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WRC第6戦ラリーイタリア・サルディニア(グラベル)は6月5日、競技初日、SS1〜SS6を走行。トヨタGRヤリス・ラリー1勢では、前戦ポルトガルを制したセバスチャン・オジエ/バンサン・ランデが首位に立った。TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネンは総合4番手と健闘。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンが5番手、エルフィン・エバンス/スコット・マーティンが6番手と続いている。勝田貴元/アーロン・ジョンストンはSS5まで6番手につけていたが、ここで横転しタイムロス。それでも、7番手に留まっている。
なお、トヨタGRヤリス・ラリー2でエントリーしているTGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀はRCクラス19番手。小暮ひかるはSS2でデイリタイアとなっている。
(以下、発表リリース)
WRC 第6戦 ラリー・イタリア サルディニア デイ1
前戦ポルトガルの勝者オジエが
僅差の戦いを経てサルディニア初日をリード
6月6日(金)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」が開幕。サルディニア島北東部、オルビアのサービスパークを中心に6本のステージが行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)の、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(GR YARIS Rally1 17号車)が首位に立ち、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合5位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合6位に、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合7位につけました。また、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は、総合4位につけています。
前戦ラリー・ポルトガルでオジエが優勝したことにより、TGR-WRTは開幕5連勝を達成。迎える第6戦ラリー・イタリア サルディニアは、ポルトガルと同様グラベル(未舗装路)のステージを舞台とするラリーです。今年はサービスパークが島北東部の都市オルビアへと移り、前年大会とは異なるステージも新たに何本か加わりました。ラリーはまず、5日(木)の午後にサービスパークのすぐ近くでシェイクダウンが行なわれ、オジエがベストタイムを記録。勝田とパヤリが2番手タイムを分け合い、ロバンペラは6番手、エバンスは10番手タイムでした。
競技は6日(金)の朝から始まり、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの走行距離は120.7kmでした。そのうちSS2とその再走ステージのSS5は新ステージでしたが、非常にトリッキーな道で多くのクルマが戦列を去ることになりました。爽やかな青空の下、ステージはドライコンディションとなり、道の表面は滑りやすいルースグラベルに覆われていました。そのため出走順が早いドライバーたちにとっては不利な走行条件となり、ドライバー選手権首位のエバンス、2番手のロバンペラ、3番手のオジエはルースグラベルを掃き飛ばしながらの走行となりました。しかし、出走順3番手のオジエはSS1でベストタイムを記録し、首位に立ちました。続くSS2では4番手タイムの勝田がTGR-WRT勢最速。オジエは総合5位へと後退しました。そして午前中のループ最後のSS3では勝田が2番手タイムを記録し、総合5位のパヤリと4.5秒差の総合6位に。一方、3番手タイムを刻んだオジエは総合3位まで順位を挽回しました。
オルビアでのミッドデイサービスを挟んで始まった午後の再走ステージも、路面コンディションは引き続きドライ。サービスパークの気温は30度を越え、午前中よりもさらに厳しい条件での戦いになりました。再走ステージ1本目のSS4では、オジエが3番手タイムを記録するも総合4位に後退。しかしSS5で総合3位に順位を上げ、デイ1最後のSS6ではベストタイムを記録。総合2位のアドリアン・フォルモー(ヒョンデ)に2.1秒、総合3位のオィット・タナック(ヒョンデ)に7.3秒差をつけ、首位でデイ1を締めくくりました。
Rally1車両でのこのラリーへの出場は今回が初となるパヤリは、オープニングのSS1で3番手タイムを記録。その後は安定した走りで5番手タイムを刻み続け、SS6を4番手タイムで走破し総合4位でデイ1をフィニッシュしました。そのパヤリと6秒差の総合5位には、SS5でベストタイムを、SS6でセカンドベストタイムを刻んだロバンペラがつけています。また、ドライバー選手権リーダーとして、誰よりも厳しい条件で金曜日のステージを走り続けたエバンスは総合6位。一方、総合6位につけていた勝田はSS5のタイトコーナーで横転し、大幅にタイムをロス。それでも総合7位につけています。
ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
サルディニアの金曜日が終了した時点で首位に立っているのは、とても満足のいく結果です。このラリーが大きなチャレンジになることは分かっていましたが、今朝はセブの勝利への決意を目にしましたし、彼は一日を通して素晴らしい仕事をしました。また、サミも素晴らしい走りを見せ、カッレも午後からは自信をつけてきました。2人ともトップ争いからそれほど遠く離れていません。エルフィンは先頭スタートを担い、今日は決して楽な一日ではありませんでした。しかし、彼にとって今回のラリーで重要なのは耐えることです。今日はすでに多くのドラマがありましたが、エルフィンとタカには順位を上げて多くのポイントを獲得するチャンスがまだあります。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
