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WRCフィンランド:タイヤチェックで車検員を負傷させたタナックにタイムペナルティと執行猶予つきのポイント剥奪裁定

©Hyundai Motorsport GmbH

WRC第9戦ラリーフィンランドの主催者は、オィット・タナックに対して5分のペナルティを科したほか、タナックとマルティン・ヤルベオヤ、およびヒョンデに対して、ドライバーズ、コ・ドライバーズ、マニュファクチャラーズ選手権から執行猶予つきで35ポイントを取り消す処分を明らかにした。

8月2日の現地時間0時15分に発行された審査委員会裁定No.2によると、タナックは8月1日、SS7のストップコントロールの後、タイヤチェックのエリアに到着し、車検員の指示に従って停車。その際、タナックは手を振って車検員に離れるように求めた。その間、別の車検員がタイヤのチェックを開始。タイヤの確認がほぼ終了し、出発の合図を受ける直前に、タナックがマシンを急加速させ、右フロントバンパーが車検員に衝突。当該車検員は、左膝に擦り傷を負い出血するなどの軽傷を負った。

この行為は2025年FIA国際競技規則の第12.2.1.h項、第12.2.1.i項および第12.2.1.l項に違反しているとして、タナックの8号車にはセクション3の最終(金曜日の最終TC)で5分のペナルティが科された。また、タナック、マルティン・ヤルベオヤ、ヒョンデには、ドライバーズ、コ・ドライバーズ、マニュファクチャラーズ選手権から35ポイントを取り消す処分も与えられた。このペナルティは、タナックが今季、前出の条項に違反しないことを条件に執行猶予が付与される。

また、チームとタナックには、負傷した車検員に直接、謝罪を行うよう、主催者の競技委員長に連絡を取ることが求められた。

この一件に関しての聴聞でタナックは、SS7でのアクシデントにより、マシンは冷却系のトラブルを抱えていたと説明。チームはクルーに対し、オーバーヒートを避けるためにマシンを走らせ続ける指示を与えていた。そのため、タナックは、コミュニケーションが難しいために、手振りで車検員にトラブルを説明しようとしていた。チェックが終わったと思ったタナックは、車検員に当たったことに気づかず、すぐにその場を離れたとしている。

タナックは審査委員会に謝罪し、車検員が負傷していたことに気づかなかったことを説明。負傷していたと知っていれば、すぐに停車したと釈明した。タナックはまた、負傷したオフィシャルに個人的に謝罪することも申し出た。

審査委員会は、あらためてタナックに、車検員から指示が出されるまで検査エリアを離れてはならないと注意を与えた。そして、ドライバーがオフィシャルに十分な注意を払わなかったために危険な状況を引き起こし、その結果、車検員に衝突し軽傷を負わせたことは、2025年FIA国際スポーツ規則第12.2.1.h項の違反に該当すると判断した。

車両がオーバーヒートのトラブルに直面していたことは、競技者が責任を負う範囲のことであり、この件について、タナックの軽率な行動に情状酌量の余地はないとしている。また、審査委員会はタナックに対し、すべての参戦者の行動は重点を置くべき分野であること、2025年FIA国際競技規則の第12.2.1.l条(不適切な行為)の違反は無視できないことを再確認した。

したがって、審査委員会は、この件において上記のタイムペナルティが適切であると結論づけ、ポイントの剥奪を執行猶予つきで適用することにより、今後の同様の行為を防止する目的で措置が講じられると判断した。

このSS7でタナックは、軽いコースオフをしてヒョンデi20Nラリー1の右フロントを木に引っかけていた。このアクシデントについてタナックはステージのストップコントロールで「かなり強い衝撃だったので、走り切れたのはちょっと驚いた」と語っている。



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