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TGR WRCチャレンジ3期生として、2025年WRC第9戦フィンランドに挑んだ松下拓未。WRC3の14番手を走行中のSS4に、エンジントラブルでマシンをストップ。人生で初めてのリタイアを喫してしまうこととなった。
──何が起きたのでしょうか。
まず前兆はSS3からで、SS3で水温センサーが壊れてしまってリンプ(緊急)モードに入って遅くなってしまったので、水温センサーを抜きました。水温センサーを抜けば基本的に水温が固定されるので、その状態でSS4もバッチリなはずだったのですが、途中で突然ボンネットからフロントガラスに向けて水が吹いてるのが見えて、その時点ですでにオーバーヒートしている状態でした。そのまますぐにパワーがなくなって、エンジンが止まってしまったという感じです。
──止まってしまったのはSS4のどのあたりですか。
SS4をスタートして割とすぐです。本当に3km地点くらいだと思います。一応安全な場所に止まることができたので、クーラントやエンジンオイルを足したりしてみたのですが、クランクプーリーが破断してしまっていて、ウォーターポンプがまったく回っていなかったので、それでオーバーヒートした状態でした。
──明日はリスタートできそうですか?
難しいと思います。クランクを回してもすごく軽いので、たぶん圧縮がないと思います。メカニカルトラブルですが、ガッカリという気持ち方が大きいですね。人生初めてのリタイアになってしまいましたし、それがクラッシュとかではなくてメカトラブルというのも残念ではあります。これまでは運が良かっただけということなのかもしれません。なんやかんやいって、これまではロードセクションなどで直すことができたのですが、今回は本当に何もできなかったので、それで悔しい気持ちもあります。何かできたことがあったのではないかと考えることもありますが、それも多分なかったと思います。
──人生初のリタイアとのことですが、気持ちを切り替えるのは難しいですか?
いや、そんなことはありません。起こってしまったことは仕方がないので、受け入れるしかありません。おそらく、今日は落ち込みますが、明日から前を向いていきたいと思います。
──オウニンポウヤを楽しみにしていただけに残念ですね。
スタート前の記事に続くのが「オウニンポウヤが走れませんでした」ということになってしまいました。
──その分、また来年に頑張る目標ができましたね。
来年、また走る機会をいただけるように全力で結果を出して、努力することしかできないかなと思います。
──次戦はどこですか?
一週間をはさんでフィンランド選手権のラハティに参戦します。
(Keiko Ito)