全日本ラリーカムイ:TGR Vitz GRMN、序盤から好タイムを記録するもリタイア – RALLYPLUS.NET ラリープラス

全日本ラリーカムイ:TGR Vitz GRMN、序盤から好タイムを記録するもリタイア

©TOYOTA

6月29日(金)~7月1日(日)、全日本ラリー選手権第6戦「2018 Sammy ARKラリー・カムイ」が北海道ニセコ町を起点に行われた。TOYOTA GAZOO Racingの眞貝知志/安藤裕一組(TGR Vitz GRMN Rally) は初日好走を見せるも、リタイアとなった。

昨年までは洞爺湖町を起点として開催されていたARKラリーは、ホストタウンをニセコ町に移動。山間部の林道に設定されたSSの総走行距離は100kmを超える。「前戦を経て、あらためての実力を感じた」と語る眞貝は、ラリー序盤からJN5クラス2番手を走行し、SS3ではベストタイムを記録するなど速さを見せた。ところが、SS4のスタート地点から約1kmの低速コーナーで轍から飛び出してコースオフ。コースへ復帰することができず、チームは初日の競技続行を断念した。

幸いにもコースオフによる車両へのダメージは小さく、2日目には再出走を果たした。しかし、雨天となった2日目最初のSS8は非常に難しいコンディションとなり、眞貝はコーナリング時に橋の欄干にフロントをヒット。その後も走り続けたものの、続くSS9でエンジンがストップ。ラリー続行が困難となり、チームはリタイアを決断した。

TOYOTA

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豊岡悟志(チーム監督)
「リタイアとなりましたが、これもラリーです。より上を目指して戦うのが競技ですし、その中で起きる様々な出来事で経験を積み、学びを見つけて今後に活かしていくことが、我々の活動の狙いです。チームとしては、リタイア後にラリーカーを回収に行く際の手配、人の動き、その後の修理作業など、スタッフが自発的に手際よく動けていました。こういった勉強の場を与えてもらっていることに、あらためて感謝しています。今回のような対応力をどう活かしていくかが、次の課題になります。TGR Vitz GRMN Rallyに関しても、ライバルと互角に戦えるところまで来ることができたと実感しています。次の段階として、ドライバーに気持ちよく乗ってもらえるクルマを作っていかなければならないと思っています」

宮本昌司(チーフメカニック)
「今回、クルマの回収のためにSSに行くことができ、とても勉強になりました。通常、メカニックは実際に選手が走行するSSを見ることができません。轍の深さなど車載カメラでは分からないことが現場で理解できました。これまでになかった視点を養うことができた点は、クルマ作りに関して、また今後に向けても非常に大きいと感じています。細かい課題は残っていますが、車両セッティングの方向性は見えてきました。ここまでグラベルラリーが3戦続いて、クルマにもストレスがかかってきています。次のラリーまでにしっかり点検・リフレッシュし、続くグラベルラリー2戦を走り切れるようにクルマを作っていきたいです」

佐々木良典(ヴィッツGRMN開発エンジニア)
「残念な結果となりましたが、開発の方向が正しかったという手応えを感じています。車両の性能が上がったことで、ドライバーの眞貝選手は『攻めたい』という思いに至ったのかもしれません。しかしドライバーにわずかでも無理をさせてしまうということは、クルマに余裕がないということ。それを克服することが、真の強さにつながるのではと思います。また、季節が夏に近く、冷却に関して少し心配をしていましたが、今回はまったく問題はありませんでした。グラベルラリーにおける車両特性も分かってきましたし、その知見を活かして、もっと走りやすいクルマに仕上げたいと考えています」

眞貝知志
「初日はオーバースピードを発端としたコースオフを喫し、2日目は橋の欄干に当たったことで結果的にエンジンにダメージを負わせてしまいました。予想以上に早くクルマが進化するなかで、少しでもいい成績でそれを証明したいという思いが『絶対完走』という気持ちを上回ってしまったことを、ドライバーとして反省しています。それでも、SS3ではベストタイムを獲得することができましたし、TGR Vitz GRMN Rallyはタイムを出せるクルマであるという“可能性”が“確信”になってきたと思っています。まだ開発中のパーツもありますし、色々なピースが揃えば、同じクラスのライバルと対等以上に戦えると思っています」

2018 Sammy ARKラリー・カムイ JN5クラス最終結果
1. 横嶋良/木村裕介(プジョー 208 R2) 1:31:41.3

R. 眞貝知志/安藤裕一(TGR Vitz GRMN Rally)



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