予想通り、今日は出走順がトップだったためロードクリーニングが大きな負担となり、厳しい一日になりました。クルマのフィーリングがポルトガルの時よりも少し改善されたこともあり、午前中はそれほど悪くありませんでした。しかし、クルマが走れば走るほど路面のコンディションはどんどん良くなっていき、出走順が後方のドライバーたちがいいタイムを出しやすい状況でした。とくに、ループの最後のステージでは差が大きく出たと思います。午後もまだ多少ロードクリーニングのハンデは残っていましたが、それだけではなく、路面が硬く岩が出ているようなところでは、良いフィーリングを掴むことができずに苦労したので、今晩はその点を改善しなければなりません。明日は今日よりも出走順が良くなり、それは間違いなく私たちにとって助けになると思うので、明日も頑張ります。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
全体として、自分たちにとってそれほど悪い一日ではありませんでした。今朝は出走順が2番手だったので苦労するだろうと予想していましたし、なかなかクルマを快適に感じることもできませんでした。しかし、午前中の感触を基にサービスでクルマにいくつか小さな変更を施した結果、より良いフィーリングを得ることができるようになり、午後はクルマが確実に良くなりました。再走ステージでも依然ロードクリーニングの影響はあったと思うので、あのような良いタイムを出せたことは本当に嬉しいです。良いクルマのフィーリングとより良い出走順を活用して、明日もいいペースを維持できるように頑張ります。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
金曜日の段階で首位に立てるとは思っていなかったので、今日の結果にはとても満足しています。ラリー・ポルトガルでの経験を基にいくつかセッティングを変更したところクルマのバランスが良くなり、ここまでのところ満足しています。今日は力強く、安定した一日でしたが、最後のステージでリードを奪うことができたのは、我々がタイヤをうまくマネージメントできたからだと思います。それでもアドリアンとオィットとは依然僅差なので、明日も今日と同じように全力でプッシュする必要があります。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
今朝の最初の段階では良いフィーリングを得ることができず苦戦しましたが、ステージとステージの間にセットアップを変更したところ、徐々に良くなっていきました。残念ながら午後2本目のステージの非常にタイトなコーナーで、予想より早くターンインしたところ、内側の岩に接触して横転してしまいました。非常に残念ですが、少なくともサービスに戻ることはできたので、リセットして明日に臨みます。決して簡単な一日にはならないと思いますが、集中し続けてベストを尽くします。このラリーは小さなミスであっても大きな代償を払うことになるので、この後どのような展開になるのかまだ分かりません。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今日は本当にいい一日でした。非常に堅実かつ安定したペースで走ることができたと思います。他のドライバーたちよりも出走順が有利だったとは思いますが、自分たちが速く走ることができた理由はそれだけではないと考えています。以前のラリーよりもハードにプッシュしているような感じではなく、クルマに慣れるにつれ、自然にペースが上がっていくような感じです。トップ3の選手たちは明日きっと激しくプッシュすると思いますが、自分たちとしては今日と同じペースを維持することができればハッピーです。
ラリー・イタリア サルディニア デイ1の結果
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) 1h10m33.1s
2 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +2.1s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +7.3s
4 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +16.8s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +22.8s
6 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m09.8s
7 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m27.9s
8 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +2m33.3s
9 エミル・リンドホルム/レータ・ハマライネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +2m41.2s
10 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +2m57.5s
(現地時間6月6日20時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技2日目となる7日土曜日のデイ2は、サービスパークの南西エリアで、3本のステージをオルビアでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうちSS8/11は、大勢の観客が集まる「ミッキージャンプ」があることで知られるモンテ・レルノのステージです。6本のステージの合計距離は121.60kmとデイ1よりも1km弱長く、3日間で最長のステージ距離を走る一日となります。