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2025年シーズンWRC第6戦ラリーイタリア・サルディニア(グラベル)は、6月6日(金)に6SSを走行し、トヨタのセバスチャン・オジエがヒョンデのアドリアン・フルモーに2.1秒差の首位。4.6秒差の総合3番手にオィット・タナック(ヒョンデ)が入っている。
グラベル連戦ふたつ目のサルディニア。トヨタはオジエ、Mスポーツ・フォードはマルティンス・セスクスをそれぞれエントリーさせ、前戦ポルトガル同様に最多11名のワークスドライバーが覇を競う。昨年、大胆にコンパクト化されたスケジュールを導入したサルディニアだが、今年はオルビアを拠点とする3日間の通常フォーマットに戻された。金曜日のルートはオルビア西のエリアに設けられた「Arzachena(13.97km)」、「Telti – Calangianus – Berchidda(18.43km)」、「Sa Conchedda(27.95km)」の3SSをサービスを挟んでリピートする6SS、120.70kmを走行する。前戦までのランキングによってトヨタは3台が1〜3番手スタートとなっており、特に午前の1ループ目でスタート順によってどれだけの有利不利が発生するかが、その後のラリーの展開を大きく左右することになりそうだ。
事前の予報どおり青空が広がり、ドライコンディションとなったSS1。エルフィン・エバンスと2番手スタートのカッレ・ロバンペラはともに滑りやすい路面に苦しみ、それぞれ8番手、11番手と出遅れた。3番手スタートのオジエが幸先よく一番時計を刻む。「グリップレベルをチェックしながら走った」と、オジエは冷静にコメントした。0.8秒差の2番手タイムはティエリー・ヌービル(ヒョンデ)、スタート順のアドバンテージを活かしてトヨタのサミ・パヤリが3番手、フルモーが4番手と奮闘。一方、スタート順はまずまずだったはずの勝田貴元(トヨタ)は、グリップ不足を訴え首位から11.1秒遅れの9番手タイムに。「なぜか分からないけど、思ったようにグリップを得られていない……」と、肩を落とす。
ナローで高速セクションの続く今回の新設ステージ、SS2はタナックが、ヌービルに3.3秒差のベストタイム。4.1秒差のSS3番手タイムにフルモーが入り、ヒョンデがトップ3を独占することになった。0.2秒差のSS6番手タイムに留まったオジエは、総合5番手にドロップ。首位にヌービル、1.0秒差の総合2番手にタナック、4.0秒差の総合3番手パヤリとフルモーが並んだ。このステージ、ベストからSS6.8秒差の4番手タイムでまとめた勝田は、首位から13.8秒差の総合6番手に順位を上げている。
このSSで悪夢に襲われたのが、Mスポーツ・フォード勢だ。まずグレゴワール・ミュンステールが右リヤサスペンションを壊して大きくタイムロス。続いてジョッシュ・マカリアンが9.8km地点でバンクに激突して右リヤタイヤを失い、さらには3.9km地点ではセスクスが転倒とともにデイリタイア(その後、セスクス車はダメージが酷く再出走しないことが決定)。ミュンステールはなんとかステージを走り切ってロードセクションで修理を試みたもののマシンのダメージが大きく、SS3を前にリタイアを決めた。これでMスポーツは、初日の午前で3台を失ってしまった。
ループ最後のSS3はこのラリー最長の27.95km。ここでもトヨタ勢の最速は勝田。オジエを0.3秒上まわる2番手タイムだったが、SS1でのタイムロスが響き、総合順位は6番手のまま。その勝田を5.7秒も上まわるベストタイムをたたき出したのがフルモー。これでフルモーがヌービルに2.9秒差をつけて一気にトップに浮上し、オジエはペースの上がらないタナック、右フロントタイヤをパンクしたパヤリをかわして3番手に順位を戻した。僅差の戦いの中、掃除役に苦しむロバンペラとエバンスはそれぞれ首位から30.6秒、41.2秒遅れの7、8番手と早くも“圏外”の様相だ。
オルビアでのサービスを挟んだ午後のセクション。タナックがヌービルに1.1秒差、オジエに2.9秒差のベストタイム。4.2秒差の5番手タイムに終わったフルモーをかわし、ヌービルが再びトップに立つ。ベストのタナックも、オジエをパスして総合3番手に順位を上げ、再びヒョンデ勢が1-2-3体制となる。オジエに続く総合5番手はパヤリ。SS1で不振だった勝田はこの再走ステージでもSS7番手タイムとなり、先行するパヤリとの差は6.3秒に広がった。
SS5、午前中に3台のMスポーツ・フォードを“屠った”新ステージは、今回も牙を剥いた。まず犠牲となったのは、トップのヌービル。ジャンプを含む高速セクションでバンクに左リヤホイールをヒット。足まわりにダメージを負って、ラリー続行を断念した。総合6番手につけていた勝田は8km地点の低速セクションでロールオーバー。マシンにダメージを負いながらステージを走り切ったが、50秒以上のタイムロスを喫してしまった。また、同じ地点では唯一のプーマ・ラリー1となっていたジョルダン・セルデリディスも転倒。こちらもなんとかステージフィニッシュにはたどり着いた。
大波乱のステージでベストタイムを刻んだのは、再走ステージで掃除役からやや解放されたロバンペラ。ヌービルの脱落でフルモーが首位に浮上し、1.2秒差の総合2番手にタナック、4.6秒差の総合3番手にオジエ、12.8秒差の総合4番手にパヤリと、それぞれひとつずつ順位を上げた。ロバンペラは総合5番手、エバンスが総合6番手に浮上している。
この日を締めくくるSS6、オジエはロバンペラに1.9秒差をつけるベストタイムを刻み、ペースの上がらないフルモーと、ダンパー破損でステージ終盤に大きくタイムを落としSS5番手に沈んだタナックをかわして首位の座を奪還。2.1秒差の総合2番手にフルモー、7.3秒差の総合3番手にタナックというオーダーで初日を終えた。「今日はいい一日だったね。今できることはすべてやったし、満足しているよ」と、オジエは笑顔を見せた。
16.8秒差の総合4番手にパヤリ、22.8秒差の総合5番手にロバンペラ。厳しい先頭スタートで乗り切ったエバンスは、1分09秒8差の総合6番手。前のステージでのダメージを抱えたまま走行した勝田は、ベストから1分23秒3差でフィニッシュし、2分27秒9差の総合7番手に踏みとどまっている。
競技2日目はSS7〜SS12の6SS、SS走行距離は121.60km。オープニングのSS7は、日本時間6月7日の16時05分にスタートする。
WRCサルディニア SS6後暫定結果
1. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 1:10:33.1
2. A.フルモー(ヒョンデi20Nラリー1) +2.1
3. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +7.3
4. S.パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +16.8
5. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +22.8
6. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:09.8
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:27.9
8. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2:33.3
9. E.リンドホルム(シュコダ・ファビアRSラリー2) +2:41.2
10. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +2:57.5