それほど必要としていなかった。我々のマシンは、ここで作られたんだからね。

Q:今年フィンランドを勝ったのは、トヨタのチームで一番日の浅いメンバーだ。今回の彼らのパフォーマンスをひと言で言うと。
TM:誰が見ても分かるだろう。オットはこのコンディションでこのマシンをどうドライブすればいいのかを習得したし、余計なドラマはなく肩に力も入っていなかった。彼のドライビングスタイルは、ここのコンディションに合っているようだ。特に、今回のラリーの序盤の速さはアメージングだった。すぐに全開モードになっていたが、最初のステージではこれが最も難しい。



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