
©TGR WRT / McKlein
WRC第7戦アクロポリス・ラリーギリシャ(グラベル)は6月26日、シェイクダウンに続いて、アテネの市街地のスーパーSSがSS1として行われ、トヨタGRヤリス・ラリー1で参戦するトヨタ勢は、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが、ヒョンデのオィット・タナックとのタイのトップタイムをマーク。勝田貴元/アーロン・ジョンストンも3番手タイムで続いた。エルフィン・エバンス/スコット・マーティンとカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンは同タイムの6番手、TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは総合9番手で滑り出した。
トヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2部門にエントリーしているTGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀と小暮ひかるは、それぞれ部門13番手、20番手で、この1.5kmのステージを走り終えている。
(以下、発表リリース)
WRC 第7戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ1
伝統のラフグラベルラリー、アクロポリスがスタート
オジエがトップに立ち、勝田は総合3位につける
6月26日(木)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」が、ギリシャの首都アテネで開幕。アテネの市街地でスーパーSSが1本行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が首位に立ち、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合3位につけ、総合6位のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)と、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は、同タイムを記録しました。また、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、総合9位につけています。
前戦ラリー・イタリア サルディニアでオジエが今シーズン3勝目を飾り、TGR-WRTは開幕から6戦連続優勝を達成しました。そして迎えた第7戦は伝統の「アクロポリス・ラリー」。第5戦ラリー・ポルトガルから始まった、南ヨーロッパでのラフグラベル(荒れた未舗装路面)ラリー3連戦の最後を飾る、WRCの中でもっともクルマに厳しいとされるイベントのひとつです。昨年は9月に開催されましたが、1年を待たずして今年は6月に開催。この時期の中央ギリシャは暑さが非常に厳しく、週末は気温が摂氏40度前後まで上昇することが予想されます。
ラリーのサービスパークは今年も中央ギリシャの都市「ラミア」に置かれ、木曜日は約17km北西に位置する山岳路でシェイクダウンが行なわれました。ラリー本番前最後の走行セッションであるシェイクダウンでは、勝田がティエリー・ヌービルとベストタイムをシェア。ロバンペラは4番手タイム、オジエは5番手タイム、エバンスは7番手タイムでした。
その後、選手たちは首都アテネへと移動。アテネを代表する観光名所のひとつであり、1896年の第1回近代オリンピックでも競技場として使用された「パナシナイコ・スタジアム」でのセレモニアルスタートに続き、全長1.5kmのスーパーSSがスタート。スタジアムのすぐ近くにあるザッペイオン・ガーデンでSS1としてターマック(舗装路)ステージが行われ、オジエがベストタイムをオィット・タナック(ヒョンデ)と分け合い初日首位に。勝田は3番手タイムを記録し、エバンスとロバンペラが6番手タイムをシェア。パヤリは9番手タイムを記録し、GR YARIS Rally1は全車がオープニングステージを走破。選手たちは、金曜日のデイ2の起点となるルートラキに向けて西に約83km移動し、一日を終えました。
ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
アクロポリスのような歴史的なラリーに参加できることを常に嬉しく思います。再び夏季にここに来ることになりましたが、今週はかなり暑く、誰にとってもタフな一週間になると思います。とくに、クルマの中の選手たちは大変だと思います。彼らは去年よりもタフなラリーになることを予想しており、どのようなアプローチで臨むべきか私に聞いてきました。近年、クルマはかなり丈夫なのであまり慎重に運転するわけにはいきませんが、大きな岩や何かに当たることを避けるのは賢明なことです。今晩は最初のステージを全員が無事に走り切り、明日の本格的な挑戦に備えることができたので良かったです。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
最初のステージは良いスタートを切ることができました。シェイクダウンでも問題はまったくなく、クルマのフィーリングも良好なので、明日のグラベルステージに向けて準備は万端です。今年のアクロポリスは例年よりも早い時期の開催となるため非常に暑く、厳しいコンディションになるでしょう。明日は速さを発揮しなければならなず、厳しい一日になるであろうことは明らかです。しかし、それと同時に少し頭を使い、クルマとタイヤをケアする必要もあります。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
アテネのファンの皆さんたちの前でステージをスタートすることができて良かったです。スタートするまで今回のアクロポリスが69回目の開催だとは知りませんでしたが、その数字が幸運をもたらしてくれることを願っています。シェイクダウンは、路面が非常に荒れていたので大変でした。試してみたかった少し異なるセットアップを施して走りましたが、明日に関してはどのようなステージであるか、そしてどのようなクルマであるかは分かっています。今年の路面は非常に荒れていますし、これまででもっともタフだと思うので、きっと大きなチャレンジになるでしょう。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
アテネの町は美しく、ギリシャのファンは情熱に溢れとても熱狂的なので、良いラリーのスタートになりました。朝のシェイクダウンの1回目の走行は、ダストで少し難しかったですが、今週末に直面するであろう過酷なコンディションに向けては良い予行演習になりました。常にギリシャではそうであるように、今回も極度の暑さとラフなコンディションが予想されますが、私たちは準備万端です。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
イベントが9月から6月に移動したため、以前よりも暑く感じますが、それでもギリシャに戻って来ることができて嬉しいです。クルマのフィーリングは良く、問題もありません。依然、クルマの完璧なバランスを探していますが、明日からの本格的なステージはシェイクダウンよりもはるかにチャレンジングなので、非常に厳しい週末になるでしょう。安定した走りを心がけ、すべてのステージを問題なくクリアし、良い結果につなげたいと思います。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
アテネのスーパーSSは、距離は短くともファンにとっては楽しいコースです。他とは違うコースは新鮮でしたが、トリッキーなステージでもありました。シェイクダウンではクルマにとても良いフィーリングを感じることができ、いくつか小さな発見もありました。路面は既にかなりダスティだったので、ラリー本番でどうなるのか注視する必要があります。このラリーは路面が荒れていてシーズン中もっとも難しいイベントのひとつなので、クレバーに走ることが求められます。
アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ1の結果
1=セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 1m18.1s
1=オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +0.0s
3 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +00.9s
4 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +01.0s
5 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +01.1s
6=エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +01.5s
6=カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +01.5s
8 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +02.2s
9 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +03.0s
10 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +03.2s
(現地時間6月26日21時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技2日目となる27日(金)のデイ2は、いよいよグラベル路面での本格的な戦いがスタート。ルートラキを起点に、ラミアを目指しながら6本のステージを走行します。デイ2で同じステージを2回走行するのはSS2/4のみ。残る4本のステージは1回しか走らないため、路面がドライコンディションの場合、出走順が早いドライバーたちにとっては非常に厳しい一日となります。とくに、ドライバー選手権でトップ3につけ出走順1、2、3番手のエバンス、オジエ、ロバンペラは、路面のルースグラベルを掃き飛ばしながらの走行となるため、かなり不利な走行となることが予想されます。デイ2は日中ミッドデイサービスの設定がなく、SS4終了後にはリモートサービスが予定されています。なお、SS6「スティリ」は1997年大会以降初めて走行するステージとなります。6本のステージの合計距離は121.76km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は497.05kmとなります。