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【Martin’s Eye】異色のフライングフィン? ヒュンダイが育成する若手、フッツネンがスウェーデンで実戦登場

©Hyundai Motorsport GmbH

大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが、長年の経験に基づく独自の視点で切り込むMartin’s eye。今回はヒュンダイが展開する若手育成プログラムのシュートアウトに合格し、WRCスウェーデンからWRC2参戦に挑む期待のヤリ・フッツネンに注目する。


フィンランド出身の23歳、ヤリ・フッツネンが、ヒュンダイ・モータースポーツ・ドライバーデベロップメント・プログラム(HMDP)の一貫として、WRCスウェーデンにヒュンダイR5でエントリー。ワークスドライバーとしてのデビューを果たす。

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フッツネンのR5経験は少なく、昨年のシュコダ・ファビアR5で参戦したラリーフィンランドと、ステファン・サラザンが率いるヒュンダイのチームから参戦したラリーGBだけだ。昨年の10月、フッツネンはヒュンダイが大々的に行ったシュートアウトを通過し、HMDPのドライバーに選ばれた。2015年にシトロエンDS3 R3で参戦したラリーフィンランドで「将来のラリースター賞」を受賞したフッツネンは、2016年にはドイツでオペル・ラリーカップのタイトルを獲得。2017年にはERCジュニアのアンダー27でシリーズ2位に食い込んでいる。

フィンランド人であるということで即、注目に値するドライバーと値踏みされがちだが、フッツネンの出身地はフィンランドの中でもラリースターをあまり輩出していないことで知られる地方だ。ユバスキラの北部にあるキウルベシは、ユバスキラとオウルのほぼ中間地点。
「僕の地元はラリーイベントもラリーファンも、あまり多くないところなんだ」とフッツネンは説明する。
「自分は7歳の時にカートを始め、11年間競技に出ていた。それから資金がなくなったので、目先を変えてラリーを始めた。ラリーは始める時は費用はかなり安く済むが、続けていくと費用もかさんでいく。でも、自分の成績はかなりいい方だと思ったし、父が費用を出し始めてくれたので、今、ここにいられるってわけ。自分の家族にはラリーをやっていた人はいないから、かなり異色だね!」

観戦に行くラリーイベントが周囲で開催されておらず、ゆえに学校にもラリーに興味を持つ友人がいなかったというのに、なぜフッツネンはラリーに興味を持ったのだろうか。
「説明するのは難しいね。自分は普通のクルマの運転歴は長いんだ。5歳の時に父が普通のクルマを与えてくれたので、毎日ドライブしに行くことができた。僕は田舎者で、農場に住んでいたんだ。夏は農場を、冬は凍った湖をトラックで走っていた。だから、いろいろな所を何kmでも運転することができたよ!」

フッツネンのラリー歴の序盤は、乗っていたのはほとんどがオペルだった。その理由は?
「実は、始めた時はスズキに乗っていたんだ。スイフトでラリーに2回出た。このスイフトはとてもいいマシンで、すごく安かった。その後、安いオペル・カデットを買った。これもすごくいいマシンだったけど転倒してしまったので、16バルブのエンジン、ギアボックス、サスペンションなどなど、すべてをアストラに換装した。それから、シトロエンC2 R2にスイッチしたんだ」

ラリーフィンランドで受賞した経緯は?
「フィンランド選手権に参戦していてトップ5のリザルトを獲得すると、選考に進むことができる。選考ではペースノートや体力、動き、メディカルチェックなどを審査され、ひとりが選ばれる。あの受賞は信じられなかったよ。トラブルだらけだったし、自分も僕のコ・ドライバーもラリー中、ずっと体調不良だったんだ! 最悪だったけれど、幸いにもこれで自分のキャリアが中断されることにはならなかった」

そしてドイツに移り、アダムカップに参戦するようになったのは?
「2015年にフィンランド選手権で受賞した後、同じ問題に直面した。資金が足りないんだ。だから、ターマックラリーに参戦できる国を探した。ドイツのラリーはすべてターマックなんだ。たぶん、8戦に参戦したと思うよ。7戦で優勝して、シリーズタイトルを獲得した特典として、オペルがワークスのR2マシンでERCに参戦させてくれた。このR2はドライビングを学ぶにはとてもいいマシンだったし、ERCもいい修業の場だ。自分にとってもいいことだらけだった。参戦するどのラリーも初めてだったからね」

そしてヒュンダイに選ばれるようになる。
「昨年、マーカス・グロンホルムが連絡をくれて、4WDマシンでラリーに参戦したくはないかと聞かれた。もちろん、Yes! と答えたよ。でも、それがプリントスポーツのシュコダ・ファビアR5でラリーフィンランドに参戦することだとは、思ってもみなかった。だからそれを知った時、まだ自分には早いと思うと言ったのだけど、マーカスはうれしいことに「そんなことない、できるよ」と言ってくれたんだ。実際、このラリーで僕はWRC2部門優勝を果たしたんだよね! そしてすぐに、ヒュンダイから連絡をもらい、選考に参加することになった。選考には16人が参加していて、ターマックとグラベルの両方でドライビングを行った。4WDマシンでターマックを走ったことがなかったので、すごく緊張したよ」

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自分のキャリアの中で最も大きな支えとなったのは誰なのだろうか。
「ラリーを始めて数戦のころは、友だちがたくさん助けに来てくれた。それから昨年はマーカス・グロンホルムが来てくれて、今では僕のマネージャーとして、とても助けてくれている。彼とフィンランドのAKKドライバー・アカデミーだね」

自分としてのプランはあるのだろうか。5年先、自分が目指す目標は?
「持っているよ。5年後はWRCでドライブしていたい。そして、世界タイトルを獲得できたらいいね」
(Martin Holmes)

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