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9月12日から競技が始まるWRC第11戦ラリーチリ(グラベル)に、WRC2の選手権リーダーとして臨むオリバー・ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー2)。最大7戦まで参戦可能、うちベスト6戦がカウントされるこの部門で、ソルベルグはこのチリが最後のノミネートイベントとなるが、ここで優勝を飾れば、この段階でタイトルを確定できるチャンスを握っている。ソルベルグがタイトルを決めれば、GRヤリス・ラリー2としてはタイトル連覇となる。
今回のチリでは、WRC2部門に19台がエントリー。このなかに、ソルベルグと、選手権2番手につけるヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)も含まれている。ロッセルにとってもこのチリが7戦目のノミネートイベントとなり、タイトル争いの面ではガチンコ勝負となる。
ソルベルグはシンプルに、チリで勝てばWRC2初タイトルが確定。同じく南米グラベルイベントの前戦パラグアイでは、1分13秒の大差をつけて今季4勝目を飾っている。この段階で、ソルベルグとロッセルのポイント差は11。昨年のチリでもソルベルグはタイトルを決めるチャンスを握っていたが、それを逃し、最終的にラリージャパンでサミ・パヤリがタイトルを決めた。
「勝てば決まる」とソルベルグは笑顔を見せる。
「そういうこと。勝てば、WRC2タイトルは僕のものだ。ライバルの状況次第でいろいろ違う計算は出てくるが、自分で勝ち獲ることが一番だし、そこに集中していく。自分としては、いつもと同じ。自分のラリーを戦い、自分自身ができることをやる。そこについては、何も変わらない。ずっと全開では攻めないかもしれないし、パラグアイのようなスピードからは一歩抑えるかもしれない。パラグアイはすごく楽しかったが、チリがもう少しだけスムーズにいけばうれしいね。去年もタイトルを決められる状況になっていたが、うまくいかなかった。今回はその流れが変わってほしいね。自分はチリが大好きだし、いつもいいイベント。道も人々も素晴らしいし、ファンは最高だよ」
ロッセルに関しても、見通しは単純明快。タイトルの可能性を残すためには、ここでソルベルグを11ポイント上回るしかない。しかし、昨年のチリを制したのはこのロッセルで、ソルベルグのタイトル確定を阻止している。
「今の段階ではまだ、タイトルを争う権利が残っている。この最後のイベントで、大きなチャンスを作らなくてはならない。チリでは、最大限の力を発揮しなくては」とロッセル。
チリで激戦を展開すると見られるのは、このふたりだけではない。ガス・グリーンスミス、ニコライ・グリアジン(いずれもシュコダ・ファビアRSラリー2)も、計算上はタイトルのチャンスを残している。グリーンスミスはチリが5度目のWRC2参戦。前戦パラグアイではリヤサスペンションの破損に苦しめられたが、昨年のチリでは部門3位に入っている。
「チリでは、オリバーとのポイント差を55以下に留めなくてはならない」とグリーンスミス。
「これが、チリでの極めて重要な任務。チリはいつもいいラリーになっているので、あまり心配はしていない。4人のドライバーは必死の思いでプッシュすると思うので、注目の週末になるよ」
ラリーは9月11日に6.79kmのステージでシェイクダウンが行われ、グリアジンが部門トップタイムをマーク。グリーンスミスが2.1秒差の3番手タイム、ソルベルグは6.1秒差の7番手タイム、ロッセルは7.5秒差の10番手タイムだった。